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自治会と町内会向けの個人情報の取扱い手引|決める順番

2026年9月29日 ・ Tsudoo編集部

自治会と町内会向けの個人情報の取扱い手引を探すと、市区町村が出しているPDFが見つかります。ただ、読んだあとに何から決めればよいかは書かれていません。この記事では、名簿を作る前、集めるとき、保管するとき、第三者に渡すとき、事故が起きたときの5つの場面に分けて、役員が実際に決める項目を順番に並べます。写真や連絡先が複数の場所に散らばっている会が、どこから畳めばよいかも最後に整理します。

自治会と町内会に個人情報保護法が及ぶようになった経緯

多くの役員が驚くのは、この法律が自分たちにも適用されるという点です。かつては、取り扱う個人情報が5,000件を超える事業者だけが対象でした。数十世帯から数百世帯の会は、件数の要件で外れていました。

その要件が撤廃されています。多摩市の案内では、経緯がこう説明されています。

平成27年9月に個人情報保護法が改正され、平成29年5月30日に全面施行されました。 これまでは、取り扱う個人情報が5,000件を超える事業者が対象となっていましたが、法改正により自治会・町内会等を含む、個人情報を取り扱う全ての事業者に個人情報保護法が適用されます。また、令和2年6月の改正(令和4年4月1日施行)、令和3年5月の改正(令和5年4月1日施行)により、個人情報の漏洩事故が発生した際の対応について変更されました。 出典: city.tama.lg.jp

つまり、10世帯の小さな会でも、会員名簿を作っていれば法律の対象になります。役員の手元にある名簿、班長が持っている連絡先の一覧、行事の参加者を書いた紙。そのすべてが対象です。

ここで大事なのは、法律が「集めるな」と言っているわけではないことです。横浜市の案内は、過度の対応が地域のつながりを弱くし、地域の活動や災害時の助けあいに支障をきたすと書いています。個人情報は適正に管理したうえで、いざという時のために有効に活用することが必要だという立場です。

実際、名簿を作らなくなった会では別の困りごとが起きます。災害時に高齢の会員の所在が分からない、急な訃報の連絡が回らない、班の引き継ぎで誰が会員なのか分からない。手引が求めているのは、集めない判断ではなく、決めて集めて管理する判断です。

法律の改正が段階的に入っているため、古い手引が手元にあると、いまのルールと合いません。特に漏えい事故が起きたときの対応は2022年と2023年に変わっています。会に残っている資料が2020年より前のものなら、そこだけは読み替えてください。

法に定められた個人情報取扱いのチェックポイント7つ

横浜市は、法に定められた取扱いのチェックポイントを7つに整理しています。この7つが、手引全体の骨組みです。

1つめ、個人情報を取得するときは、何に使うか目的を決めて、本人に伝えること。2つめ、個人情報は決めた目的以外のことには使わないこと。3つめ、個人情報を第三者に渡す際は、本人の同意を得ること。4つめ、個人情報のうち要配慮個人情報については、本人の同意を得て取得すること。5つめ、本人からの「個人情報の開示や訂正等の請求」には応じること。6つめ、取得した個人情報は安全に管理すること。7つめ、苦情の申出に対応すること。

この7つを役員会で読み上げるだけでは何も決まりません。それぞれに対応する紙と担当を決める作業が必要です。1つめと2つめは、加入申込書と名簿作成の依頼文に利用目的を印刷することで満たせます。3つめと4つめは、同意をもらう欄をその紙に作ることです。5つめと7つめは、問い合わせ先の連絡先を同じ紙に書くことです。6つめだけは紙では終わらず、保管の方法そのものを決める話になります。

注意したいのは、7つのうち5つが「1枚の紙を作り直す」だけで満たせるという点です。加入申込書と名簿作成の協力依頼文に、利用目的と同意欄と問い合わせ先を入れる。この1枚を整えるだけで、手引の大半に対応できます。横浜市は、この記載例とひな形をワード形式で公開しています。会ごとに一から文章を考える必要はありません。

残る6つめが、実務でいちばん時間のかかる部分です。名簿は誰が持つのか、どこに保存するのか、何年で捨てるのか、役員が代わるときどう渡すのか。ここを決めていない会がほとんどで、事故が起きるのもここです。

もう1つ、5つめの開示や訂正の請求について補っておきます。会員から「自分の情報が名簿にどう書かれているか見せてほしい」と言われたら、応じる必要があります。実務では、その会員の行だけを写して渡す形で足ります。名簿全体を見せる必要はありません。応じる担当を決めておかないと、聞かれた役員がその場で判断してしまい、他の会員の情報まで見せることになります。請求を受けたら会長に取り次ぐ、という1行を決めておいてください。

