月謝の管理でいちばん重いのは、金額の計算ではありません。誰が払っていて誰が払っていないかを、毎月人の記憶と通帳で突き合わせる作業です。この記事では、月謝の台帳に何を持たせるか、集め方5種類で費用がどれだけ変わるか、未納にどう向き合うかを順に整理します。金額はいずれも公式の料金ページで確認した実額を使います。
月謝の管理が重くなる本当の理由
月謝が30人分あるとして、金額を足すだけなら電卓で1分です。それでも月末に何時間も取られるのは、次の3つが別々の場所にあるからです。
1つ目は、誰にいくら請求するかという情報です。コースごとの金額、兄弟割引、途中入会の日割り、休会中の扱いが人ごとに違います。この情報は多くの場合、運営者の頭の中か、手元のスプレッドシートにしかありません。
2つ目は、入ったかどうかの情報です。現金なら封筒と手書きの台帳、振込なら通帳か銀行のアプリ、口座振替なら代行会社からの結果ファイルにあります。集め方が混在している教室では、この確認だけで3か所を見ることになります。
3つ目は、今月来たかどうかという情報です。出席簿にあります。休会や退会の判断、振替の残り回数、月謝を止めるかどうかの判断は、ここを見ないと決められません。
この3つを並べて人が照合するのが、月末の作業の正体です。30人規模で毎月3時間前後、人数が増えれば比例以上に膨らみます。逆にいえば、この3つが同じ場所にあって、突き合わせが済んだ状態で表示されるなら、月末の作業は未納の確認と連絡だけになります。月謝の管理を軽くするというのは、便利な機能を足すことではなく、この3つを1か所に寄せることを指します。
台帳に持たせる項目を決める
道具を選ぶ前に、何を管理するかを決めます。ここが曖昧なまま道具を入れると、道具の形に合わせて運用を変えることになり、現場が混乱します。
最低限必要なのは、次の項目です。生徒の氏名と連絡先、保護者の氏名と連絡先、入会日、所属するコースやクラス、毎月の金額、支払いの方法、支払いの状態です。ここに、その教室の事情に応じた項目を足します。兄弟の有無、割引の種類と金額、休会の開始日と終了予定、教材費や施設費といった月謝以外の請求などです。
支払いの状態は、単純な二択にしないほうが実務に合います。未請求、請求済み、入金済み、一部入金、免除、繰越といった状態を持てると、例外が発生したときに台帳の外へ逃げずに済みます。実務で困るのは、ほとんどが例外です。半月で退会した人、月の途中でコースを変えた人、兄弟のうち1人だけ休会した人を、台帳の中でどう表すかを先に決めておきます。
もう1つ決めておきたいのが、請求の締め日と支払いの期限です。「毎月25日に翌月分を請求し、月末までに入金」のように、日付で書ける形にします。ここが決まっていないと、未納かどうかの判定ができません。判定ができないものは追えません。未納を追える形にする第一歩は、期限を日付で決めることです。
決めた内容は、入会時に渡す書面と、毎月の請求の画面の両方に出します。書面にしか書いていないと、半年後には誰も覚えていません。請求の画面に「お支払期限」と日付が出ていれば、そのつど説明せずに済みます。期限の表記は、月末という言い方ではなく、具体的な日付にしておくと、月によって解釈がぶれません。
集め方は5つ。費用と手間はこう違う
月謝の集め方は、現実には次の5つに分かれます。それぞれ費用のかかり方と、残る手間が違います。
現金の手渡しは、手数料が0円です。ただし、集金袋の用意、当日の受け取り、保管、台帳への記入、銀行への持ち込みという作業が毎月発生します。お釣りの用意も要ります。受け取った本人しか記録を持たないため、講師が複数いる教室では誰が受け取ったかが分からなくなる事故が起きます。
銀行振込は、教室側の手数料が0円ですが、振り込む側に手数料がかかります。額は銀行と経路で変わります。三菱UFJ銀行の場合、他行あての振込はインターネットバンキングで3万円未満が154円、3万円以上が220円、ATMで当行キャッシュカードを使うと275円、窓口では990円です。
三菱UFJダイレクト(インターネットバンキング)他行あて 振込金額3万円未満 154円 / 3万円以上 220円。窓口 他行あて 990円。 出典: bk.mufg.jp
窓口で振り込む保護者が一定数いる教室では、月謝5,000円に対して990円が乗ることになります。金額の印象としては小さくありません。教室側にも、通帳を見て誰の入金かを判別する作業が残ります。振込名義が保護者の旧姓だったり、会社名だったりすると、判別に手間がかかります。
