団体ごとの決め方

老人会の安否確認をどう取るか|返事が来ない人をどう扱うか

2026年9月20日 ・ Tsudoo編集部

老人会の安否確認は、町内会や自治会の安否確認と同じ形では回りません。確認される側だけでなく、確認する側も70代、80代だからです。電話をかける役員が耳の遠さに悩み、訪ねる班長が膝を痛めている。そういう会で、若い世代の団体向けに作られた手順をそのまま当てはめると、最初の1回で止まります。

この記事で扱うのは、返事が来ない会員をどう扱うかという一点です。電話に出ない、訪ねても出てこない、そのときに何時間待ち、次に誰が動き、どこで家族や地域の専門職につなぐのか。その順番を先に決めておくことが、老人会の安否確認のすべてと言っても言い過ぎではありません。

老人会の安否確認は、確認する側も高齢であることから始まる

全国老人クラブ連合会が公表している一覧では、令和7年3月末日現在で、全国の老人クラブは73,881クラブ、会員は3,504,816人です。割り算をすると、1クラブあたりの会員はおよそ47人になります。

47人の会で安否確認をするとき、実際に手を動かすのは会長、副会長、それに地区ごとの班長や友愛員を合わせて5人から8人ほどです。この5人から8人も会員であり、同じように年を取っていきます。ここが、保護者会や少年団と決定的に違う点です。保護者会なら、連絡の担い手は30代から40代で、安否を確かめる相手は子どもです。老人会では、担い手と相手が同じ層にいます。

この前提から、いくつかのことが決まります。

・確認の手順は、担い手の1人が倒れても止まらないように、同じ役を2人以上に持たせる ・担い手自身の安否も、確認の対象に入れる。会長が自宅で動けなくなっていても、誰も気づかない会は珍しくない ・確認に使う手段は、担い手が普段から使っているものに限る。確認のときだけ新しい操作を覚えてもらうことはできない ・1日で全員を確かめようとしない。担い手の体力には上限がある

とくに2つ目は見落とされがちです。安否確認の名簿には、確認する側の名前が載っていないことが多くあります。会長が連絡の起点になっている会では、会長から電話が来ないことが「今日は何もない」という意味に受け取られてしまい、会長自身の異変が数日間放置されることがあります。確認の起点になる人ほど、別の誰かから確認される仕組みが必要です。

3つの安否確認を、同じ名簿で混ぜない

老人会で「安否確認」と呼ばれているものは、中身の違う3つに分かれます。これを同じ手順で回そうとすると、どれも中途半端になります。

1つ目は、平時の見守りです。友愛訪問、友愛活動、見守り活動など呼び名は地域によって違いますが、ひとり暮らしや夫婦ふたり暮らしの会員を定期的に訪ねたり、電話で声をかけたりする活動です。頻度は月1回から週1回ほどで、目的は異変に早く気づくことです。

2つ目は、気象の厳しい日の声かけです。猛暑の日、大雪の朝、台風が近づいている前日など、その日だけ特定の会員に連絡を入れます。熱中症や、雪かき中の転倒、停電による暖房の停止など、その日に起きやすい危険に絞って確かめます。

3つ目は、災害が起きたあとの確認です。地震や水害のあと、会員が無事かどうか、避難しているならどこにいるかを確かめます。

全国老人クラブ連合会は、平時の見守りについて、次のように呼びかけています。

老人クラブは、声かけや支え合い活動、健康づくり活動など具体の活動への参加を呼びかけ、仲間づくりをすすめ、高齢者の孤独・孤立を防ぎましょう。 出典: 全国老人クラブ連合会「活動資料」

この呼びかけにある声かけと支え合いが、1つ目の見守りにあたります。3つのうち、老人会が他の団体より得意なのはこの1つ目です。一方で3つ目の災害時の確認は、自治会や自主防災組織、市区町村の仕組みと重なる部分が大きく、老人会だけで抱えるものではありません。