名簿を作る前に決めておく3つのこと

集め始める前に決める項目は3つです。順番を逆にすると、集めたあとで使えない名簿になります。

1つめが利用目的です。多摩市の対応例では、「町内会等の運営、親睦、連絡事項等やこれに付随する業務を行うため、会員名簿を作成し、名簿に記載される会員に対して配布する」と特定する形が示されています。ここで注意したいのは、後半の「名簿に記載される会員に対して配布する」の一文です。名簿を会員全員に配るのか、役員だけが持つのか。この違いを利用目的に書き分けておかないと、配った段階で目的外の利用になります。配るつもりがない会は、この一文を入れてはいけません。

2つめが、集める項目です。利用目的に沿って必要最低限にするのが原則です。実務では、氏名、住所、電話番号までで足りる会が大半です。生年月日、勤務先、家族の名前、続柄を集めている会は、その項目を何に使うのかを説明できるか確かめてください。説明できない項目は外します。集めた項目が多いほど、漏れたときの影響が大きくなり、管理の手間も増えます。

3つめが、保管の担当と期間です。名簿の原本を誰が持つのか、写しをどこまで作るのか、いつ捨てるのか。ここを決めないまま集めると、役員それぞれの手元に写しが増えていきます。おすすめは、原本を1つに決めて、その場所を規約か内規に書いておく形です。班長には、その班の分だけを渡す。全体の名簿を全役員に配らない。これだけで、漏れる経路がかなり減ります。

この3つを決めたら、文章にして役員会で通してください。口約束で運用している会は、役員が代わった時点で消えます。会の個人情報の取扱いルールとして1枚にまとめ、引き継ぎ資料に綴じておく形が確実です。

集めるときの伝え方と、要配慮個人情報の扱い

集めるときのルールは2つです。

1つめ、本人から書面で個人情報を取得する場合には、本人に対して利用目的を明示すること。対応例としては、個人情報を集める際に配布する用紙に利用目的を記載して本人に伝える方法と、総会や回覧板を利用して周知する方法が挙げられています。紙に印刷するのがいちばん確実です。用紙の下部に小さく入れるのではなく、記入欄の前に書いてください。書く前に読む位置に置くことで、「知らされていなかった」という苦情を防げます。

2つめ、要配慮個人情報の取得については、あらかじめ本人の同意を得ること。要配慮個人情報とは、人種、信条、病歴、社会的身分、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実、障害、健康診断や検査の結果、医師等からの指導や診療、調剤が行われたこと等の情報です。

自治会や町内会で要配慮個人情報に触れる場面は、思っているより多くあります。災害時の要支援者の名簿を作るとき、車いすの利用や持病の有無を聞くことがあります。行事の参加申込でアレルギーの有無を聞くこともあります。これらは要配慮個人情報にあたるので、集める前に同意が必要です。同意は口頭でも成立しますが、記録が残らないため、用紙に同意欄を作る形が現実的です。

ここで実務上の注意が1つあります。要配慮個人情報は、本人の同意があっても、オプトアウトによる第三者提供ができません。会員の持病を市の福祉部門や消防に渡す想定があるなら、集めるときに「誰に渡すか」まで書いて同意をもらってください。集めたあとに渡し先を追加する場合は、もう一度同意を取り直す必要があります。

もう1つ、集める方法についてです。連絡アプリのグループに「住所と電話番号を書いてください」と投稿して集める会があります。この形は避けてください。書き込んだ内容がグループ全員に見える状態になり、集めた時点で第三者提供に近い形になります。集めるときは、役員だけが見られる経路を使うのが原則です。回答が本人と役員にしか見えない仕組みで集めるか、紙で集めるか。どちらかにしてください。

保管するときに決めておく具体的な方法

保管のルールは2つです。漏えい防止のために適切な処置を講じること、そして内容に誤りがあった場合に訂正するための手続きを本人の知りうる状態におき、請求に応じて訂正すること。

多摩市が挙げている対応例は具体的です。事務局等において盗難や紛失の無いように適切に管理すること。名簿の配布先の会員に対して、盗難や紛失、転売の禁止などの注意事項を周知すること。パソコン上の名簿はパスワードを設定すること。万が一漏えいや紛失した時に、誰に報告するかあらかじめ決めておくこと。

このうち最後の項目が抜けている会が多いです。事故が起きてから「誰に言えばいいのか」を探すと、初動が半日から1日遅れます。会長に報告する、会長が不在なら副会長に報告する、というだけの決まりを1行書いておいてください。

