マンションの管理組合がアンケートを配ると、返ってくるのは3割前後というのが普通です。そして返ってこなかった7割の意向が分からないまま、総会で議案として出す。ここで揉めます。アンケートは総会の代わりではないので、集まらなくても議案は出せます。しかし、集まっていない状態で出した議案は、当日に「聞いていない」という反対を招きます。ここでは、何のためにアンケートを取るのかを先に決め、そのうえで答えが集まる形に組む手順を示します。
管理組合のアンケートは3種類に分かれる
まず、いま取ろうとしているアンケートがどれなのかをはっきりさせてください。目的が違えば、配る相手も、設問の作り方も、回収率の意味も変わります。
1つ目が、居住実態を把握するための調査です。誰が住んでいるのか、緊急時の連絡先はどこか、支援が必要な人はいるか、車を何台持っているか。これは事実を集める調査で、全戸から回収できないと意味が薄くなります。回収率が9割を超えないと使えません。
2つ目が、要望を集めるための調査です。大規模修繕で直してほしい場所、共用部分で不便に感じている点、増やしてほしい設備。これは意見を集める調査なので、全戸から集める必要はありません。ただし、出てきた意見に偏りがあることを前提に扱います。声の大きい少数の意見が、全体の意見のように見えてしまう危険があります。
3つ目が、合意の温度を測るための調査です。修繕積立金の値上げ、駐車場の減築、ペットの飼育を認めるかどうか、宅配ボックスの増設。総会で決議する前に、どのくらい賛成が集まりそうかを見るものです。これは回収率そのものが判断材料になります。半分しか返ってこないなら、その議案はまだ早いということです。
この3つを1枚の用紙に詰め込むと、どれも中途半端になります。緊急連絡先を書かせる欄と、大規模修繕への要望を書かせる欄を同じ紙に並べると、書きたくない人は紙ごと出しません。目的が違うものは、時期を分けて別々に配ってください。
アンケートは決議ではない。混同されると後で揉める
管理組合のアンケートで最も多い事故が、これです。アンケートで多数を取ったから決まった、と受け取られてしまう。
区分所有法は、集会で決議できる事項を厳格に定めています。
集会においては、第三十五条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。 出典: laws.e-gov.go.jp
決議ができるのは集会であって、アンケートではありません。そしてその集会でも、招集通知にあらかじめ書いた事項しか決められません。アンケートで何票集まろうと、それだけでは何も決まっていない状態です。
ここを曖昧にしたまま進めると、2種類の不満が出ます。1つは、アンケートで賛成が多かったのに総会で否決されたときの「あの調査は何だったのか」という不満。もう1つは、アンケートに答えなかった人からの「知らないうちに決まっていた」という不満です。
防ぐ方法は単純で、用紙の冒頭に位置づけを1行で書くことです。「このアンケートは検討のための意見聴取であり、決定は総会の決議によります」と明記します。あわせて、いつの総会に諮る予定なのかも書いてください。読む側は、今返事をしないと次に発言できる機会がいつなのかを知りたがっています。
議決権行使書との違いも説明が要ります。議決権行使書は、議案ごとの賛否がそのまま票になる書面です。委任状も、議決権の行使を他人に任せる正式な書面です。総会の直近の通常総会では、委任状の提出割合が平均28.9%、議決権行使書の提出割合が平均35.6%という調査結果があります。この2つは票になり、アンケートは票になりません。同じ時期に両方を配ると必ず混乱するので、封筒を分けるか、時期をずらしてください。
配る相手を、区分所有者と居住者で分ける
マンションのアンケートで設計が甘くなりがちなのが、宛先です。管理組合の構成員は区分所有者ですが、建物内にいるのは居住者です。この2つは重なりません。
修繕積立金の値上げや大規模修繕の資金計画は、費用を負担する区分所有者に聞くものです。住んでいない所有者にも届く必要があります。一方、共用部分の使い勝手、駐輪場の混み具合、ゴミ置き場の運用、騒音の状況は、実際に住んでいる人でないと答えられません。賃借人にも配らないと実態が取れません。
賃貸住戸が1戸もないマンションは12.8%にとどまり、賃貸戸数の割合が20%を超えるマンションが15.5%あります。5戸に1戸が賃貸という建物で、区分所有者にしか配っていない使い勝手の調査は、実態の8割しか映していません。