実務では、名簿を3つに分けるのではなく、同じ会員名簿に「平時の見守りの対象か」「厳しい日の声かけの対象か」の2つの印を付けておく形が扱いやすくなります。災害時は全員が対象になるので、印は要りません。

見守りの対象を決めるとき、本人にどう伝えるか

印を付ける作業で、多くの会が一度はつまずきます。誰を見守りの対象にするかを役員だけで決めてしまうと、対象にされた会員が「年寄り扱いされた」と感じ、対象から外された会員が「うちは気にかけてもらえない」と感じるからです。老人会の会員は全員が高齢者なので、見守る側と見守られる側の線を引くこと自体に抵抗が生まれます。

線を引くときの目安として、よく使われるのは次の3つです。

・ひとり暮らしか、日中にひとりになる時間が長いか ・例会や行事に、自分で歩いて来られているか ・本人か家族から、気にかけてほしいという申し出があったか

年齢を基準にする会もありますが、85歳で畑を耕している会員もいれば、72歳で退院したばかりの会員もいるので、年齢だけで区切ると実態に合いません。

伝え方にも工夫が要ります。「あなたを見守ります」と言うより、「班長が月に1回、皆さんに順番に電話をかけています」と、全員に同じ連絡が行く形にして、対象の会員には少し頻度を上げる。こうすると、特定の人だけが対象になっているという印象が薄れます。

夫婦ふたり暮らしの会員は、とくに扱いを決めておきます。夫婦のどちらかが倒れても、もう一方が連絡してくれると考えがちですが、もう一方も高齢で、慌てて誰に連絡すればよいか分からなくなることがあります。夫婦ふたり暮らしの家庭には、平時のうちに「困ったときはこの番号に」と、班長の番号を大きく書いた紙を電話の近くに貼ってもらうと、確認の電話を待つだけでなく、会員の側から連絡が来る道ができます。

対象は1年に1回、年度の初めに見直します。退院した、家族と同居を始めた、施設に入ったなど、会員の暮らしは1年でかなり変わります。見直しをしないと、印だけが古いまま残り、本当に気にかけるべき会員が名簿の上で見えなくなります。

返事が来ない人は、老人会では5つの型に分かれる

電話に出ない、訪ねても出てこない。この状態を一括りに「返事がない」と扱うと、毎回同じだけの人手をかけることになり、担い手が疲れます。老人会の会員で返事が来ない理由は、おおよそ次の5つに分かれます。

・耳が遠く、電話の呼び出し音に気づいていない ・知らない番号や非通知の電話には出ない習慣がある。常に留守番電話にしている家庭もある ・入院している、ショートステイに行っている、子どもの家に泊まりに行っている ・畑や通院など、日中は家を空けていることが多い ・家の中で倒れている、体調を崩して動けない

安否確認で本当に探しているのは最後の1つですが、件数として多いのは最初の4つです。つまり、返事が来ない人の大半は無事です。問題は、どれに当たるのかを外から見分けられないことにあります。

見分けるための手がかりは、平時に集めておくしかありません。入会のときや年度の初めに、次の3点だけを聞いておくと、返事が来ないときの判断がかなり速くなります。

・電話は固定電話と携帯電話のどちらに出やすいか。出にくい時間帯はあるか ・留守番電話にしているか。しているなら、名乗れば折り返すか ・家を空けるときに知らせてもらえるか。知らせる相手は誰か

3つ目は、会員の側に負担を求めるので、全員に強く求める必要はありません。ただ、ひとり暮らしの会員には「数日家を空けるときは、班長に一言だけ」と頼んでおくと、入院やショートステイで返事がない場合を最初から除けます。

返事が来ないとき、何時間待って、次に誰が動くか

返事が来ない人の扱いは、時間と担い手の順番で決めておきます。その場の判断に任せると、心配性の役員は1回電話に出ないだけで家まで走り、慎重な役員は3日待ってしまいます。平時の見守りと、厳しい日の声かけで、待つ時間は変えて構いません。

