地域の子育てサークルでアンケートを取ろうとすると、同じ会なのに答えが毎回ばらばらに返ってきます。0歳の子を連れた親と2歳の子を連れた親では、望む活動も都合のよい時間も違い、しかも春になると会員の多くが入園や職場復帰で抜けていきます。この記事では、会員が短い期間で入れ替わり、答える人がたいてい子どもを抱いているという、子育てサークルに特有の条件のもとで、アンケートをどう設計するかを書きます。先に結論を書くと、子育てサークルのアンケートは「会の総意を測る調査」ではなく、「いま在籍している親子と、次の年度に残る親子のために、決める材料を短く集める作業」です。この前提に立つと、設問の数も、締め切りの置き方も、結果の返し方も自然に決まってきます。
子育てサークルのアンケートは、会員が入れ替わる速さに合わせて作る
子育てサークルは、ほかの地域団体と比べて在籍期間がきわめて短い団体です。町内会や合唱団なら10年、20年と同じ顔ぶれが続きますが、子育てサークルの会員は、子どもが生まれて数か月たったころに入り、幼稚園や保育園に入るころに抜けていきます。長くても3年ほど、短ければ半年で卒業します。
この入れ替わりの速さは、アンケートの設計に直接響きます。去年の調査結果は、答えた人の多くがもういないため、今年の判断材料としてはほとんど使えません。逆に、今年取った答えをもとに決めたことは、決めた本人たちが翌年には会にいない可能性が高い。つまり、アンケートで決めた内容を、答えていない次の会員に説明する場面が必ず来ます。
背景には、家庭で子育てをする期間の過ごし方の変化もあります。市町村が実施する地域子育て支援拠点事業の実施要綱は、対象を「主として概ね3歳未満の児童及び保護者」としており、子育てサークルが活動場所として使う支援センターや児童館も、この年齢の親子を中心に組まれています。対象年齢の幅が狭いぶん、会員の入れ替わりは避けられません。
もう1つの変化は、父親の参加です。厚生労働省の調査では、育児休業を取る男性の割合が大きく伸びています。
育児休業取得者の割合 女性:86.6%(令和5年度 84.1%) 男性:40.5%(同 30.1%) 出典: 厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」結果の公表資料
母親だけが連絡の場にいた時代と違い、1つの家庭から父母の2人が会の連絡に加わることが珍しくなくなりました。後で書く「回答の重複」の問題は、この変化から生まれています。
聞く場面は、年に4回ほどに集まる
子育てサークルでアンケートが必要になる場面を並べると、年間を通じてだいたい4つに集約されます。何を聞くかより先に、どの場面のアンケートなのかを決めておくと、設問が膨らみません。
・年度初めの活動方針の確認。活動する曜日と時間帯、月に何回集まるか、どんな活動をしたいか ・行事の前の出欠と費用の確認。季節の制作、クリスマス会、夏の水遊びなど、準備物や材料費が絡むもの ・外部の講師を呼ぶ企画の希望確認。リトミック、ベビーマッサージ、絵本の読み聞かせ、救急法の講習など ・冬の継続確認。4月以降も会に残るか、代表や会計などの役を引き受けられるか
この4つは、目的も、答えが必要な時期も、未回答をどう扱うかも違います。行事の出欠は人数が確定しないと材料が買えないため、未回答者に催促してでも全員の答えを集める必要があります。一方で活動内容の希望は、半数程度の答えでも方向は決められます。
失敗しやすいのは、この4つを1回のアンケートにまとめてしまう形です。「ついでに聞いておこう」と設問を足すと、答える側は画面を何度もスクロールすることになり、途中で子どもが泣いた時点で閉じてしまいます。聞く場面ごとに分けて、1回の調査は1つの目的に絞るほうが、結果として回収が早くなります。
もう1つ、年度の途中で入ってきた会員への配慮も要ります。子育てサークルは4月にまとめて入会するとは限らず、子どもの月齢が上がって外出できるようになった時期に、月を問わず入ってきます。年度初めに取った活動方針のアンケートを、秋に入った会員は見ていません。決まった方針を、入会時にまとめて渡せる形で残しておくことが、アンケートの後始末として欠かせない作業になります。