宛先を分けるには、名簿が2種類必要です。組合員名簿を整備している管理組合は86.0%、居住者名簿は82.8%、緊急連絡先は81.7%という調査結果があります。ただし、変更のたびに更新している、または年1回以上定期的に内容を確認しているのは、組合員名簿で68.7%、居住者名簿で60.9%、緊急連絡先で51.3%にとどまります。緊急連絡先の半分近くは古いまま放置されているということです。
住んでいない区分所有者への配布経路も確認してください。建物内の掲示や集合ポストへの投函では届きません。登録された送付先へ郵送するか、電子で届ける経路が要ります。2026年4月に施行された区分所有法の改正では、国内に住所や居所を持たない区分所有者が国内管理人を選任できる制度が新設されました。海外在住の所有者がいる管理組合は、この届出も併せて案内しておくと、次のアンケートから宛先が確定します。
回収率を上げるための、配り方と締切の置き方
回収率は、設問の出来より配り方で決まります。順に見ていきます。
配布の経路は2本用意します。紙で全戸のポストに投函するのと、電子で送るのを同時に行い、どちらでも答えられる形にします。片方だけにすると、その経路が届かない層が丸ごと欠けます。二重回答が心配になりますが、住戸番号を必ず書かせる形にすれば、集計時に突き合わせられます。
締切は2週間から3週間先に置きます。1週間だと、不在の住戸が答えられません。1か月だと、後回しにされて忘れられます。締切の日は月末や連休の直後を避け、日曜日に設定するのが実務上は集まります。平日の締切は、勤めに出ている人には厳しい設定です。
回収の場所は、答える手間の少なさで決まります。管理員室に持っていく形式にすると、それだけで回収率が2割は落ちます。集合ポストの近くに回収箱を置き、24時間投函できる状態にしてください。管理員が不在の時間帯にも入れられることが条件です。
締切の3日前に、1回だけ督促を出します。掲示板とエレベーターの中に「回収は今週日曜まで、現在の回収は42戸です」という1枚を貼るだけで、数戸から十数戸が動きます。現在の回収数を出すのが要点です。数字が出ていると、まだ出していない人が自分の状態を認識します。
記名か無記名かは、目的によって決めます。居住実態の調査は記名でないと使えません。要望の調査は、住戸番号だけ書かせて氏名は任意にすると、書きにくい内容も出てきます。合意の温度を測る調査は、無記名にすると本音が出ますが、後で誰に説明すべきかが分からなくなります。住戸番号だけを書かせる形が折衷案として現実的です。
大規模修繕の要望調査で、実際に聞くべき項目
大規模修繕の前に配る調査は、管理組合が行うアンケートのなかで最も実務に直結します。ここで集めた情報が、そのまま工事の仕様と工程に反映されるからです。
聞くべき項目は6つあります。1つ目が、専有部分から見て気になっている不具合の場所です。バルコニーの床のひび、サッシまわりの雨染み、外壁の浮き、手すりの錆。住んでいる人にしか見えない箇所が必ずあります。管理組合が過去1年間に経験したトラブルのうち、建物の不具合に係るものは31.7%で、具体的には水漏れが20.1%、雨漏りが10.7%という調査結果があります。工事の前に拾えていれば、追加工事にならずに済みます。
2つ目が、バルコニーに置いているものです。工事の前に片付けてもらう必要があるので、エアコンの室外機、物置、大型のプランター、避難ハッチの上の障害物の有無を確認します。ここを事前に把握していないと、工事が始まってから1戸ずつ交渉することになります。
3つ目が、在宅できる時間帯です。ベランダに面した窓を養生する日、給排水管の工事で室内に入る日は、在宅が要ります。平日の日中に在宅できるか、土曜日なら可能かを聞いておくと、工程を組むときに使えます。
4つ目が、駐車場の車両の移動可否です。足場を組む位置によっては、一時的に別の場所へ移してもらう必要があります。車種と大きさ、代替の駐車場を自分で確保できるかを聞きます。
5つ目が、ペットの有無です。工事の騒音と作業員の出入りは、動物に強く影響します。犬や猫がいる住戸を把握しておくと、作業の時間帯を調整できます。
6つ目が、在宅で仕事をしているかどうかです。騒音の出る工程を、事前に知らせてほしい住戸を把握するためです。これは以前の大規模修繕のときには不要だった項目で、いま新しく必要になっているものです。
修繕積立金の値上げを諮る前の意向調査
区分所有者が管理に関して取り組むべき課題として最も多く挙げるのが、修繕積立金の積立金額の見直しで36.2%、次いで長期修繕計画の作成または見直しが33.0%です。管理組合が将来への不安として挙げる項目でも、修繕積立金の不足が39.6%を占めます。必要性は広く認識されていますが、いざ値上げの議案になると通りません。
意向調査の目的は、賛成の数を数えることではありません。反対する人が何に反対しているのかを特定することです。理由は3つに分かれます。