平時の見守りの場合の一例です。

・1回目の電話に出なかったら、時間帯を変えてその日のうちにもう1回かける ・2回とも出なかったら、翌日の午前中に同じ地区の会員が玄関先まで訪ねる ・訪ねても応答がなく、郵便受けに新聞や郵便物がたまっている、夜になっても灯りがつかないなどの様子があれば、その日のうちに家族へ連絡する ・家族に連絡がつかないときは、地区の民生委員や地域包括支援センターに相談する

厳しい日の声かけの場合は、この間隔を縮めます。猛暑の日の昼に電話に出なかったら、翌日を待たずに夕方までに訪ねる、という具合です。

大切なのは、老人会の役員が救急や警察を呼ぶかどうかの判断を1人で背負わない順番にしておくことです。家の中で倒れているかもしれないという状況で、窓を割って入るか、鍵を開ける手配をするかといった判断は、家族や専門職、場合によっては119番や警察に委ねるものです。「目の前で倒れているのが見えた」「中から助けを求める声がする」といった明らかな緊急事態でない限り、老人会の役割は、異変に気づいて、しかるべき人につなぐところまでと考えておくと、担い手が判断に押しつぶされずに済みます。

この順番は、紙に書いて担い手全員が持っておきます。電話の横に貼っておける大きさの1枚にまとめると、慌てたときでも見返せます。

家族の連絡先を、誰がどこまで持つか

返事が来ない会員の家族に連絡を取るには、家族の連絡先が手元になければなりません。ところが、家族の連絡先を会員名簿に載せて全員に配っている会もあれば、会長だけが手帳に書いている会もあり、扱いがばらばらです。

家族の連絡先は、会員本人の情報ではなく、会員ではない第三者の情報です。本人から聞いたとしても、家族本人が老人会に連絡先を渡すことを知っているとは限りません。そのため、多くの会で次のような扱いに落ち着いています。

・家族の連絡先は、会員名簿とは別の紙に書き、全員には配らない ・持つのは会長と、その地区の班長など、実際に連絡をする可能性がある2人から3人に限る ・聞くときに「返事がなくて心配なときだけ、この番号に連絡します」と使い道を伝える ・子どもが遠方に住んでいる場合は、近所に住む親族や、鍵を預かっている知人の連絡先もあわせて聞いておく

最後の点は、老人会の実務でとくに効きます。子どもが県外にいる場合、連絡がついても、すぐに駆けつけることはできません。「近くの誰が様子を見に行けるか」まで聞いておくと、家族に連絡したあとの動きが速くなります。

個人情報の扱いの詳しい考え方は、会の規模や地域の決まりによって変わるため、断定はできません。ただ、使い道を伝えて聞く、持つ人を絞る、使い終わった情報を残さない、の3つを守っている会では、揉めごとになったという話はあまり聞きません。

留守番電話と詐欺への警戒が、安否確認の電話を遮っている

老人会の安否確認で、この数年とくに増えている悩みがあります。会員が知らない番号からの電話に出なくなったことです。

高齢者を狙った詐欺の電話への警戒から、固定電話を常に留守番電話にしている家庭や、登録していない番号には出ないと決めている会員は珍しくありません。これ自体は身を守るための正しい行動です。ただ、安否確認の電話をかける役員の携帯電話が、相手の電話帳に登録されていなければ、出てもらえません。

対策は、平時の段階で打っておくしかありません。

・担い手の携帯電話番号を、見守りの対象の会員の電話帳に登録してもらう。例会の場で、登録を手伝う時間をとる会もある ・留守番電話にしている家庭には、名乗って用件を残せば折り返してもらえるかを確かめておく ・留守番電話に残す言葉を決めておく。「老人会の班長の〇〇です。お変わりないかと思ってお電話しました。お手すきのときに折り返しください」のように、名前と所属を最初に言う ・折り返しがなくても、それだけで異変と決めつけない。翌日の訪問の順番に進めばよい