答える人は、片手で子どもを抱いている
子育てサークルのアンケートで最も大事な前提は、答える人の状況です。回答が集まる時間帯は、昼寝の寝かしつけのあと、夜の授乳中、そして子どもを膝に乗せながらのすき間です。両手を使える時間はほとんどありません。
この状況に合わせると、設問の作り方はかなり絞られます。
・選択肢を指で押すだけで答えられる設問を中心にする ・1回の調査の設問は5問以内にとどめる ・自由に書いてもらう欄は、最後に1つだけ置き、必須にしない ・1つの画面に収まる長さにし、ページを分けない ・「その他」を選んだら文字を書かされる形を避ける
特に注意したいのが、途中で閉じると入力が消える形式です。授乳中に答え始めて、子どもがむずかった瞬間に画面を離れると、戻ったときに最初からやり直しになる。これを一度経験した人は、次から回答を後回しにします。途中の入力が残る形式を選ぶか、そもそも数十秒で終わる長さにしておくのが確実です。
選択肢の言葉も短くします。「平日の午前中であれば比較的参加しやすいが、上の子の送迎がある日は難しい」のような長い選択肢は、読むだけで時間がかかります。「火曜の午前」「木曜の午前」「どちらでも」のように、目で追ってすぐ押せる言葉にします。
答える人の状況を想定した設問は、結果として集計も楽になります。自由記述が多いアンケートは、読むのに時間がかかり、代表が一人で抱え込む原因になります。子育て中の代表もまた、夜の授乳の合間に集計をしていることを忘れないようにします。
回答の単位を、親ではなく「親子1組」にする
子育てサークルのアンケートでよく起きるのが、同じ家庭から2つの回答が届くことです。父母の両方が会の連絡の場に入っていて、それぞれが別々に答えてしまう。行事の出欠で「参加」が2つ届くと、実際は1組なのに2組分の材料を用意することになります。
これを防ぐには、回答の単位を最初から「親子1組」と決めて、それを設問の冒頭に書いておきます。
・最初の設問を「お子さんの呼び名」にする ・きょうだいで参加している家庭は、1回の回答にまとめてもらう ・双子や年の近いきょうだいは、子どもの人数を別に聞く ・「どちらか1人が答えてください」と一文を添える
親の名前ではなく子どもの呼び名で答えてもらうのには理由があります。子育てサークルでは、親どうしが「〇〇ちゃんのママ」「〇〇くんのパパ」と子どもの名前で呼び合っていることが多く、親の本名を知らないまま付き合っている会員も少なくありません。子どもの呼び名のほうが、集計する側にとっても誰の回答か分かりやすいのです。
とはいえ、重複は完全には防げません。集計の段階で、同じ子どもの呼び名が2回出てきたら、新しいほうの回答を採用する、とあらかじめ決めておくと迷いません。回答の内容が食い違っていたら、代表から一言確かめれば済みます。
もう1つ気をつけたいのは、祖父母が子どもを連れてくる家庭です。親が職場に復帰したあとも、祖父母が孫を連れて活動に参加し続けることがあります。この場合、連絡の場にいるのは親でも、活動日に来るのは祖父母です。出欠のアンケートは親が答え、当日の持ち物の案内は祖父母に届いていない、というずれが起きやすくなります。回答の欄に「当日来る人」を選んでもらう設問を1つ入れておくと、案内の届け先を合わせられます。
月齢で答えが割れる設問は、月齢で分けて集計する
子育てサークルのアンケートを全体でまとめると、誰の希望にも合わない結論が出ることがあります。原因は子どもの月齢です。
まだ寝返りを始めたばかりの0歳前半の子と、走り回る2歳の子では、活動に求めるものが正反対です。0歳の親は、床に寝かせて安全に過ごせる時間と、ほかの親と話せる時間を求めます。2歳の親は、体を動かす遊びや、制作のように手を使う活動を求めます。この2つの答えを合算して「半々なので両方を少しずつ」とすると、0歳の子のそばを2歳の子が走り回る、どちらの親も落ち着かない時間になります。
