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防災訓練の内容の決め方|毎年同じにならない組み立て

2026年10月1日 ・ Tsudoo編集部

防災訓練の内容を決める段になると、去年の資料をそのまま出すか、何か1つ足すかで迷います。毎年同じ内容が続くと参加者が減り、減ったから簡単にすると、さらに減ります。ここでは、訓練の種類を並べて今年やるものを選ぶ方法と、法律が求めている回数、そして安否確認そのものを訓練の中身にする組み方を、担当者の手順としてまとめます。

毎年同じ内容になってしまう理由

町内会や自主防災の担当が代わるたびに、前年の資料を引き継いで同じ日程で回す。この形が続くと、訓練は行事になります。消火器の使い方を見て、炊き出しを食べて、解散する。参加するのは毎年同じ顔で、人数は少しずつ減っていきます。

同じ内容が続く理由は、担当者の熱意ではなく引き継ぎの形にあります。前年の資料が「当日の進行表」だけだと、なぜその内容にしたのかが分かりません。判断の理由が残っていないので、次の担当者は変える根拠を持てず、そのまま踏襲します。3年続けば、内容を変えること自体が異例になります。

もう1つの理由は、目的が1行で書かれていないことです。避難の経路を確かめるのか、安否の確認ができるかを試すのか、初期消火の手を動かすのか。目的が決まっていれば内容は自動的に絞られますが、決まっていないと「去年やったこと」が目的の代わりになります。

参考になる整理では、訓練の計画は防災マニュアルを基に、目的と内容を明確にするところから始めると説明されています。

防災訓練の計画とテーマ決定は、効果的な訓練の基礎となります。防災マニュアルを基に、目的と内容を明確にしましょう。 出典: sol.kepco.jp

マニュアルがない会では、まず1枚のマニュアルを作るところが今年の訓練のテーマになります。避難場所、集合の順番、安否の伝え方、連絡の担当。この4つだけ書いた紙でも、訓練の設計の土台になります。毎年変えるものと、変えないものを分けるためにも、書いた紙が必要です。

防災訓練と避難訓練は同じではない

言葉が混ざりやすいところから整理します。避難訓練は防災訓練の一部で、全部ではありません。

防災訓練にはさまざまな種類があり、避難訓練はその代表的な訓練の一つです。避難訓練は、災害発生時に安全な場所へ速やかに避難できるかを確認する訓練であり、防災訓練全体の一部として位置づけられています。防災訓練では、避難行動の確認に加え、安否確認や初期対応、情報伝達等も含めて行うことで、災害時に必要となる対応を総合的に身につけることができます。企業と自治体は、それぞれの立場にあわせた準備が必要なため、訓練の内容が異なります。 出典: sol.kepco.jp

避難行動の確認に加えて、安否確認、初期対応、情報伝達が挙げられています。この4つを毎年全部やる必要はありません。むしろ、1回の訓練に全部詰め込むと、どれも形だけになります。年に2回できる会なら、1回目に避難と初期消火、2回目に安否確認と情報伝達というように分けると、1つずつ手を動かせます。

立場によって内容が変わる点も押さえておきます。企業の訓練は建物と従業員を対象にし、自治体の訓練は住民と地域の施設を対象にします。町内会や自主防災組織は後者に近く、要配慮者の把握、避難所の開設、地域の危険箇所の確認といった項目が中心になります。企業向けの資料をそのまま使うと、机上の手順だけが増えて地域の実情に合いません。

学校の訓練と、地域の訓練を混ぜないことも大事です。学校は授業時間内に児童を動かす前提で組み立てられており、日中に大人が集まれない地域の実情とは条件が違います。地域の訓練で夜間や早朝を想定する回を作ると、参加できる顔ぶれが変わり、内容も自然に変わります。

法律が定めている回数と事前の手続き

回数の義務は、建物の用途によって決まっています。消防法施行規則は第3条第10項で、劇場や集会場、飲食店や物品販売店、旅館、病院や福祉施設などに当たる防火対象物の防火管理者は、消火訓練と避難訓練を年2回以上実施しなければならないと定めています。町内会の集会所が集会場に当たる規模なら、この義務の対象になります。

