会計監査報告は、総会の議事の中でいちばん短く終わる項目です。それなのに毎年ここで手が止まるのは、何を見せれば監査が済むのか、何と言えば報告になるのかが、どこにも書かれていないからです。町内会やPTAの規約には監査役を置くと書いてあっても、監査の手順まで定めている会はほとんどありません。この記事では、会計担当が監査に出す書類、監査役が確かめる手順、報告書に書く項目、総会での読み上げ方を順に並べます。相違が見つかったときの書き方と、来年の役員が同じ形で回せるようにする引き継ぎまで扱います。
会計監査報告が求められる場面
会計監査報告という言葉は、規模のまったく違う2つの場面で使われます。混ざったまま調べると、自分の会には関係のない話を読むことになります。
1つめが、会社法にもとづく会計監査です。一定の規模の会社は、会計監査人や監査役による監査を受け、その内容を定められた期限までに通知する義務があります。手続きの名前も期限も法律で決まっているため、書き方を自由に決める余地は小さくなります。
2つめが、町内会、PTA、部活の後援会、サークル、子ども会といった任意団体の会計監査です。こちらは規約で監査役を置き、会計年度が終わったあとに帳簿を確かめ、総会で報告します。法律が細かく手続きを定めているわけではないので、どこまで確かめるかは会が決めます。
この記事が扱うのは2つめです。ただし、1つめの世界で確立している考え方は、任意団体でもそのまま役に立ちます。会計を担当した人と、確かめる人を分けること。確かめた事実と、確かめていないことを書き分けること。この2つは規模に関係なく効きます。
任意団体で監査報告が要る場面は3つです。年度末の定期総会で報告する場面、会計担当が年度の途中で交代するときに引き継ぎの前に確かめる場面、そして補助金を受けた事業について交付元へ実績を報告する場面です。3つめは提出先の様式が決まっていることが多いので、先に交付元の書式を確かめてください。
監査は何を確かめる作業なのか
監査役に頼むとき、何をしてもらうのかを言葉にできていない会が多いです。ここが曖昧だと、監査役は帳簿を眺めて判子を押すだけになり、監査の意味がなくなります。
監査で確かめることは、大きく3つです。
1つめが、数字が合っているかです。現金出納帳の残高と手元の現金、預金出納帳の残高と通帳の残高、収支計算書の合計と出納帳の合計。この3組が一致しているかを見ます。ここが合わなければ、原因が分かるまで先に進めません。
2つめが、支出に根拠があるかです。出金の1件ずつに、領収書か請求書か、それに代わる記録が付いているかを見ます。金額が合っていても、何に使ったか分からない支出が残っていれば、監査は通せません。
3つめが、使い方が総会で決めた予算の範囲に収まっているかです。予算にない支出や、予算を大きく超えた支出があれば、どういう経緯で決めたのかを確かめます。役員会で決議していれば問題は残りませんが、会計担当の判断だけで出した支出があれば、そこは報告に書く対象になります。
この3つを言葉にして監査役に渡すだけで、監査の質は変わります。頼むときの1枚に「残高の照合」「支出の根拠の確認」「予算との対照」と書いておいてください。監査役が初めての人でも、何を見ればよいかが分かります。
会計担当が監査に出す書類は6つ
監査の日に何を持っていくかが決まっていないと、その場で足りない書類を探すことになります。そろえるものは6つです。
1つめが現金出納帳です。日付、相手、内容、収入、支出、残高の順に並び、最後の行の残高が年度末の手元の現金と一致している状態にします。
2つめが預金出納帳と通帳です。通帳は年度の始めから終わりまでの記録が印字されたものを持っていきます。記帳していない期間があると、監査役はその期間を確かめられません。
3つめが収支計算書です。1年間の収入と支出を科目ごとにまとめたもので、総会で配る書類そのものです。
4つめが収支予算書です。年度の始めの総会で承認を受けた予算を並べ、決算と対照できるようにします。予算と決算を左右に並べた形にしておくと、監査役の確認が速く進みます。
5つめが領収書と請求書の束です。出納帳の順に並べ、通し番号を振っておいてください。番号が振られていれば、監査役は出納帳の行から該当の領収書へ一度で辿れます。番号がない束を渡すと、探す時間だけで監査が長引きます。
6つめが、年度の途中で役員会が決めた支出の記録です。予算にない支出を出したときの議事の記録があれば、それを添えます。
この6つに加えて、会の規約の写しを1部持っていくと話が早くなります。監査役が初めての人の場合、会計年度の区切りや監査役の役割を規約で確かめられます。
監査の前に会計担当がやっておくこと