こうしたずれを避けるには、アンケートの冒頭で子どもの月齢帯を選んでもらい、集計を月齢帯ごとに分けます。
・0歳(ねんねから、はいはいのころ) ・1歳(歩き始めのころ) ・2歳以上(走る、話すころ)
3つ程度に分ければ十分です。生年月日を聞く必要はありません。月齢帯だけなら、答える側にも抵抗が少なく、集計にも足ります。
月齢帯ごとに集計すると、「活動の前半は全員で、後半は0歳と1歳以上で場所を分ける」のように、両方の希望を並べる判断ができるようになります。会員が20組を超える会では、月齢帯で活動日そのものを分けているところもあります。
また、月齢帯の比率は時期によって大きく変わります。春に2歳以上の子の家庭がまとめて卒業すると、秋には0歳の家庭が中心になる。年度初めに取ったアンケートの結果が、秋にはもう実態と合わなくなるのはこのためです。活動内容の希望は、年度の途中でもう一度、短く取り直す価値があります。
行事の出欠は、当日の体調で変わる前提で聞く
クリスマス会や季節の制作のように、材料や配り物を用意する行事では、出欠のアンケートが欠かせません。ところが子育てサークルでは、アンケートで「参加」と答えた家庭のうち、当日に来られない家庭が必ず出ます。乳幼児は前日まで元気でも、朝になって発熱することが珍しくないからです。
この事情を無視して「参加」と「不参加」の2択で聞くと、答える側は迷います。予定は空いているけれど、子どもの体調次第なので確約できない。こうした家庭は答えを保留し、未回答のまま締め切りを迎えます。結果として、代表は未回答の家庭を1軒ずつ確かめることになります。
出欠の選択肢は、次の3つにしておくと答えやすくなります。
・参加する ・参加するつもり(体調によっては休む) ・参加しない
2つめの選択肢を置くと、ほとんどの家庭が迷わず答えられます。集計の側では、1つめと2つめを合わせた数を「来るかもしれない組数」として扱い、材料や配り物はその数で用意します。
当日休んだ家庭の分をどうするかも、アンケートの段階で書き添えておきます。制作の材料なら次回の活動日に渡す、クリスマス会のプレゼントなら後日受け取れる、といった扱いを先に示しておけば、休んだ家庭が費用を払ったのに何も受け取れないという不満を防げます。費用を先に集める行事では、休んだ場合に返金するかどうかも同じ場所に書きます。
もう1つ、行事の出欠で聞いておきたいのが、きょうだいを連れてくるかどうかです。普段は下の子だけを連れてくる家庭が、長い休みの時期の行事には上の子も連れてくることがあります。配り物の数や会場の広さに関わるため、「一緒に来るきょうだいの人数」を1問加えておくと、当日の数合わせに困りません。
締め切りは、次の活動日の前日の夜に置く
締め切りをいつにするかで、アンケートの回収率は大きく変わります。子育てサークルの場合、最も効果があるのは「次の活動日の前日」を締め切りにする方法です。
理由は2つあります。1つは、活動日に顔を合わせたときに、まだ答えていない人に直接声をかけられることです。連絡の場で何度も催促するより、活動日に「あのアンケート、今ここで押してもらえますか」と伝えるほうが、ずっと早く確実に集まります。前日を締め切りにしておけば、当日の朝に未回答者の一覧を作り、会場で声をかける流れが組めます。
もう1つは、施設の予約や材料の購入に間に合わせるためです。行事の出欠を聞くアンケートなら、材料を買いに行く日から逆算して締め切りを決めます。締め切りを早めに置きすぎると、その間に子どもの体調や家庭の予定が変わり、答えが実態とずれていきます。
締め切りの時刻にも工夫の余地があります。夜の9時や10時で締め切る形はよく見られますが、子育て中の親が連絡を見返すのは、寝かしつけが終わったあとの夜遅くや、夜中の授乳の時間であることが多い。締め切りを「前日の夜」とあいまいにしておき、実際には翌朝に集計を始める、というくらいの余裕を持たせると、取りこぼしが減ります。