同じ条の第11項は、こうした訓練を実施する場合には、あらかじめその旨を消防機関に通報しなければならないと定めています。当日いきなり行うのではなく、事前に消防署へ届けるという流れです。消防署に相談すると、消火器の使い方の指導や、起震車の手配を頼める場合があります。届け出を義務としてだけ捉えると損で、協力を得る入口として使うほうが実際的です。

一方、町内会という組織そのものに、法律で回数が定められているわけではありません。回数は規約か年間計画で自分たちが決めます。決めていない会では、担当者の判断で毎年変わり、記録も残りません。規約に「年1回以上実施する」と書いておくだけで、実施するかどうかの議論が毎年起きなくなります。

自主防災組織として市町村の補助を受けている会では、補助の条件に回数や報告が含まれていることがあります。申請の書類に訓練の実施を書く欄があるなら、そこに書ける形で記録を残します。写真、参加者数、実施した項目の3点があれば、ほとんどの報告に足ります。

日程の選び方としては、国が定めている2つの週に合わせる方法があります。防災週間は8月30日から9月5日まで、防災とボランティア週間は1月15日から1月21日までです。この期間は行政も広報を出し、資料や講師の手配がしやすくなります。夏と冬に1回ずつ置けば、暑さと寒さという条件の違いも訓練に入ります。

訓練の種類を並べて、今年やるものを選ぶ

選ぶために、まず並べます。地域の訓練で実際に行われている項目は、おおむね次の10種類に整理できます。

避難訓練は、集合場所までの経路を歩いて確かめます。地図の上で決めた経路が、実際には通れないことがあります。初期消火訓練は、消火器と消火栓を実際に扱います。持ち方と姿勢を1度やっておくと、いざというときに動けます。通報訓練は、119番への伝え方を練習します。住所と目標物を先に言う形を決めておきます。

安否確認訓練は、名簿に沿って全世帯の状況を集めます。要配慮者の確認と組み合わせると、実効性が上がります。情報伝達訓練は、集めた情報を役員間で回します。誰から誰へ、どの方法で、何分以内に届くかを測ります。

避難所開設訓練は、鍵の開け方から受付の設置までを通します。誰が鍵を持っているかが分からない会は、ここで発見できます。給食給水訓練は、炊き出しと水の配り方です。応急救護訓練は、止血と搬送の手順を消防署の指導で行います。図上訓練は、地図に危険箇所と避難経路を書き込みます。屋内で短時間でできるので、雨天の代替にもなります。

最後に、持ち出し品の点検です。各家庭の備えを確かめるだけの回で、集まらずに実施できます。回覧で点検表を配り、確認した世帯に印を付けて戻してもらう形なら、参加率が高くなります。

この10種類から、今年やるものを2つか3つ選びます。選ぶ基準は、去年やらなかったもの、去年うまくいかなかったもの、そして今年新しく必要になったものの3つです。地区に新しい集合住宅ができた年は避難経路を、要配慮者の名簿を作り直した年は安否確認を選ぶ、という形で理由を残します。

1回の訓練の時間割を作る

内容が決まったら、時間割にします。長くしないことが最も重要です。集合から解散までを90分に収めると、参加者の顔ぶれが変わります。2時間を超える訓練は、高齢の会員と小さな子どもがいる世帯から落ちていきます。

90分の組み方の一例を示します。最初の10分は集合と受付で、名簿に印を付けます。次の20分で避難経路を歩きます。歩きながら、危険箇所を指さして確認します。次の20分で安否確認を行い、集めた情報を役員が集約します。ここで時間を測ります。次の20分で初期消火を体験します。最後の20分で、その日に気づいたことを口に出して共有し、記録係が書き取ります。