口座振替は、毎月自動で引き落とされる形です。未納が構造的に減り、教室側の確認も結果ファイルを見るだけで済みます。ただし、代行会社との契約と審査が必要で、申込書に口座情報と印鑑をもらう手続きが保護者側に発生します。費用の体系は会社ごとに違うため、初期費用、月額、1件あたりの手数料を見積もりで確認してください。
カード決済は、登録さえ済めば毎月自動で引き落とされ、失敗したときの通知も自動で届きます。手数料は決済額に対する率で発生します。次の章で実額を見ます。
電子マネーやQRコード決済は、その場で受け取る形には向きますが、毎月定額を自動で集める用途には向かないものが多くあります。毎月の請求を自動化したいなら、口座振替かカード決済のどちらかになります。
カード決済の手数料を実額で見る
カード決済の手数料は率で示されるため、実額に直さないと比べられません。公式の料金ページで確認した数字を使います。
教室やレッスンの販売に使われるMOSHは、月額プランと決済手数料の2階建てです。月額はFREEが無料、STARTERが1,380円、GROWが2,980円からで、カード決済はStripeを使う場合に決済額の6.5%と1件あたり99円です。年間の決済額が1,200万円以上になると4.5%と99円に下がります。ファンクラブやサブスクリプションの形で集めるCAMPFIREコミュニティは、初期費用0円で手数料15%、売上の85%が振り込まれます。noteのメンバーシップは開設と運用が0円でプラットフォーム利用料が10%ですが、公式のヘルプには売上から事務手数料を引いたうちの利用料と書かれているため、手取りは90%ちょうどにはなりません。
| 月謝と人数 | 月の売上 | 6.5%+99円/件 | 15%の場合 | 合計10%の場合 |
|---|---|---|---|---|
| 10,000円×20人 | 200,000円 | 14,980円 | 30,000円 | 20,000円 |
| 5,000円×30人 | 150,000円 | 12,720円 | 22,500円 | 15,000円 |
| 3,000円×40人 | 120,000円 | 11,760円 | 18,000円 | 12,000円 |
1件あたりの定額がある料金は、単価が低いほど実効の率が上がります。月謝10,000円の教室では6.5%と99円の形が実効7.49%ですが、月謝3,000円の教室では9.80%になります。単価が3,000円前後の教室では、率が一定の形との差がほとんど消えます。自分の教室の金額で1年分を計算してから決めてください。
団体向けの連絡サービスの中には、連絡と出欠には費用がかからず、集金のときだけ決済にかかる分を含めて合計10%とする設計のものもあります。集金そのものに別枠の手数料を乗せない形です。教室で実際にどう回るかは教室での使われかたにまとまっています。
未納を追える形の3つの条件
未納を追える状態には、3つの条件があります。どれか1つでも欠けると、結局は人が覚えておくことになります。
1つ目は、請求が自動で立つことです。毎月決まった日に、誰にいくらという請求が生まれます。手で作る形だと、忙しい月に作り忘れが起きます。作り忘れた月は未納としても見えないため、数か月後に気づいたときには言い出しにくくなっています。
2つ目は、入金が請求に自動で結びつくことです。カード決済や口座振替なら、結果がそのまま記録になります。現金や振込では、消し込みという作業が残ります。誰がいつやるかを決めておかないと、月末にまとめて発生します。
3つ目は、未納が一覧で見えることです。誰がどの月の分を払っていないか、いくら溜まっているかを、探さずに見られる状態です。ここが見えると、督促が感情の問題ではなく作業になります。
条件が揃うと、督促を定型化できます。期限の3日後に確認の連絡、10日後に再度の連絡、それでも動かない場合に個別の相談という段取りを決めておき、文面もあらかじめ用意しておきます。段取りが決まっていれば、そのつど悩む時間が消えます。
未納が続く人への向き合い方
未納が2か月以上続くと、対応が難しくなります。現場でよく取られている考え方を整理します。
まず、早い段階で連絡することです。1か月目の連絡は事務的な確認で済みますが、3か月目になると金額が大きくなり、相手も身構えます。「ご入金の確認が取れておりません。行き違いでしたらご容赦ください」といった定型の文面を、期限の数日後に機械的に送る形にしておくと、角が立ちません。
次に、最初の連絡では理由を聞かないことです。理由を聞くと、相手は説明を用意する必要が生まれ、返事が遅れます。単に事実の確認だけを伝え、返事がなかった場合に個別の相談へ移るほうが、回収は早くなります。