催促は1回にとどめます。締め切りの前日に、未回答の家庭が分かる形で一度だけ知らせ、あとは活動日の声かけに任せます。子育て中の親にとって、連絡の通知が何度も鳴ることは、子どもを起こしてしまう心配にもつながります。通知を切っている会員も多いため、催促を繰り返しても届かない人には届きません。
来年度も続けるかの調査は、冬に取る
子育てサークルに特有のアンケートが、来年度も会に残るかどうかを聞く継続確認です。これを取る時期を誤ると、4月に活動を始めてから会員が足りないと分かる、ということになります。
継続を左右するのは、子どもの入園と、親の職場復帰です。保育園の入園の結果は、多くの地域で冬のあいだに届きます。幼稚園の入園も、秋から冬にかけて決まります。この結果が出そろう前に継続確認を取ると、「まだ分からない」という答えが大半になり、判断材料になりません。反対に、3月まで待つと、次の年度の施設予約や代表の引き継ぎに間に合わなくなります。
実務では、1月から2月にかけて1回目を取り、3月に確定させる、という2段階で進めている会が多く見られます。1回目の設問には、次の3つを入れておきます。
・4月以降も続ける予定か(続ける、やめる、まだ分からない) ・やめる理由に近いもの(入園、職場復帰、転居、そのほか) ・続ける場合、活動の曜日が変わっても参加できるか
「まだ分からない」の選択肢を必ず置くことが大事です。この選択肢がないと、決まっていない人は答えを保留し、未回答として残ります。「まだ分からない」と答えた人がどれくらいいるかも、次の年度の見通しを立てる材料になります。
やめる理由を聞くのは、引き止めるためではありません。職場復帰で平日の活動に来られなくなる家庭が多いなら、土曜の活動を月1回だけ残す、といった判断につながります。入園による卒業が中心なら、新しい会員を迎える準備に力を回すべきだと分かります。
役を引き受けてくれる人は、アンケートでは見つからない
継続確認と一緒に、代表や会計、施設予約の担当などの役を引き受けられるかを聞く会は少なくありません。しかし、この聞き方で手が上がることはほとんどありません。
理由ははっきりしています。役の内容と負担が見えないまま「引き受けてもよいか」と聞かれても、答える側は判断できないからです。特に子育てサークルでは、翌年に職場復帰を控えている人も多く、どれくらいの時間が取られるのか分からない役には手を挙げにくい。
役の希望をアンケートで聞くなら、役を細かく分け、それぞれにかかる時間を書き添えます。
・施設の予約(月に1回、抽選の申し込みをする。1回15分ほど) ・活動日の鍵の受け取りと返却(活動日の前後に施設の窓口へ) ・会計(参加費の記録と、年度末の報告) ・行事の企画(年に2回、内容と材料を決める) ・新しい会員への案内(入会の問い合わせに返信する)
こうして並べると、「代表は無理でも、施設の予約だけなら」という人が出てきます。選択肢に「この部分だけならできる」を置いておくのが肝心です。
それでも代表が決まらないことはあります。そのときにアンケートを何度も取り直すのは逆効果です。役を引き受ける話は、最終的には活動日に顔を合わせて、現在の代表から個別に相談するほうが早く決まります。アンケートの役割は、誰に相談すればよいかの見当をつけるところまで、と割り切るほうが、答える側の負担も軽くなります。
少人数で無記名にすると、かえって答えにくい
活動への不満や改善点を聞くとき、無記名のアンケートにしようと考える代表は多いでしょう。ところが、会員が10組から15組ほどの子育てサークルでは、無記名にしても誰の回答かがおおよそ分かってしまいます。
子どもの月齢帯を聞いた時点で、0歳の家庭が3組しかいなければ、その中の誰かだと絞り込めます。書かれた内容に「上の子の送迎」とあれば、きょうだいがいる家庭は限られます。答える側もそれを分かっているため、無記名であっても本音を書きにくくなります。
この問題への対処はいくつか考えられます。
・不満や改善点を聞く設問では、月齢帯などの属性を聞かない ・選択肢の形にして、自由に書く欄を設けない ・代表以外の人が集計し、個別の回答を代表に見せない ・活動場所の施設の職員に、相談の窓口になってもらう