監査の日に慌てないためには、前の週までに4つを済ませておいてください。
1つめが、現金の実査です。手元の現金を数えて、現金出納帳の残高と合わせます。合わないまま監査に出すのは避けてください。合わない場合は、差がいくらで、どこから生まれた可能性があるかを調べたうえで、調べた記録を添えて監査に出します。分からないまま隠すよりも、分からないと書いて出したほうが、監査役の側も扱えます。
2つめが、通帳の記帳です。年度末の日付までを記帳し、残高が預金出納帳の最終行と一致しているかを確かめます。残高が違う場合は、年度末をまたいだ入出金があるはずなので、日付をたどってください。
3つめが、領収書の並べ替えと番号の付与です。出納帳の行の順に並べ、右上に通し番号を鉛筆で書きます。日付順に並べるだけでも、監査の時間は目に見えて短くなります。
4つめが、説明が要る項目の書き出しです。予算を超えた科目、予算にない支出、金額の大きい支出、去年と比べて大きく動いた科目。この4つについて、なぜそうなったかを1行ずつ書いた紙を作ってください。監査役は必ずここを聞きます。聞かれてから思い出すより、先に書いて渡したほうが早く終わります。
監査の日取りは、総会の2週間前までに置いてください。監査で直しが出た場合に、収支計算書を作り直して印刷する時間が要ります。総会の前日に監査を入れる会は、毎年ここで無理をすることになります。
監査役の側が踏む手順
監査役を初めて引き受けた人のために、確かめる手順を5つに分けて並べます。会計の知識がなくても、この順に手を動かせば監査になります。
1つめが、現金の突き合わせです。会計担当の前で現金を数え、現金出納帳の最終残高と一致するかを見ます。数えた金額を自分の手帳に書き留めておいてください。
2つめが、通帳の突き合わせです。通帳の年度末残高と、預金出納帳の最終行を比べます。
3つめが、抜き取りでの確認です。出納帳の全部の行を領収書と照らし合わせるのは、件数が多い会では現実的ではありません。金額の大きい支出を上から10件、それに加えて無作為に選んだ10件を確かめる形にすると、時間の中で意味のある確認ができます。どの行を確かめたかは書き留めておきます。
4つめが、予算との対照です。収支予算書と収支計算書を並べ、差が大きい科目を拾います。拾った科目について、会計担当に理由を聞きます。
5つめが、聞いた内容の記録です。質問と答えを手帳に残してください。総会で会員から同じことを聞かれたとき、監査役として答えられる材料になります。
この5つを終えたら、確かめた結果を報告書にまとめます。全部を見たわけではないので、抜き取りで確かめたという事実は報告書に書いてかまいません。見ていないものを見たと書かないことが、監査役として守る一番の線です。
一般会計と特別会計が分かれている会の扱い
会計が2つ以上に分かれている会では、監査の手順が少しだけ増えます。町内会では一般会計のほかに、祭礼の会計、防犯灯の会計、集会所の積立を別に持っている会があります。PTAでは、本体の会計とは別に、卒業対策の会計や学年費を分けている会が多いです。
分かれている会計は、それぞれ別に確かめます。理由は2つです。1つめは、口座が別なら残高の突き合わせも別に必要になること。2つめは、会計ごとに担当者が違う場合があり、責任の範囲が分かれていることです。
面倒なのは、会計と会計のあいだでお金が動いている場合です。一般会計から特別会計へ繰り入れた、特別会計の余りを一般会計へ戻した、という動きは珍しくありません。この場合、片方の出金と、もう片方の入金が同じ金額で同じ日に記録されているかを確かめます。片方にしか記録がないと、どちらかの残高が合わなくなります。
積立の会計は、動きが少ないぶん見落としやすい場所です。年に1回の入金しかない口座は、通帳の記帳が何年も放置されていることがあります。監査の前に必ず記帳して、利息が付いているかまで確かめてください。利息を帳簿に書いていない会は、その分だけ通帳の残高が帳簿を上回ります。
報告のしかたは、まとめても分けてもかまいません。どちらの会計にも相違がなかった年は、まとめて報告すれば足ります。片方に指摘がある年だけ、その会計を分けて報告してください。総会の場で会員が知りたいのは、どこに問題があったかという一点です。
帳簿をエクセルで作っている会が気を付けること
任意団体の帳簿は、いまもエクセルで作られている会が多数です。自治体が配る様式も、エクセルの形で公開されています。手軽な一方で、監査のときに困る場所が決まっているので、先に挙げておきます。