3つ目に、事情がある場合の受け皿を用意しておくことです。分割、翌月への繰越、一時的な休会といった選択肢を先に決めておくと、相談を受けたときに即答できます。その場で考えると、相手ごとに扱いが変わり、後で不公平の話になります。
4つ目に、退会の扱いを規約に書いておくことです。何か月滞納したらどうするか、その場合に既に発生している分をどう扱うかは、入会時に配る書面に書いておくのが無難です。個別の債権の扱いや法的な手段については事情によって変わるため、実際に踏み込む場面では弁護士などの専門家に確認してください。教室の側で法律上の解釈を断定するのは避けたほうが安全です。
値上げを伝えるときの順番
月謝の改定は、金額そのものより伝え方で反応が変わります。現場でうまくいっている形には共通点があります。
告知は、適用の2か月前から3か月前に出します。直前の告知は、相手に検討の時間を与えないため、不信感につながります。口座振替やカード決済を使っている場合は、金額の変更に手続きが要ることもあるため、余裕を見ておきます。
書面には、新しい金額、適用の開始月、理由、そして変わらないものを書きます。理由は、光熱費、会場費、教材費といった具体的な項目で書くほうが伝わります。「諸般の事情により」は、事情を想像させるだけで納得にはつながりません。変わらないものを書くのは、改定の範囲を明示するためです。レッスンの回数や時間が変わらないなら、それを明記します。
紙とアプリの両方で配り、質問の受け付け先を書きます。個別に問い合わせが来た場合に備えて、返答の方針を先に決めておきます。特に、既存の生徒だけ据え置くかどうかは、決めておかないと人によって答えが変わります。据え置く期間を設けるのであれば、いつまでかを最初に示します。
告知のあとに退会が出ることはあります。その数を事前に見込んでおくと、判断がぶれません。値上げの目的が収入の維持であれば、何人まで減っても目的を達するかを計算してから決めます。
日割り、返金、休会の扱いを先に決める
例外の扱いが決まっていないと、そのつど判断することになり、後で不公平の話になります。次の4つは入会の時点で書面に書いておきます。
途中入会の日割りです。月の途中から始める人の月謝をどうするか。回数で割るのか、半月単位にするのか、翌月からの請求にして初月を無料にするのかを決めます。回数で割る形はきれいですが、月によって回数が違う教室では計算が毎回変わります。
途中退会の返金です。月の途中で辞める人に返すかどうか。返さない形にするなら、退会の申し出の期限を決めておきます。「前月の何日までに申し出る」という形が一般的です。
休会中の扱いです。月謝を全額止めるか、席を確保するための金額を受け取るか。止める場合、いつまで席を確保するかも決めます。
欠席と振替です。欠席した分の月謝を返さないのであれば、振替を認めるかどうかがセットになります。振替の有効期限を決めていないと、何年も前の分を主張されることがあります。
これらは、決めた内容を書面にして入会時に渡し、台帳の中でも状態として表せるようにしておきます。書面と台帳の両方にあることが大事です。書面だけだと運用で崩れ、台帳だけだと相手に示せません。
会計と記録に残す形
月謝の記録は、その月の管理のためだけではなく、1年後に必要になります。ここを軽く見ると、年度末に痛い目に遭います。
残しておくべきは、いつ、誰から、いくら、何の名目で受け取ったかです。名目を分けておくのが重要で、月謝、入会金、教材費、施設費、発表会費は分けて記録します。まとめて受け取った場合も、内訳を残します。
記録の形は、CSVで書き出せることを条件にしてください。会計ソフトへの取り込み、税理士への受け渡し、行政への提出のいずれでも、表の形が求められます。画面でしか見られない形に入れてしまうと、年度末に手で転記することになります。
現金を扱う教室では、受け取った記録と銀行への入金の記録を別々に残します。両者が一致していることを月ごとに確認する形にしておくと、後から見たときに説明ができます。
なお、教室の収入をどう申告するか、どこまでが経費として認められるかは、規模や形態によって変わります。開業届の要否、消費税の扱い、源泉の有無なども事情次第です。判断が必要な場面では、国税庁が公開している情報を確認するか、税務署か税理士に直接確認してください。一般論で処理すると、後から修正が必要になります。
保護者や会員の側から見た手間
月謝の集め方を変えるとき、教室側の都合だけで決めると定着しません。払う側にどんな手間が発生するかを並べてみます。
現金は、払う側にとっては何も準備が要らない代わりに、おつりが出ないよう用意する手間と、当日忘れるリスクがあります。子どもに持たせる場合は、紛失の心配も加わります。