1つ目が、金額そのものへの反対です。年金で暮らしている世帯にとって、月あたり数千円の増額は生活に直結します。駐車場使用料等からの充当額を含む月あたり1戸の修繕積立金の総額は、全国の平均で13,378円です。自分のマンションが平均より低いのか高いのかを示すと、話の前提がそろいます。
2つ目が、使い道への不信です。積み立てた金額がいくらあって、次の工事にいくらかかるのかが見えていないと、値上げは取られる話にしか見えません。長期修繕計画の中身を知らないまま反対している人が、実際には多くいます。
3つ目が、自分がその工事の恩恵を受けないという意識です。高齢の区分所有者や、数年内に売却を考えている人に多い理由です。永住するつもりだと答えた区分所有者は60.4%で、残る4割は住み替えの可能性を持っています。
この3つは、対処が全部違います。1つ目は段階的な引き上げや別途徴収との組み合わせで緩和できます。2つ目は資料の作り方で解消できます。3つ目は資産価値の説明が必要です。理由を分けずに「賛成が半分しかなかった」とだけ集計しても、次の一手が決まりません。設問は賛否だけでなく、反対の理由を選択肢で選ばせる形にしてください。
居住実態の調査で、踏み越えてはいけない線
災害への備えとして居住実態を調べる管理組合は増えています。ただし、この調査は集める情報の性質が他と違うので、扱いを間違えると法律の問題になります。
管理組合が名簿を作って使っている以上、個人情報を取り扱う立場にあります。個人情報保護法は、個人情報を取り扱うに当たっては利用目的をできる限り特定しなければならないと定め、本人から直接書面で個人情報を取得する場合はあらかじめ本人に利用目的を明示しなければならないとしています。アンケート用紙の冒頭に、何のために集め、誰が見て、いつまで保管し、いつ廃棄するのかを書いてください。これは形式的な作業ではなく、書いていないと目的外の利用になります。
特に注意が要るのが、健康状態や障害に関する情報です。これらは要配慮個人情報にあたり、原則としてあらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならないとされています。「災害時に支援が必要ですか」という設問で「はい」を選ばせるところまでは負担が軽いのですが、病名や障害の等級まで書かせる欄を作ると、扱いの重さが一段上がります。管理組合が自前で持つ必要のない情報です。
災害時の要支援者については、市区町村が別の仕組みで名簿を作っている場合があります。管理組合が独自に集める前に、行政の制度で足りるかを確認してください。二重に集めると、二重に漏れる危険が増えるだけです。
回答を集めた後の保管も決めておきます。回収した用紙を理事長の自宅に保存する運用は避けてください。役員は交代します。管理員室の施錠できる場所に保存し、閲覧できる役職を限定し、廃棄の時期を決める。この3つを、アンケートを配る前に理事会で決議しておくと後が楽です。
設問の作り方。答えが集まらない聞き方をやめる
用紙を受け取った人が、書かずに置いてしまう理由は3つしかありません。長い、答えが決められない、書いた後どうなるか分からない。それぞれに対処があります。
長さの上限は、両面1枚です。設問の数でいうと10問前後、選択式が中心で、自由記述は最後に1つか2つ。これを超えると回収率が目に見えて落ちます。どうしても聞きたい項目が20問あるなら、それは2回に分ける調査です。
答えが決められない設問の典型が、5段階の評価です。「満足」から「不満」までの5段階で共用部分の使い勝手を聞くと、真ん中の「どちらでもない」に票が集まって何も分かりません。段階を4つにして真ん中をなくすか、そもそも評価ではなく事実を聞く形にしてください。「駐輪場が使いにくいと感じますか」ではなく、「駐輪場に自転車を停められなかったことが、この1か月で何回ありましたか」と聞くほうが、対策に直結する数字が出ます。
選択肢の作り方にも型があります。すべての選択肢が同じ長さで、同じ粒度で並んでいることが条件です。「1. 満足 2. 不満 3. 管理会社の対応に問題があると思うので改善してほしい」のように、片方だけ長い選択肢があると、そこに票が寄ります。
自由記述の位置は最後です。冒頭に置くと、そこで手が止まって全体が空欄になります。そして自由記述の欄には、何を書いてほしいのかを1行で示してください。「ご意見をお書きください」ではなく、「共用部分で困っている場所と、その状況をお書きください」と書くと、使える回答が返ってきます。
書いた後どうなるか分からない問題は、用紙の最後に処理の予定を書けば解決します。集計の完了時期、結果を出す場所、その先の議案化の予定。この3行があるかないかで、回収率は変わります。