1つめが、計算式が壊れていることです。行を挿入したときに合計の範囲が広がらず、足した1行が合計に入っていないという壊れ方がいちばん多いです。監査役は、出納帳の行を電卓で合計して、表の合計と一致するかを一度は確かめてください。表が出した数字をそのまま信じると、壊れた計算式を見逃します。
2つめが、ファイルが複数に分かれていることです。会計担当が年度の途中でファイルを別名で保存し、どちらが最新か分からなくなる形です。最終版がどれかを決め、ファイルの名前に日付を入れておけば防げます。
3つめが、前任者のパソコンにしかない状態です。会計担当が代わるときにファイルを受け渡す形だと、受け渡しの前に故障すれば年度の記録が消えます。会のメンバーが共通で見られる場所に保存しておくのが安全です。1年分の帳簿を作り直すのは、現実には不可能です。
4つめが、マクロが動かないことです。自治体が配る様式には、ボタンで集計するマクロ版と、手で入力する簡易版が用意されている場合があります。マクロ版はパソコンの設定によってボタンが動かないことがあるので、動かない年は簡易版に切り替えてください。監査の当日にボタンを押して動かないと、その場で作業が止まります。
監査報告書に書く項目
任意団体の監査報告書は、1枚に収まります。書く項目は7つです。
1つめが表題です。「令和7年度 会計監査報告書」のように、年度と書類の名前を書きます。
2つめが宛先です。多くの会では、会長あてか、総会あてにします。規約に定めがあればそれに従います。
3つめが監査の対象です。どの会計年度の、どの会計についての監査なのかを書きます。一般会計と特別会計が分かれている会は、両方を対象にしたことを書いてください。
4つめが監査を行った日と場所です。
5つめが監査の方法です。何を確かめたかを1文か2文で書きます。「現金出納帳、預金出納帳、通帳、領収書、収支計算書、収支予算書を照合し、会計担当者から説明を受けた」のような書き方になります。
6つめが監査の結果です。ここが報告書の本体です。数字が合っていたこと、支出に根拠があったこと、予算の範囲に収まっていたことを書きます。
7つめが日付と監査役の署名です。監査役が2人いる会は、2人の連名にします。
書式が決まっていない会は、自治体が配っている様式集を参考にしてください。総会の案内や書面表決の様式と一緒に、地域活動団体向けの書式を無料で公開している自治体があります。ワードやエクセルの形で配られているので、会の名前を差し替えれば使えます。
総会での読み上げ方と文例
総会での会計監査報告は、長く話す場面ではありません。会員が知りたいのは、数字が合っていたかどうかの一点です。
読み上げる順番は3つです。誰がいつ監査したか、何を確かめたか、結果はどうだったか。この順に読めば、1分で終わります。
文例を1つ挙げます。「監査役の〇〇です。令和〇年度の会計につきまして、〇月〇日、会館におきまして、現金出納帳、預金出納帳、通帳、領収書、収支計算書を照合し、会計担当の△△さんから説明を受けました。帳簿の残高と現金および預金の残高は一致しており、支出はいずれも領収書等により確認できました。予算に対する執行も適正であったことをご報告いたします。」
一般会計と特別会計が分かれている会では、まとめて報告してかまいません。「一般会計、特別会計のいずれにつきましても相違はございませんでした」と続ければ足ります。1件ずつ分けて読む必要があるのは、どちらかに指摘がある場合だけです。
読み上げたあとに、会員から質問が出る場合があります。監査役が答えられない内容は、会計担当に振ってかまいません。監査役が確かめた範囲を超えた質問に、その場で推測で答えないことが大事です。
原稿は紙に書いて持っていってください。監査役は年に一度しかこの場に立たないので、覚えて話す前提にすると言葉に詰まります。読み上げた原稿は、そのまま次の年の監査役に渡す資料になります。
相違が見つかったときの書き方
数字が合わない、領収書がない、予算にない支出がある。こうした事実が見つかったときの書き方が、監査報告のいちばん難しいところです。
まず、隠さないでください。監査役が気付いた事実を報告書から落とすと、後から分かったときに会計担当と監査役の両方が疑われます。書くべき事実は書きます。
次に、書き方を分けてください。事実と、原因の推測と、今後の提案は別のものです。報告書には事実を書き、提案は付記か口頭にとどめます。「現金に300円の不足がありました」は事実です。「会計担当が私的に流用した可能性があります」は推測であり、確かめていないなら書いてはいけません。
不足の額が小さい場合、現実には記帳漏れか釣り銭の間違いです。原因が特定できないときは、「原因を特定できませんでした」と書き、不足額を雑損として処理したことを添えます。処理の方法は役員会で決めて、その決議を記録に残してください。