振込は、毎月自分で操作する必要があります。忘れると未納になり、催促を受けます。窓口へ行く人にとっては、990円の手数料と移動の時間が毎月かかります。
口座振替とカード決済は、最初の登録さえ済めば何も要りません。その代わり、最初の登録が面倒です。口座振替は申込書と印鑑、カード決済はカード番号の入力が必要になります。ここでつまずく家庭が一定数出ます。
もう1つ見落とされやすいのが、支払いの証拠が相手の手元に残るかどうかです。現金では領収書を発行しない教室もありますが、後から「払った」「受け取っていない」という食い違いが出ると、証拠がない側が不利になります。振込や自動引き落としであれば、相手の明細に記録が残るため、この種の食い違いが起きません。記録が双方に残ることは、教室を守るだけでなく、保護者の安心にもつながります。
つまり、払う側の負担は、最初に集中させるか毎月に分散させるかの選択です。毎月の負担をゼロにできるのは自動引き落としの形だけですが、その代わり最初の登録で脱落する人が出ます。両方を残し、登録した人から順に移していく形が、現実にはいちばん摩擦が少なくなります。
集金と連絡を同じ場所に置くかどうか
月謝の案内、未納の連絡、休講の案内は、いずれも同じ相手に送ります。連絡の宛先と台帳が別々のアプリにあると、退会した人に案内が飛ぶ事故が起きます。
同じ場所に置く利点は3つあります。宛先が常に最新であること。未納の人にだけ連絡を送れること。誰に送ったかの記録が残ることです。3つ目は、後から「聞いていない」と言われたときに効きます。
一方で、すでに保護者との連絡がグループチャットで回っている教室は多くあります。そこを無理に動かすと、保護者側の負担になります。判断の目安は、お金に関わる連絡だけを台帳側から送ることです。日常のやり取りは今の場所のままで構いません。
いま使っている場所の限界がどこにあるかはLINEグループとの比較にまとまっています。保護者の顔ぶれが毎年入れ替わる集まりの進め方はPTAでの使われかたに、地域の集まりで会費を集める場合の勝手は町内会での使われかたにあります。
兄弟割引と複数コースが台帳を複雑にする
月謝の管理が急に難しくなるのは、割引と複数コースが入った瞬間です。ここを整理せずに道具へ載せると、毎月手で直すことになります。
兄弟割引は、割引の主体をどちらに置くかで扱いが変わります。2人目を割り引く形にすると、上の子が退会したときに下の子の金額が変わります。世帯に対して割り引く形にすると、請求の宛先が世帯になり、生徒ごとの記録と分かれます。どちらでも構いませんが、決めずに始めると、人によって運用が違う状態になります。台帳の上では、生徒に紐づく金額と、世帯に紐づく割引を分けて持てると扱いやすくなります。
複数コースを取る生徒も同じです。週2回のコースを1つとして扱うのか、週1回のコースを2つとして扱うのかで、振替の数え方と休会の扱いが変わります。片方だけ休会したいという申し出は必ず出ます。コースを1件ずつ独立して持てる形にしておくと、こうした申し出に台帳の中で対応できます。
金額の例外を持てるかどうかも確認してください。決まったコース料金とは別に、この生徒だけ据え置きの金額にする、この月だけ半額にする、といった調整は実務では頻繁に発生します。例外を持てない道具では、調整のたびに台帳の外にメモが生まれ、そのメモが引き継がれずに消えます。
教室のかたちによって必要な複雑さは違います。学年やクラスの単位で分けて扱う場合の考え方は学校での使われかたにも整理があります。
現金をやめるときの段取り
現金の受け渡しをやめる判断は、費用だけでなく、教室の空気にも影響します。段取りを踏むと摩擦が小さくなります。
最初にやるのは、いまの内訳を数えることです。現金で払っている人が何人、振込が何人、というところから始めます。ここを数えずに全員へ案内を出すと、影響の大きさが読めません。現金の人が半数を超える教室では、一度に切り替えるのは無理があります。
次に、新しい方法を追加します。やめる前に増やすのが順番です。新しく入る人は最初から新しい方法にし、既存の人には任意で案内します。この段階では、どちらでも払える状態を保ちます。数か月で、思ったより多くの人が自分から移ります。
3つ目に、現金をやめる日を決めて告知します。日付がないと移行は終わりません。告知は2か月前から3か月前に出し、移るための手順を紙でも配ります。登録の画面を印刷して、どこに何を入れるかを図で示すと、問い合わせが減ります。
4つ目に、それでも移れない人を個別に拾います。ここを放置すると、その数人のために現金の受け取りを続けることになり、袋も台帳も金庫も残ります。手が止まるのはいつも最後の数人なので、電話か対面で一緒に登録してしまうほうが早く終わります。