この最後の20分を省く会が多く、そこが最も惜しい部分です。歩いてみて分かったこと、連絡が届かなかった世帯、集合場所の狭さ。当日に出た気づきは、その場で書かなければ翌年には残りません。5行でよいので、その場で紙に書いて写真を撮ります。

雨天の代替も先に決めておきます。屋外の項目を屋内の図上訓練に差し替える形にすれば、中止せずに済みます。中止にすると、次の実施まで1年空きます。屋内でできる項目を1つ用意しておくだけで、実施の回数が確実に増えます。

役割分担も紙に書きます。進行、受付、記録、写真、消防署との連絡、機材の手配。6つの役割を名前で埋めておけば、当日に誰かが1人で走り回る事態を避けられます。役割ごとに前日までの準備を1行添えると、そのまま翌年の引き継ぎ資料になります。

安否確認そのものを訓練の中身にする

情報伝達の訓練は、道具を実際に動かすと中身が濃くなります。公的な仕組みには、訓練のための体験利用日が用意されています。

災害用伝言ダイヤル(171)と災害用伝言板(web171)は、災害の発生時に電話がつながりにくい状況になったときに提供が始まる仕組みです。平常時は使えませんが、体験利用の日が決まっています。毎月1日と15日の0時から24時まで、正月三が日、防災週間の8月30日9時から9月5日17時まで、防災とボランティア週間の1月15日9時から1月21日17時までです。訓練の日をこの期間に合わせれば、本物の仕組みを実際に触って練習できます。

中身の条件も知っておくと、訓練の設計が具体的になります。災害用伝言ダイヤルは1伝言あたり30秒以内で、1つの電話番号あたり1件から20件の伝言を保存します。災害用伝言板は1伝言あたり100文字以下、伝言は最大20件、保存期間は最大6か月です。30秒で何を言うか、100文字に何を書くかを先に決めておかないと、当日は名前と「無事です」だけで終わります。

伝える内容の型を作っておくと訓練になります。名前、居場所、けがの有無、次の連絡の予定。この4つを30秒で言う練習を1回しておくと、実際の場面で迷いません。会の連絡としては、班ごとの取りまとめ役が自分の班の状況を伝える形にすると、役員が聞く先が少なくなります。

緊急速報メールの扱いも確かめておきます。気象庁が配信する緊急地震速報や津波警報、各省庁や地方公共団体が配信する災害や避難の情報は、申し込みなしで、月額使用料も通信料も無料で受け取れる仕組みです。回線が混雑していても受信できる方式で送られ、画面に大きく表示されます。ただし、通常のメールと違って事業者の設備に預かっておく仕組みではないため、受信できない場合があります。届かないことを前提に、届かなかった人への連絡を誰が担うかを決めておきます。

想定を1つ決めてから内容を組む

訓練の内容が散らかる原因の多くは、想定を決めていないことにあります。何が起きた前提なのかが決まっていないと、項目を並べただけの行事になります。想定に入れるのは、災害の種類、発生の時刻、被害の程度の3つです。

災害の種類は、地区の地形で決まります。河川の近くなら水害、斜面の近くなら土砂災害、古い木造の家が密集している地区なら地震後の火災。市町村が出している被害の想定や、地区の危険箇所の地図を先に見ます。地図を見ないまま地震だけを想定していると、実際に起こりやすい災害の備えが抜けます。

発生の時刻は、毎年変えると訓練の中身が変わります。日中を想定すると、働きに出ている世帯が不在という条件になり、地区に残っている人だけで動く形になります。夜間を想定すると、照明と足元の安全が主題になります。早朝や休日を想定すると、集まれる人数が変わります。同じ避難訓練でも、時刻の想定を変えるだけで見えるものが変わります。

被害の程度は、控えめに置くほうが実効性が上がります。全域が停電し、断水はしていない。この程度の想定なら、手順のほとんどをその場で試せます。被害を大きく置くと、机上の話になって手が動きません。1つの訓練で確かめる条件は1つに絞ります。