紙の名簿については、置き場所を決めるのが基本です。会館のどの棚か、鍵はどこにあるか、誰が持っているか。役員の自宅で保管している会は、その家に誰が出入りするかまで考える必要があります。

パソコンやスマートフォンで名簿を扱う場合、注意点が3つ増えます。1つめ、ファイル自体にパスワードをかけること。端末のログインパスワードだけでは、貸したときに開かれます。2つめ、写しを作った場所を数えること。パソコンの中、USBメモリ、無料の保存サービス、メールの添付ファイル、印刷した紙。この5か所のどこに何があるかを把握していないと、消すときに消し切れません。3つめ、メールでの送受信を減らすこと。名簿を添付して送ると、送った相手の受信箱にも、自分の送信済みにも残ります。役員が代わっても、そのメールは消えません。

訂正の手続きについては、集めるときに配布する用紙に問い合わせ先を記載しておく形が対応例として示されています。引っ越し、電話番号の変更、姓の変更は毎年発生します。誰にどう伝えればよいかが書かれていないと、古い情報のまま名簿が回り続けます。

第三者に渡すときのルールと、記録の残し方

第三者提供のルールは3つあります。

1つめ、本人以外の者に個人情報を提供する場合は、渡すことや渡す内容について、あらかじめ本人の同意を得ること。連絡網などを配布する場合には、個人情報を集める際に「名簿に記載される会員に対して配布する」と伝えたうえで、任意に個人情報を提出してもらう形が対応例として示されています。

2つめ、提供先などを記録し、一定期間保管すること。名簿に配布先の会員名等が記載されている場合は、名簿そのものを一定期間保管する形でよいとされています。横浜市は、個人情報第三者への提供記録簿と、第三者からの提供個人情報受領記録簿のひな形をワード形式で公開しています。この2つを役員会の資料に綴じておけば、記録の要件を満たせます。

3つめ、個人情報を委託先に提供する場合は適切な監督を行うこと。名簿の印刷を業者に委託する場合、委託先をしっかりと選定し、個人情報の適切な管理を実施することについて確認する形が挙げられています。

ただし、本人の同意を得なくても提供できる場合があります。法令に基づく場合、たとえば警察からの照会。人の生命や財産を守る場合、たとえば災害時。委託先に提供する場合、たとえば名簿の印刷を業者に委託するとき。この3つです。

実務でいちばん迷うのは、市区町村や社会福祉協議会から名簿の提出を求められる場面です。ここは会ごとに判断が分かれるので、断定は避けます。ただ、求められた時点で「何の法令に基づく依頼か」を文書で確認する会が増えています。依頼の根拠が書面で残れば、会員から聞かれたときに説明できます。

もう1つ多いのが、地域の商店や葬儀社から名簿を求められる場面です。これは同意なしには渡せません。断ることが会員を守る対応になります。

会の中での受け渡しにも同じ考え方が必要です。班長から会長へ、会長から連合会へ、連合会から市へ。この流れのどこかで「会員の同意の範囲」を超えると、超えた先はすべて第三者提供になります。集めるときに「どこまで渡るか」を書いておけば、この流れを毎回説明し直す必要がなくなります。会員から聞かれて答えられない受け渡しは、止めてから確認してください。渡してしまったあとでは戻せません。

漏えい事故が発生したときの報告のルール

2022年と2023年の改正で変わったのが、この場面です。多摩市の案内では、次のいずれかの要件を満たす、またはそのおそれがある場合に、本人および個人情報保護委員会に報告するとされています。

要配慮個人情報が含まれる個人データの漏えい等。不正に利用されることにより財産的被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等。不正の目的をもって行われたおそれがある個人データの漏えい等。個人データに係る本人の数が1,000人を超える漏えい等。

会の規模から考えると、4つめの1,000人を超える漏えいは該当しない会が多いはずです。しかし1つめは該当します。災害時の要支援者名簿に持病や障害の情報が入っていれば、それが1件でも漏れた時点で報告の対象になりえます。3つめも該当します。盗難に遭った場合は不正の目的があると考えられるため、件数に関係なく対象になります。

対応例としては、本人への通知と個人情報保護委員会への報告のほか、紙文書や電子媒体の場合は手分けして捜索すること、電子データの場合はネットを遮断するなどの二次被害を防ぐための措置を行うこと、犯罪に係る場合などは警察に被害届を出すことが挙げられています。

役員会で決めておく項目は3つです。誰に最初に報告するか。報告を受けた人が誰に連絡するか。公表するかどうかを誰が判断するか。この3行を内規に書いておくだけで、初動の混乱がなくなります。個人情報保護委員会は、法令の解釈や制度についての一般的な相談を受け付ける質問ダイヤルを設けています。判断に迷ったら、そこへ問い合わせる経路を内規に書いておくのが確実です。詳しい窓口は個人情報保護委員会の案内で確認できます。