駐車場と駐輪場は、実数を数えてから聞く
使用細則や協定等を定めている管理組合は88.5%で、その種類として最も多いのが駐車場の81.8%です。それだけ運用の対象になっている一方で、アンケートの取り方を間違えやすい領域でもあります。
間違いやすいのは、希望だけを聞いてしまうことです。「駐車場を使いたいですか」と聞けば、いま使っていない人からも希望が出ます。区画数より希望が多い状態が数字として出るだけで、何も決まりません。
先にやるべきは実数の把握です。全区画数、契約中の区画数、空いている区画数、待機している世帯数。この4つは管理会社に聞けばすぐ出ます。数字を出したうえで、聞くべきことは別にあります。
1つ目が、車を持っているのに外部の駐車場を借りている世帯の数です。ここが多ければ、料金の水準が周辺の相場と合っていない可能性があります。2つ目が、今後3年以内に車を手放す予定があるかどうかです。高齢化が進むと、返納によって空き区画が一気に増えます。3つ目が、平置きと機械式のどちらを希望するかです。機械式の維持費は管理組合の負担で、空き区画が増えると収支を圧迫します。
駐輪場も同じで、希望より実態です。世帯あたり何台持っているか、そのうち何台を実際に使っているか、使っていない自転車が何台放置されているか。放置自転車の撤去は、所有者を特定できないと進みません。調査の段階でシールを配り、貼っていない自転車を放置とみなす運用を予告しておくと、その後の作業が半分になります。
宅配ボックスの設置台数は平均8.3台で、完成年次が新しいほど多くなる傾向があります。古い建物で不足しているなら、増設の可否と併せて置き配のルールを聞く機会になります。国土交通省は置き配に関する使用細則を定める際のポイントも示しているので、設問を作る前に一度目を通しておくと、聞くべき論点が整理できます。
理事のなり手を探す調査は、別扱いにする
役員のなり手不足は、多くの管理組合が抱えている問題です。外部役員の選任を検討している、または将来必要となれば検討したい意向を持つマンションは34.6%あり、その理由は区分所有者の高齢化が42.7%、役員のなり手不足が42.3%です。
ここでアンケートを使うときの注意が1つあります。「理事を引き受けられますか」という設問を、他の調査と同じ紙に載せないことです。この設問が1問あるだけで、紙そのものを出さない住戸が出ます。断るために返事をするのは、心理的な負担が大きいからです。
聞き方を変えると、返事が返ってきます。引き受けられるかどうかではなく、引き受けられない条件を聞くのです。平日の夜の会議に出られない、日中は仕事で対応できない、書類の作成が難しい、パソコンを使わない。理由が分かれば、その部分を外した役割を設計できます。会計は担当できないが行事の手伝いならできる、という人は必ずいます。
理事会の開催頻度も、なり手を左右します。月に1回程度開催している管理組合が35.7%、2か月に1回程度が27.3%です。単棟型では月1回が28.6%なのに対し、団地型では75.2%と大きく開きます。自分たちの開催頻度が引き受けにくさの原因になっていないかは、調査で確かめられます。会議に出る負担と、資料を読む負担は別なので、分けて聞いてください。
専門委員会の設置状況も併せて見ておくと、負担の分散先が見えます。専門委員会を設置していない管理組合は52.5%で、設置している場合の種類は大規模修繕や長期修繕計画に関する委員会が86.7%、防災に関する委員会が19.6%です。理事は引き受けられないが委員会なら参加できる、という層を拾うための設問を用意しておくと、翌年の役員選任が楽になります。
集計した結果を、どう返すか
アンケートで最も軽視されているのが、結果の返し方です。答えたのに何も返ってこないという経験を一度させると、次の回収率が確実に落ちます。
返すときの原則は3つです。1つ目が、締切から1か月以内に出すこと。総会まで待たないでください。2つ目が、回答数と回収率を必ず書くこと。100戸中62戸から回答があった、と数字で示します。3つ目が、自由記述をどう扱ったかを書くことです。全部を載せる必要はありませんが、何件あって、どういう種類に分かれたかは示してください。
出しにくい結果ほど、そのまま出すべきです。賛成が4割しかなかったなら、4割だったと書きます。ここを丸めると、後で総会に出したときに数字が合わなくなり、信用を失います。
集計表の作り方にも決まりを設けておくと、翌年の担当が楽になります。設問ごとに回答数と割合を並べ、割合の分母を回答数にするのか全戸数にするのかを表の欄外に明記してください。この1行がないと、翌年に比較したときに数字が食い違います。回答が62戸で賛成が40戸なら、回答者に対する割合は64.5%、全100戸に対する割合は40.0%です。どちらも嘘ではありませんが、意味が違います。総会の議案に載せるときは、両方を並べて書くのが誠実な出し方です。