想定は、案内にも1行書きます。「今年は平日の夜間に地震が発生し、停電している状況を想定します」。この1行があるだけで、参加者は何を試す日なのかを理解して来ます。書いていない訓練では、参加者は見学者になります。

参加者を増やす工夫

内容が良くても、来る人が少なければ実効性は上がりません。参加者を増やす工夫は、案内、時間、中身の3つに分けられます。

案内は、実施日の3週間前に1回、1週間前にもう1回出します。1回だけだと忘れられます。2回目の案内には、当日やることを箇条で3行書きます。「何をするか分からない集まり」には、人は出てきません。持ち物と服装、雨天の扱い、所要時間も書きます。所要時間が書いてあるだけで、参加の判断がしやすくなります。

時間は、参加してほしい層に合わせて変えます。子どもを含む世帯に来てほしい年は、土曜の午前で、行事の前に短く組みます。高齢の会員に来てほしい年は、平日の午前のほうが出やすい地域もあります。年に2回やるなら、1回を休日、1回を平日に置くと、両方の顔ぶれに会えます。

中身では、見学で終わらせないことが効きます。消火器を持つ、経路を歩く、伝言を録音する。手を動かした人は次の年も来ます。座って説明を聞くだけの回は、参加者数が落ちます。子どもが参加できる項目を1つ入れると、世帯単位で来やすくなります。

案内を出す先も広げます。回覧板が届かない世帯、集合住宅の入居者、単身で入ったばかりの世帯は、そもそも訓練の存在を知りません。地区の掲示板と回覧だけでは届かない層に、別の経路で1回声をかけます。管理人がいる集合住宅なら、掲示を頼めることが多くあります。

参加できなかった人への扱いも用意します。当日の写真と気づきを回覧で流し、点検表を配って各家庭でできることを1つ頼みます。参加率20パーセントの訓練でも、点検表が全世帯に回れば、備えの確認は全体に届きます。訓練の目的は集めることではなく、備えを確かめることです。

要配慮者の把握を訓練に組み込む

安否確認の訓練でいちばん差が出るのは、要配慮者の把握です。ひとりで避難できない人、声かけが必要な人、常用の薬がある人。この情報が名簿になければ、当日は元気な人の安否だけが集まります。

情報の集め方は、届け出制にします。全世帯に確認の用紙を配り、支援が必要な場合だけ書いて戻してもらう形です。強制的に聞き出す形にすると、出したくない世帯との関係が悪くなります。市町村が避難行動要支援者の名簿を作っている地域では、同意した人の情報が会に提供される仕組みがあるので、担当の窓口に確認します。会が独自に集めた分と、行政から提供された分を分けて保存しておくと、扱いの範囲を間違えません。

保存の場所は限定します。要配慮者の情報を含む名簿は、回覧で回すものではありません。閲覧できる役職を決め、その範囲だけが見られる状態で保存します。紙で持つなら保管場所を決め、持ち帰らない運用にします。画面で持つなら、役員の交代で閲覧権を移せる仕組みが必要です。担当者の個人の端末にだけ保存された名簿は、交代の時点で会から消えます。

訓練での使い方は単純です。班ごとに、要配慮者に当たる世帯を最初に回ります。1班あたり2軒か3軒なら、5分ほどで回れます。回った結果を班長が取りまとめ、役員に伝えます。ここまでを何分でできたかを測っておくと、実際の場面の見通しが立ちます。

訓練の後には、名簿を直します。転居、入院、世帯の変化で、内容は毎年変わります。年に1回、訓練の日に合わせて確認の用紙を配り直す形にしておけば、更新のきっかけを別に作る必要がありません。

備蓄と資機材の点検を同じ日に済ませる

訓練の日は、集まる人が多い唯一の日です。この日に点検も済ませておくと、別の日に人を集める必要がなくなります。点検の対象は、備蓄品、資機材、そして施設の3つです。

備蓄品では、期限のあるものを先に見ます。飲料水と食料の消費期限、乾電池の使用推奨期限、簡易トイレの凝固剤。期限が近いものは訓練の炊き出しで使い切り、その分を買い足します。買い足す前に使うという順番にすれば、捨てる分が出ません。期限の一覧を1枚の表にしておき、次に切れるものが上に来るよう並べておくと、毎年の点検が数分で終わります。