写真と行事の記録をどう扱うか

名簿と並んで扱いに迷うのが写真です。行事の写真には顔が写ります。子どもが写ることもあります。

法律の解釈を役員が断定するのは避けたほうがよい領域なので、ここでは運用の形だけを並べます。多くの会がとっている形は3つです。

1つめ、撮ることと使い道を先に知らせる形。行事の案内文に「当日の様子を撮影し、会報と掲示板に使用します」と1行入れる。撮られたくない人が申し出る窓口を同じ行に書く。この形が最も摩擦が少ないと言われています。

2つめ、使う場所を分ける形。会員だけが見られる場所に保存する写真と、会報やウェブサイトのように誰でも見られる場所に出す写真を分ける。外に出す写真だけ、写っている人に確認する。全部の写真に確認を取ると回らないので、線を引くのが現実的です。

3つめ、子どもの写真だけ扱いを厳しくする形。保護者からの申し出があれば外に出さない、名前は付けない、学年やクラスを書かない。ここは「こう運用している会が多い」という範囲にとどめますが、後から問題になりにくい形です。

もう1つ考えておきたいのが、保存先です。役員個人のスマートフォンの中にしか行事の写真がない会は、その役員が退いた時点で写真が失われます。無料の写真共有サービスに保存している場合は、保存期間や容量の条件を確かめてください。条件を超えると古いものから削除される仕組みのサービスがあります。会の記録として残すつもりなら、会として持つ場所に保存する形にしてください。

名簿をいつ更新し、いつ捨てるかを決める

手引に沿って集めた名簿でも、更新と廃棄の決まりがないと管理から外れていきます。

更新については、年に1回の時期を決めるのが基本です。会費の集金にあわせる会、総会の前にあわせる会、班替えの時期にあわせる会があります。どの時期でもかまいませんが、決めた時期を内規に書いてください。時期が決まっていない会では、引っ越した世帯が名簿に残り、亡くなった方の名前が残り、連絡しても繋がらない番号が増えていきます。古い情報が混ざった名簿は、災害時にいちばん使えません。

更新の方法も決めておきます。全世帯に用紙を配って書き直してもらう形、変更があった世帯だけ申し出てもらう形、班長が班内を確認する形。全世帯に配り直す形は正確ですが手間が大きいため、3年に1回は全世帯、間の年は変更申出だけ、という組み合わせにしている会が多くあります。

廃棄については、2つ決めます。古い版をいつ捨てるか、退会した会員の情報をいつ捨てるか。古い版は、新しい版が確定した時点で捨てるのが原則です。「去年の名簿も念のため残す」を繰り返すと、5年分の名簿が会館の棚に積み上がります。どれが最新か分からない状態は、管理できていない状態と同じです。

退会した会員の情報については、会費の精算や名簿の記録簿との突き合わせが終わった時点で消すのが分かりやすい線です。退会の理由や転居先を書き残す必要はありません。集めた目的は会の運営と連絡なので、会員でなくなった時点で目的が消えます。

捨て方も決めておいてください。紙はシュレッダーにかけるか、溶解処理に出す。ごみとしてそのまま出した名簿が拾われた事故は毎年報告されています。パソコンの中のファイルは、ごみ箱に入れるだけでなく空にする。USBメモリは会として1本に絞り、使わなくなったら物理的に廃棄する。5か所に写しがある名簿は、5か所すべてで同じ作業をしないと消えません。

役員が代わるときに渡すものを1つにする

手引を整えた会でも、翌年に崩れることがあります。原因は、引き継ぎで渡すものが多すぎることです。

渡す対象を数えてみてください。会員名簿の原本。名簿の更新用の用紙。第三者提供の記録簿。会の個人情報の取扱いルール。加入申込書の様式。行事の写真。連絡用のグループの管理者。出欠の記録。会計の資料。この9つが別々の場所にある会では、どれか1つが必ず渡し忘れられます。渡し忘れられたものは、前任者の手元に残ります。それが管理の外に出た個人情報です。

減らす方法は2つです。1つめ、紙の書類は1つのファイルにまとめて綴じる。名簿、様式、記録簿、取扱いルールを1冊にして、会館の決めた場所に置く。バラバラのクリアファイルに入れていると、探す人が増えて写しが増えます。2つめ、連絡と写真と予定を1か所に集める。散らばっていると、引き継ぎのときに場所の数だけ説明が必要になり、説明しきれなかった場所が取り残されます。