領収書がない支出については、代わりの記録があるかを確かめます。出金伝票に日付と相手と内容と金額を書き、支払った人が署名した紙があれば、それを根拠として扱う会が多いです。何もない支出は、その旨を報告書に書きます。
予算にない支出は、役員会の決議があるかどうかで分かれます。決議があれば、決議にもとづく支出として書けます。決議がない場合は、事実として書き、今後は役員会の決議を経るよう申し添える形にします。
会社法の世界での会計監査報告
任意団体の監査を考えるときに、会社の世界で確立している手続きを知っておくと、自分の会のどこが緩いのかが見えます。会社法のもとでは、監査報告の通知にも期限が定められています。
特定監査役(監査役または監査役会)は、特定取締役に対し以下のうちどちらか遅い日を期限とし監査報告の内容を通知しなければなりません。
1.会計監査報告を受け取った日から1週間経過した日 2.特定監査役・特定取締役の2者合意により定められた日
監査報告の内容を通知された日を監査役または監査役会の監査を受けた日とみなすことができ、期限までに通知されない場合も監査を受けたものとみなすことができます。 出典: saisoncard.co.jp
ここから借りられる考え方が2つあります。1つめが、監査を受ける側と監査する側の役割を分け、受け渡しの期限を先に決めておくことです。任意団体でも、会計担当が書類をそろえる日、監査役が確かめる日、報告書を会長に渡す日を年度の始めに決めておけば、総会の直前に慌てません。
2つめが、通知が期限内に来なかった場合の扱いまで決めてあることです。任意団体では、監査役の都合が付かずに監査が総会の前日になる年が必ず出ます。そのときにどうするかを規約か申し合わせに書いておくと、その年の役員が判断で迷いません。
会社法の手続きをそのまま持ち込む必要はありません。借りるのは、役割を分けることと、期限を先に決めることの2点です。
補助金を受けた事業は、報告の様式を先に確かめる
自治体から補助金や交付金を受けた事業がある年は、会の内部の監査とは別に、交付元への実績報告が必要になります。ここを会の様式で作って出すと、差し戻されて作り直しになります。
先にやることは3つです。交付の決定通知に添えられた様式を探すこと、提出の期限を確かめること、そして必要な添付書類を数えることです。様式は交付元のホームページに置かれている場合が多く、収支の内訳を書く欄と、支出の内容を書く欄が分かれています。会の収支計算書とは科目の区切りが違うので、そのまま写せないことがほとんどです。
添付書類でよく求められるのは、領収書の写し、事業の写真、参加者の人数を示す記録です。補助の対象になった支出だけを抜き出して並べる必要があるため、年度の途中から領収書に印を付けておくと、まとめる作業が短くなります。
期限は、会の総会より早い場合があります。総会で決算の承認を受けてから報告書を作る段取りにしていると、期限に間に合いません。交付の決定通知を受けた時点で、報告の期限を年間の予定表に書き込んでください。
監査役には、補助金の部分も見てもらってください。補助の対象になる支出と、会の一般の支出が混ざっていないかを確かめる作業は、当事者よりも第三者のほうが気付きます。確かめた結果は、会の監査報告書にも1行で書いておくと、翌年の役員が経緯をたどれます。
監査を毎年同じ形で回すための引き継ぎ
任意団体の監査でいちばん多い困りごとは、去年どうやったかが分からないことです。会計担当と監査役が同じ年に入れ替わると、手順が途切れます。
残すものは4つです。監査の日程表、監査に出した書類の一覧、監査役に渡した質問と答えの記録、そして報告書そのものです。この4つを年度ごとにひとまとめにして保存しておけば、次の役員は去年と同じ形をなぞれます。
保存の場所は、紙だけにしないでください。会館の書庫に紙を保管している会は、その書庫を開けられる人が限られます。書類を写して会のメンバーが見られる場所に保存しておけば、役員の家にあるか会館にあるかを探す時間がなくなります。
引き継ぎの紙には、監査役への依頼の文も入れておいてください。監査役を新しく引き受けた人に「何を見ればよいのか」と聞かれるのは毎年のことです。依頼の文に、確かめてほしい3点と、当日に用意する書類の一覧を書いておけば、説明の電話が1本減ります。
会計担当の引き継ぎでは、帳簿のデータの受け渡しが要になります。前任者のパソコンの中にしかない表を使っている会は、その人が抜けた時点で開けなくなります。会のメンバーが共通で使える場所に帳簿を保存しておく形にしておくと、監査の前に書類を集める作業そのものが消えます。
監査でやりがちな3つの失敗