資機材では、実際に動かして確かめます。発電機は燃料を入れて始動させ、投光器は点灯させます。1年動かさなかった発電機は、いざというときに始動しないことがあります。可搬式のポンプ、リヤカー、担架、ヘルメット、腕章。数を数えるだけでなく、使える状態かを見ます。使えないものは、その場で修理か買い替えを決め、記録に残します。

施設では、鍵と設備を見ます。集会所や避難所になる建物の鍵を誰が持っているか、夜間に開けられるか。受電の停止時に照明が使えるか、水が出るか。マンホールトイレがある地区では、開け方を1度やっておきます。鍵の所在が分からない会は珍しくなく、訓練の日にここで詰まることがよくあります。

点検の結果は、備蓄の表と資機材の表に書き入れます。この2枚の表が毎年更新されていれば、次の担当者は何が足りないかを一目で把握できます。買い足しの費用は、翌年度の予算に入れます。訓練の場で「足りない」と言うだけで予算に載せないと、翌年も同じ話が出ます。

近隣の会や学校と一緒に行う場合

単独では人数が足りない会では、隣の町内会や、地区の学校と合同で行う方法があります。合同にすると、機材と講師を分け合えるので、1会あたりの負担が下がります。一方で、段取りは増えます。

決めておく項目は5つです。集合場所と時間、それぞれの会が担当する項目、連絡の窓口、雨天の判断を誰がするか、費用の分担。特に雨天の判断は、当日の朝に誰が決めて誰に伝えるかを1本に決めておかないと、片方だけが集合する事態が起こります。

学校と行う場合は、条件の違いを先に確かめます。学校の訓練は授業の時間に組まれるので、平日の日中になることが多く、地域の大人が参加しにくい時間帯です。休日に学校の施設を使う形なら、施設の使用の手続きと、当日の責任者を決める必要があります。児童の引き渡しの訓練を一緒に行う場合は、引き渡す相手の確認方法まで決めておきます。

連絡の経路も整理します。会の中の連絡、会と会の連絡、会と学校の連絡の3本が走ります。3本が別の方法で走ると、誰がどこまで知っているかが分からなくなります。合同で行う年は、代表者どうしの連絡の場を1つ作り、そこに決定事項だけを流す形にすると混乱が減ります。

規模が大きくなると、当日の進行に人手が必要です。合同の訓練では、進行と記録を各会から1人ずつ出し、全体で4人から6人の体制を組みます。人数が増えた分だけ段取りの手間も増えるので、初回は項目を2つに絞ります。合同を毎年続けるかは、初回の記録を見て次の年に決めます。

記録と、次の年への引き渡し

記録として残すものは4点です。当日の進行表、参加者数と参加世帯数、その日に出た気づき、そして次の年にやることの候補。この4点を1つの紙にまとめ、会の保管場所に保存します。

マニュアルの側も直します。訓練で見つかった不具合は、当日の記録に書くだけでなく、マニュアルの本文に反映します。集合場所が狭いと分かったなら集合場所の記述を、鍵の持ち主が分からなかったなら連絡先の記述を書き換えます。

マニュアルは定期的に更新し、訓練結果や組織変更を反映させましょう。実際の災害経験も活かし、常に最新で実効性のある内容に保つことが重要です。 出典: sol.kepco.jp

組織の変更を反映する点も見落としがちです。役員が代わり、班の区切りが変わり、要配慮者の状況も変わります。年に1回、訓練のあとにマニュアルを開いて名前と連絡先を直すだけで、実効性はかなり変わります。