最後の方法は、地域の子育て支援センターや児童館を活動場所にしている会で使えることがあります。施設の職員は、多くの子育てサークルを見てきているため、会員から直接話を聞いて、代表に伝えるべきことを整理してくれる場合があります。施設によって対応は違うため、事前に相談してみる価値があります。
そもそも、少人数の会では、アンケートより活動のあとの数分間の雑談のほうが、本音を拾いやすいことも覚えておきたい点です。子育てサークルは、親どうしの交流そのものが目的の1つです。アンケートで聞くべきことと、活動の場で聞くべきことを分けて考えます。
講師を呼ぶ企画は、金額を書いてから聞く
リトミックやベビーマッサージの講師を呼ぶ企画について、「興味がありますか」と聞くと、ほとんどの人が「ある」と答えます。ところが、実際に費用を集める段階になると、参加者が半分に減る。これは子育てサークルで繰り返し見られる失敗です。
原因は、アンケートの時点で費用が示されていないことにあります。興味の有無だけを聞かれれば、誰でも前向きに答えます。しかし、育児休業中の家計は収入が減っていることが多く、1回あたりの負担が見えると判断は変わります。
講師を呼ぶ企画のアンケートでは、次の順番で情報を示してから聞きます。
・講師への謝礼の総額 ・参加する組数の見込みと、1組あたりの負担額 ・会の予算から出す分があれば、その金額
たとえば、講師への謝礼が1万円で、会の予算から4,000円を出す場合、残りを参加者で分けることになります。10組が参加すれば1組600円、6組なら1組1,000円です。この表を見せたうえで「この金額で参加したいか」を聞けば、返ってくる答えがそのまま参加者数の見込みになります。
参加者数によって1組あたりの負担が変わることも、あらかじめ書いておきます。後から「思ったより高かった」という不満が出るのを防げます。講師の料金は講師ごとに違うため、先に講師に見積もりを取ってからアンケートを出す順番にします。
結果は、決まったことと一緒に返す
アンケートを取ったあと、結果を返さないまま次の調査を出すと、2回目からは明らかに回答が減ります。「答えても何も変わらない」と受け取られるからです。
結果の返し方で大事なのは、集計の数字よりも、決まったことを先に書くことです。
・決まったこと(例:来年度の活動は火曜の午前10時からに決定) ・決めた理由(例:0歳と1歳の家庭の両方で一番多かったため) ・選ばれなかった希望への対応(例:木曜を希望した家庭には、月1回の木曜の集まりを検討中)
選ばれなかった希望に一言触れるのは、少数の答えを出した家庭が「無視された」と感じないためです。子育てサークルは少人数のため、少数派の答えを出した家庭が誰かは、ある程度分かっています。
結果を流す場所にも気をつけます。連絡の場に結果を書き込むと、日々の雑談や写真の投稿に押し流され、数日後には見つからなくなります。決まったことは、流れない場所に固定しておきます。そうすれば、あとから入会した家庭にも、同じ説明を繰り返さずに済みます。
集めた答えを、次の代表に残す
子育てサークルの代表は、ほとんどの場合1年で交代します。前の代表が取ったアンケートの様式や結果が、代表個人のスマートフォンやアカウントの中に残ったまま、新しい代表に渡らないことがよくあります。すると、新しい代表は毎年ゼロから設問を考えることになります。
次の代表に残しておきたいのは、次のものです。
・毎年繰り返すアンケートの様式(継続確認、年度初めの活動方針、行事の出欠) ・その年の結果と、決まったこと ・回収にかかった日数と、うまくいった催促のやり方 ・答えが集まらなかった設問と、その理由の見立て
様式を残しておけば、新しい代表は日付と選択肢を変えるだけで同じ調査を出せます。結果と決定を残しておけば、会員から「なぜ火曜なのか」と聞かれたときに、経緯を示せます。