最後に、毎年どこかの会で起きている失敗を3つ挙げます。
1つめが、会計担当が監査役を兼ねてしまうことです。人手が足りない会では起きがちですが、これでは監査になりません。確かめる人は、お金を扱っていない人にしてください。会員の中から探すのが難しい場合、近い会の役員に頼む会もあります。
2つめが、監査を判子だけで済ませることです。監査役が書類を見ずに署名した年があると、あとで問題が出たときに何も確かめられていないことが分かります。確かめた範囲を報告書に書く形にしておけば、判子だけで済ませることはできなくなります。
3つめが、監査の指摘を記録に残さないことです。監査役が口頭で伝えた改善点は、その年の役員会が終わると消えます。次の年に同じ指摘が出て、同じ会話が繰り返されます。指摘は報告書か議事の記録に1行で残し、翌年の監査のときに前年の指摘を読み返す手順にしてください。
この3つを避けるだけで、監査は形式ではなく機能になります。会員から見ても、監査報告に中身があるかどうかは伝わります。会費を出している側が知りたいのは、確かめた人がいたという事実です。
書類と連絡をどこにまとめるか
監査の前後で会計担当と監査役の手間になっているのは、実は数字の計算ではなく、書類と連絡のやりとりです。ここをどこでまとめるかで、毎年の負担が変わります。
前に来るのが、日程の調整です。会計担当と監査役2人の都合を合わせる作業を、電話とメールでやっている会は少なくありません。会の連絡の場で日程の候補を出し、都合を答えてもらう形にすると、往復が1回で済みます。
後に来るのが、収支計算書と監査報告書の共有です。総会の前に会員へ配る必要があり、紙で配ると印刷と配布の手間がかかります。回覧板で回すと最後の人に届くのが総会の直前になります。
いま会の連絡に使っている道具の性質を知っておく価値があります。LINEのグループを連絡に使っている会は、書類と日々の連絡が同じ画面に混ざり、総会が近づくと過去の書類を探せなくなります。その違いを整理したものがLINEグループとの比較にあります。
誰でも入れる公開の場所と、招いた人だけが入る場所の違いはLINEオープンチャットとの比較で扱っています。会費の額や滞納の状況は、メンバー以外は見られない場所で扱うのが前提になります。掲示板と予定表を持つ無料のグループ機能から移す場合に何が変わるかはBANDとの比較にまとめました。
町内会での実際の使いかたを並べたものが町内会での使われかたです。総会の案内、会費の連絡、書類の共有をどこでまとめるかの例が入っています。学年ごとに会計が分かれる団体の形を見たい場合はPTAでの使われかたのほうが近くなります。
費用や使い始めの手順でよく聞かれることはよくある質問にまとめてあります。監査の書類を保存する場所を決めるときは、来年の役員が開けるかどうかだけを基準にしてください。会計の作業そのものは会計ソフトが引き受けますが、日程の調整と書類の共有はその外に残ります。両方をどこでまとめるかを年度の始めに決めておくと、総会の前の1か月が静かになります。
Q1. 会計監査報告は、総会で必ず読み上げないといけませんか?
規約に定めがあれば従ってください。定めがない会でも、会費を出している会員に対して確かめた事実を伝える場になるため、総会で読み上げる形が広く取られています。読み上げる内容は、誰がいつ監査したか、何を確かめたか、結果はどうだったかの3点で足ります。1分ほどで終わる長さが目安です。
Q2. 現金と帳簿の残高が合わないまま監査に出してもよいですか?
合わない事実を隠さずに出してください。差額がいくらで、どこから生まれた可能性があるかを調べた記録を添えます。原因が分からない場合は、原因を特定できなかったことを報告書に書き、差額の処理方法を役員会で決めて決議を記録に残してください。隠したまま通すと、後から分かったときに会計担当と監査役の両方が疑われます。
Q3. 領収書がない支出は、監査で認められませんか?
代わりの記録があれば根拠として扱われます。日付、相手、内容、金額を書いた出金伝票に、支払った人が署名した紙を添える形が多く取られています。何の記録もない支出については、その事実を監査報告書に書き、今後は伝票を残すよう申し添える形になります。金額の大小ではなく、記録があるかどうかで分かれます。
Q4. 会計担当が監査役を兼ねてもよいですか?
避けてください。お金を扱った人が自分で確かめる形では、監査の意味がなくなります。会員の中から、会計に関わっていない人を選んでください。人手が足りない会では、近隣の会の役員や、会を退いた元役員に頼む例もあります。監査役を2人置いて連名で報告する形にすると、1人が都合が付かない年にも回ります。