記録の保存先も決めます。担当者の端末にだけ残った写真と表は、交代の時点で会から失われます。会の保管場所に紙で1部、会員が参照できる場所に写しを1部という形にしておけば、どちらかが残ります。写真に子どもの顔が写っている場合は、公開の範囲を先に決めます。回覧で見せるだけなのか、会員が見られる場所に保存するのか。決めずに広く出すと、後から取り下げを求められます。

引き渡しでは、判断の理由を書き残します。「今年は安否確認を選んだ。前年に避難経路を確認済みで、要配慮者の名簿を作り直したため」。この2行があれば、次の担当者は違う選択ができます。進行表だけを渡すと、同じ内容が繰り返されます。

連絡の道具そのものを訓練で試す

訓練で最もつまずくのが、連絡の部分です。安否を集める段になって、班長の電話番号が分からない、名簿が担当者の家にある、前回の連絡がどこに流れたか分からない。この3つは、当日の工夫では解決しません。平常時の連絡の形がそのまま出てきます。

だからこそ、訓練の対象に連絡の道具を入れます。集合の案内をどこから流すか、安否の回答をどこに集めるか、集まった結果を誰がどこで見るか。この3つを訓練の日に実際に動かせば、災害時に動くかどうかが分かります。平常時に使っていない道具は、災害時にも使えません。

道具の選び方は、会の事情で変わります。過去の連絡がさかのぼれるか、役員が代わったときに記録が残るかという点は、LINEグループとの比較で、名簿の引き継ぎと連絡の残り方の観点から整理しています。誰でも入れる場所に名簿や要配慮者の情報を保存してよいかを考えるときは、LINEオープンチャットとの比較が判断の材料になります。掲示と出欠を分けて扱う形の違いはBANDとの比較にまとめてあります。

実際の運用に近い例では、班ごとの連絡と行事の案内を同じ場所で扱う形が町内会での使われかたに、年度で担当が代わる前提の形がPTAでの使われかたに並んでいます。学校と地域が一緒に訓練を行う場合の連絡の流れは学校での使われかたが近いはずです。費用や始め方の疑問はよくある質問にまとめてあります。

見るべき点は2つに絞れます。1つは、会員が新しく覚えることが増えないか。訓練の日に初めて触る道具では、安否は集まりません。もう1つは、名簿と連絡の記録がメンバー以外は見られない状態で保存されるかどうかです。要配慮者の情報を含む名簿を、誰でも見られる場所に保存する形にはできません。この2点を満たす道具を1つ決めて、平常時の連絡をそこに寄せておけば、訓練の内容は毎年そこから組み立てられます。

Q1. 防災訓練は年に何回やる必要がありますか?

町内会という組織そのものに法律上の回数の定めはなく、規約か年間計画で自分たちが決めます。ただし建物の用途によっては義務があり、消防法施行規則は集会場や店舗、旅館、病院や福祉施設などに当たる防火対象物の防火管理者に、消火訓練と避難訓練を年2回以上行うことを定めています。

Q2. 訓練の内容は毎年変えたほうがよいですか?

変えたほうが実効性が上がります。避難行動の確認だけでなく、安否確認、初期対応、情報伝達も防災訓練に含まれます。1回に全部詰め込むと形だけになるため、去年やらなかったもの、うまくいかなかったもの、今年新しく必要になったものの3つを基準に2つか3つ選びます。

Q3. 災害用伝言ダイヤルを訓練で使えますか?

体験利用の日が決まっています。毎月1日と15日の0時から24時まで、正月三が日、防災週間の8月30日9時から9月5日17時まで、防災とボランティア週間の1月15日9時から1月21日17時までです。訓練日をこの期間に合わせると、本物の仕組みを実際に触って練習できます。

Q4. 訓練を行うとき、消防署への届け出は必要ですか?

消防法施行規則は、消火訓練と避難訓練を実施する防火管理者に、あらかじめその旨を消防機関に通報することを定めています。届け出は義務であるだけでなく、消火器の扱いの指導や起震車の手配を相談する入口にもなるため、日程が決まった時点で消防署に連絡します。

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