自由記述は、原文のまま全部を残した一覧を別に作り、理事会の内部資料として保管します。公表するのは種類ごとに整理したものでよいのですが、原文を捨てると、翌年に「あのとき出した意見が反映されていない」と言われたときに確かめる手段がなくなります。個人が特定できる書き方をしている回答は、公表用の資料から住戸番号と氏名を外してください。
そして、その結果を受けて理事会が何をするかを1行で書きます。「今回の結果を踏まえ、次回の理事会で3案に絞り、来年3月の総会に議案として提出します」という形です。次に何が起きるかが分かると、答えた人は自分の回答が使われたと感じます。
結果を出す場所も決めておいてください。掲示板だけに貼ると、住んでいない区分所有者には届きません。理事会だよりに載せるのか、別途配布するのか。費用を負担している人全員が読める形にしてください。
とりまとめる側から見た、アンケートの保管場所
紙で配って紙で回収する方式は、確実に届く代わりに、集計に時間がかかります。100戸から回収した用紙を1枚ずつ数える作業は、2人で3時間から4時間です。年に2回やれば、それだけで理事の時間を8時間近く使います。
電子で集める形に移すなら、見るべきは次の3点です。
1つ目が、誰が答えたかを住戸単位で押さえられるかです。匿名の投票では、未回答の住戸に督促を出せません。全戸から回収する必要のある調査では、住戸番号と回答が結び付いていることが条件になります。
2つ目が、答えた内容が他の居住者に見えない作りかどうかです。掲示板型の仕組みで意見を募ると、先に書かれた意見に引っ張られます。合意の温度を測る調査では、この影響が結果を歪めます。回答がメンバー以外は見られないだけでなく、回答者どうしでも見えない形にできるかを確認してください。
3つ目が、紙で出した人の分を後から入力できるかです。紙をゼロにはできないので、電子と紙が1つの集計表に合流する形でないと、二重管理になります。
比較の材料としては、日常の連絡に使われているグループチャットとの違いをまとめたLINEグループとの比較、参加者の管理方法が異なるLINEオープンチャットとの比較、投稿と写真の扱いを比べたBANDとの比較が参考になります。公開範囲の考え方が違うFacebookグループとの比較も、誰に見えるかを決めるときの材料になります。
同じように意見を集める運用をしている団体の例としては、地域の役員が輪番で回る町内会での使われかた、年度で担当が入れ替わるPTAでの使われかたが近い形です。導入前に出やすい疑問はよくある質問にまとまっています。
アンケートは、配る作業より、目的を決める作業のほうが時間がかかります。何を知りたいのか、その答えを何に使うのか、いつの総会に繋げるのか。この3つを1枚の紙に書いてから設問を作ってください。順番を逆にすると、集まった回答が使えないまま残ります。
Q1. 管理組合のアンケートで多数を取れば、それで決まりますか?
決まりません。区分所有法では、決議ができるのは集会であり、しかも招集通知にあらかじめ書いた事項に限られます。アンケートは検討のための意見聴取です。用紙の冒頭に「決定は総会の決議によります」と明記し、いつの総会に諮る予定かを併せて書いてください。議決権行使書や委任状とは別物なので、同じ時期に配るなら封筒を分けます。
Q2. アンケートの回収率はどのくらいを目指せばよいですか?
目的によって変わります。緊急連絡先や居住実態のように事実を集める調査は9割を超えないと使えません。要望を集める調査は3割から5割でも成立します。合意の温度を測る調査は、回収率そのものが判断材料になり、半分しか返ってこない議案は総会に出すのがまだ早いという読み方をします。
Q3. 賃借人にもアンケートを配ってよいですか?
配ってよく、内容によっては配らないと実態が取れません。共用部分の使い勝手やゴミ置き場の運用は、実際に住んでいる人でないと答えられません。一方で修繕積立金や資金計画は費用を負担する区分所有者に聞くものです。宛先が違うので、組合員名簿と居住者名簿を分けて管理してください。
Q4. 災害時の支援が必要な人を、アンケートで聞いてもよいですか?
支援の要否を聞くところまでは可能ですが、病名や障害の等級は要配慮個人情報にあたり、原則としてあらかじめ本人の同意を得ずに取得できません。用紙の冒頭に利用目的と保管期間を明示し、閲覧できる役職を限定してください。市区町村が別の仕組みで名簿を整えている場合もあるので、独自に集める前に確認することをおすすめします。