引き継ぎの場で確認する項目も決めておくと確実です。名簿の原本はどこにあるか。写しは何部あって誰が持っているか。連絡用のグループの管理者は誰か。写真はどこに保存してあるか。取扱いルールの最新版はどれか。この5つを引き継ぎ書に印刷して、両者で確認して署名する形にしている会があります。手間は10分ほどで、翌年の混乱がなくなります。

前任者の端末に残ったものをどうするかも、その場で決めてください。名簿のファイルを消す、写真を会の保存先に移してから消す、グループの管理者を交代する。「あとで」にすると、そのまま残ります。

連絡手段が散らばると、個人情報が管理できなくなる

手引を読んで一通り整えたのに、実際には管理できていない会があります。原因は決まりの不備ではなく、情報の置かれた場所の数です。

会員名簿は役員のパソコン。連絡はメッセージアプリのグループ。行事の写真はそのグループの中と役員の端末。出欠は紙。回覧板は紙と一部をアプリで。この状態だと、6つめのチェックポイントである安全な管理が成立しません。どこに何があるか把握できないものは、漏れたときに何が漏れたか説明できず、捨てるときに捨て切れません。

役員が代わるときも同じ問題が出ます。メッセージアプリのトークの履歴は端末ごとに持つ形なので、次の担当に渡せません。渡せないまま新しいグループを作ると、古い情報は前任者の端末に残り続けます。これは管理の外に出た個人情報が増えていく状態です。LINEグループとの比較では、発言が新しい投稿に押し流される構造と、投稿が1件ずつ残る構造の違いを項目ごとに並べています。引き継ぐときに渡すものが管理者の交代だけで済むかどうかが、続けられるかを決めます。

誰が見られるかをはっきりさせておくことも、管理の一部です。LINEオープンチャットとの比較では、URLを知っている人が入れる仕組みと、承認した人だけが入れる仕組みの差を整理しています。会員名簿を扱う場では、入れる人を承認で絞れるかが最初の条件になります。すでに別のアプリを使っている会なら、BANDとの比較で保存容量の条件と古いデータが自動で削除される条件を、Facebookグループとの比較で個人のアカウントに紐づく場との違いを見比べるほうが判断が早くなります。

団体の性格によって整え方は変わります。町内会での使われかたは回覧板と行事の案内を同じ場所に集める例、PTAでの使われかたは担当が1年で代わる前提の引き継ぎの例として、運用の形を並べています。人数の上限や費用、いま使っているグループからの移り方はよくある質問にまとめてあります。

畳む順番についても1つ。全部を一度に移すと反発が出ます。効くのは、回覧板か行事の案内のように月に1回か2回しか使わないものを先に移し、日々のやりとりは今のまま残す進め方です。使う回数が少ないものから移すと、覚えることが少なく、うまくいかなかったときに戻せます。そして総会や役員改選の直前に切り替えるのは避けてください。名簿と出欠が票の数に直結する場面で新しいやり方を試すと、答えられなかった人の意思がそのまま落ちます。

Q1. 世帯数が少ない自治会でも個人情報保護法の対象になりますか?

対象になります。かつては取り扱う個人情報が5,000件を超える事業者だけが対象でしたが、平成29年5月30日の全面施行でこの要件は撤廃され、自治会や町内会を含む個人情報を取り扱うすべての事業者に適用されるようになりました。世帯数に関係なく、会員名簿を作っていれば対象です。

Q2. 会員名簿を会員全員に配ってもよいですか?

集めるときに配ることを伝えて同意を得ていれば配れます。伝えていない場合は目的外の利用になります。配る前提なら、利用目的に「名簿に記載される会員に対して配布する」と明記してください。配る場合は、受け取った会員に盗難や紛失、転売の禁止を周知することも求められます。

Q3. 名簿が入ったパソコンが盗まれたとき、どこに報告すればよいですか?

本人と個人情報保護委員会への報告が必要になる場合があります。盗難は不正の目的をもって行われたおそれがある漏えいにあたるため、件数に関係なく対象になりえます。あわせて警察に被害届を出し、二次被害を防ぐ措置を取ってください。会の内規に最初の報告先を1行書いておくと初動が遅れません。

Q4. 行事の写真をウェブサイトに載せるとき、全員の同意が必要ですか?

法律の線引きは断定を避けますが、案内文に撮影と使い道を先に書き、申し出の窓口を添える形をとる会が多くあります。あわせて、会員だけが見られる場所に保存する写真と、誰でも見られる場所に出す写真を分け、外に出すものだけ確認を取る形が現実的です。子どもの写真は申し出があれば外さない運用が広く見られます。

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