一方で、退会した家庭の個別の回答まで残す必要はありません。残すのは集計と決定だけにして、誰が何と答えたかは、その年度が終わった時点で手放すのが安心です。子育てサークルの会員は、卒業したあとも同じ地域で暮らしています。過去の回答が思わぬ形で残っていることは、会員にとって気持ちのよいものではありません。
アンケートの様式と結果を、代表個人の持ち物ではなく、会として持つ場所に置いておく。この1点を守るだけで、代表の交代のたびに調査が途切れることがなくなります。
連絡の置き場所で、アンケートの手間はどう変わるか
ここまで見てきたように、子育てサークルのアンケートの手間は、設問そのものより、どこで配り、どこで答えを集め、どこに結果を残すかで大きく変わります。
いま多くの会が使っているのは、会話のために作られた道具です。会話の流れの中で投票機能を使ったり、外部のフォームのリンクを貼ったりする方法は手軽ですが、誰が答えていないかを確かめるには、回答者の一覧と会員の一覧を突き合わせる作業が要ります。父母の両方が参加している家庭が多い会では、この突き合わせがさらに複雑になります。会話の道具で連絡を回すときの特徴については、LINEグループとの比較で、団体の連絡に使ったときに起きやすいことが整理されています。
参加者どうしが連絡先を明かさずにつながる形を検討している会には、LINEオープンチャットとの比較が参考になります。掲示板と予定表を軸にした道具との違いはBANDとの比較で、話題ごとに部屋を分ける作りの道具との違いはDiscordとの比較で確かめられます。すでに地域の情報交換でSNSを使っている会は、Facebookグループとの比較も並べて見ると判断しやすくなります。
子育てサークルに近い形の団体が、実際にどう連絡をまとめているかは、サークルでの使われかたで具体的な画面の流れを見られます。講師を招いた親子教室のように、指導する人と参加する家庭が分かれている形なら、教室での使われかたが近いでしょう。地域の保護者どうしの連絡という点では、PTAでの使われかたや町内会での使われかたにも共通する部分があります。
判断の軸として押さえておきたいのは、次の3点です。答えていない家庭がすぐに分かるか。決まったことを、雑談に流されない場所に置いておけるか。代表が交代したときに、様式と結果をそのまま渡せるか。会員が1〜2年で入れ替わる子育てサークルでは、3つめの条件が特に効いてきます。道具を選ぶ前に確かめたい点は、よくある質問にもまとめられています。
Q1. 子育てサークルのアンケートは、何問くらいまでにすればよいですか?
1回の調査は5問以内が目安です。答える人の多くは子どもを抱いているか、授乳や寝かしつけの合間に画面を見ています。選択肢を押すだけで答えられる設問を中心にし、自由に書く欄は最後に1つだけ、必須にせず置きます。聞きたいことが多いときは、目的ごとに調査を分けたほうが結果として早く集まります。
Q2. 父親と母親の両方から回答が届いてしまいます。どう防げばよいですか?
回答の単位を「親子1組」と決め、最初の設問で子どもの呼び名を聞く形にします。冒頭に「どちらか1人が答えてください」と添えておくと重複は減ります。それでも2つ届いた場合に備えて、新しいほうの回答を採用するなど、集計のルールを先に決めておくと迷いません。
Q3. 来年度も続けるかどうかの確認は、いつ取るのがよいですか?
1月から2月にかけて1回目を取り、3月に確定させる2段階が進めやすい形です。保育園や幼稚園の入園の結果は冬のあいだに届くことが多く、それより前に聞くと「まだ分からない」が大半になります。1回目の選択肢には必ず「まだ分からない」を入れ、未回答のまま残らないようにします。
Q4. 不満や改善点を無記名で聞いても、本音が集まりません。なぜですか?
会員が10組から15組ほどの会では、月齢帯や書いた内容から、誰の回答かがおおよそ分かってしまうためです。不満を聞く設問では属性を聞かない、選択肢の形にする、代表以外の人が集計する、といった工夫が有効です。活動場所の施設の職員に相談の窓口を頼めるかどうか、確かめてみる方法もあります。