最後に、現金を受け取らないと決めたら、例外を作らないことです。一度でも例外を認めると、その運用が前例になります。どうしても現金しか使えない事情がある家庭には、振込を案内する形にとどめるのが無難です。
月謝以外のお金を分けて扱う
教室が受け取るお金は月謝だけではありません。入会金、教材費、施設費、発表会費、合宿費、衣装代などが年に数回発生します。ここを月謝と同じ扱いにすると、記録が混ざります。
分けて扱う理由は3つあります。1つ目は会計です。名目ごとに集計できないと、年度末に内訳を作れません。2つ目は返金です。月謝は返さないが教材費は返す、といった扱いの違いが実務では出ます。3つ目は納得感です。請求書に内訳が出ていれば、金額が大きい月でも説明の手間が減ります。
実務で扱いが難しいのは、発表会費のように全員ではない請求です。参加する人にだけ請求が立つ形が必要になります。参加の可否を出欠として取り、その結果に応じて請求を作れると、名簿を二重に作らずに済みます。出欠と請求がつながっていない道具では、参加者の一覧を手で写すことになります。
前払いの扱いも決めておきます。合宿費のようにまとまった金額を先に集める場合、受け取った時点では預かり金の性格を持ちます。中止になったときに返すのか、繰り越すのかを、集める前に書面で示しておくと、あとで揉めません。
金額が大きい請求ほど、支払い方法の選択肢を増やしたほうが回収は早くなります。月謝は自動引き落とし、大きい請求は分割やカードも使えるようにしておく形が現場ではよく見られます。集まりの種類ごとの事情はBANDとの比較にも整理があります。
数字で見ると、どちらが得か
最後に、判断の材料を数字で並べます。月謝5,000円を30人から集める教室を例にします。月の売上は150,000円、年間で1,800,000円です。
現金や振込のままなら、手数料は0円です。その代わり、集金と消し込みと督促に月3時間、年間36時間がかかります。カード決済に移すと、6.5%と99円の形で月12,720円、年間152,640円の手数料が発生します。率が一定の合計10%の形なら年間180,000円です。
年間152,640円を36時間で割ると、1時間あたり4,240円になります。この金額を、自分の時間の価値と比べるのが判断の形です。レッスン1コマが5,000円の教室なら、事務に使っていた時間でレッスンを1コマ増やせば釣り合います。講師に時給を払って事務をやってもらっている教室なら、その時給と比べます。
人数が増えるほど、自動化した側が有利になります。手数料は売上に比例して増えますが、事務の時間は人数より速く増えるためです。30人で3時間の教室が60人になると、6時間ではなく8時間や10時間になります。突き合わせる組み合わせが増えるからです。
逆に、生徒が10人以下で現金の受け取りに抵抗がないなら、いまの形を続ける判断も十分に成り立ちます。手数料を払う価値は、削れる時間の量で決まります。まずは、この1か月で月謝の管理に何分使ったかを実際に測ってみてください。測った数字が、率の議論よりも確かな根拠になります。導入の前に出やすい質問はよくある質問にも並んでいます。
Q1. 月謝はどの集め方がいちばん安く済みますか?
額面だけなら現金と銀行振込が0円です。ただし現金には集金と保管と記帳の時間が、振込には払う側の手数料と教室側の消し込み作業が残ります。カード決済は決済額の8%から15%程度がかかる代わりに、消し込みと督促の手間がほぼ消えます。年間の手数料と削れる時間を並べて比べてください。
Q2. 振込手数料は誰が払うのが普通ですか?
教室によって分かれます。生徒負担にすると月謝に実質の上乗せが生じ、窓口で振り込む家庭では三菱UFJ銀行の他行あてで990円になります。教室負担にすると、その分が実質の手数料になります。どちらにするかは入会時の書面に明記し、途中で変えないほうが摩擦が起きません。
Q3. 未納が続く人にはどう連絡すればよいですか?
期限の数日後に、事務的な確認の文面を機械的に送るのが基本です。最初の連絡で理由を聞くと相手が身構えて返事が遅れます。分割や繰越といった受け皿を先に決めておき、2回目以降の連絡で示す形にすると、人によって扱いが変わることを防げます。
Q4. 途中で辞めた人の月謝は返すべきですか?
返すかどうかに決まった正解はなく、入会時の書面にどう書いてあるかで決まります。返さない運用にするなら、退会の申し出の期限を前月の何日までと決めておきます。日割り、返金、休会、振替の4つは入会の時点で文書にしておくと、後から不公平の話になりません。