担い手が交代したときには、新しい担い手の番号を会員に登録してもらう作業が必ず発生します。役員の交代時期に合わせて、この作業を引き継ぎの項目に入れておくと、年度が変わった途端に電話に出てもらえなくなる事態を防げます。

例会を休み続ける人を、見守りの入口として扱う

老人会には、安否確認のために特別な連絡をしなくても、会員の様子が分かる場があります。例会、グラウンドゴルフ、体操の集まり、サロンなど、定期的に顔を合わせる活動です。

ここで役に立つのが、出欠の記録です。毎回来ていた人が2回続けて来ない、というのは、それだけで気にかける理由になります。体調を崩している、家族の介護が始まった、転んで外に出るのが怖くなった、といった変化は、本人から連絡が来るより先に、欠席という形で表に出ることが多くあります。

出欠を安否の手がかりにするには、次のような決めごとが必要です。

・受付で名前に丸を付けるだけの簡単な記録を、毎回残す ・2回続けて欠席した人を、その場で誰かが気づける形にしておく。前回の出欠表を受付に置いておくだけでもよい ・気づいた人が、その週のうちに電話を1本入れる。役を決めておかないと、全員が「誰かがかけただろう」と思って終わる ・電話の目的は「最近お見かけしないので」と伝える程度にとどめ、来るように促さない

最後の点は大事です。欠席の理由を詮索したり、参加を促したりすると、次から連絡そのものを避けられるようになります。安否確認の電話は、元気かどうかを知るためだけにかけるものです。

猛暑と大雪の日は、日付でなく気象の情報で動く

気象の厳しい日の声かけは、あらかじめ日付を決めておくことができません。そこで、どの情報が出たら声かけを始めるかを決めておきます。

猛暑であれば、環境省と気象庁が出している熱中症警戒アラートが目安になります。大雪や台風であれば、気象庁の警報や、市区町村が出す避難情報が目安になります。老人会で「アラートが出た日は、見守りの対象の会員に昼までに1本電話を入れる」と決めておけば、担い手が毎朝迷わずに済みます。

声かけの中身も、日によって変えます。

・猛暑の日は、冷房を使っているか、水分をとっているか、今日は外出の予定があるか ・大雪の日は、雪かきを1人でしようとしていないか、灯油や食料は足りているか ・台風の前日は、窓や雨戸の備えができているか、避難するならどこへ行くつもりか

聞く項目を3つ程度に絞り、紙に書いておくと、電話をかける担い手の負担が軽くなります。

この種の声かけは、同じ日に地域の民生委員や自治会、地域包括支援センター、介護サービスの事業所なども動いていることがあります。同じ人に何本も電話がかかると、会員の側がかえって疲れてしまいます。見守りの対象が重なっている会員については、平時のうちに民生委員と「厳しい日はどちらが連絡するか」をすり合わせておくと、重複が減ります。

災害のときに老人会がやること、やらないこと

地震や水害のあとの安否確認は、老人会だけで抱えるものではありません。自治会や自主防災組織が地区ごとの安否を集め、市区町村は避難に支援が必要な人の名簿を持っています。老人会の会員の多くは、そちらの仕組みでも確認の対象になっています。

そのうえで、老人会が担えることは次の範囲です。

・会員同士の電話や訪問で、互いの無事を確かめ合う。普段から顔を知っている相手なので、電話に出てもらいやすい ・確認できた結果を、自治会や自主防災組織の担当に伝える。老人会で抱え込まない ・避難所で会員を見かけたら、会の担い手に知らせる ・発災から数日たって落ち着いてから、会員の生活の困りごとを聞き取る

やらないほうがよいこともあります。担い手が自分の家の片づけや避難を後回しにして、会員の家を回ることです。担い手自身が高齢である以上、災害の直後に無理をすれば、今度は担い手が確認される側になります。「自分と家族の安全を確保してから、電話でできる範囲で」と、平時のうちに決めておくと、担い手が罪悪感を持たずに済みます。

訪問するときの約束ごとを、先に決めておく

電話で返事がなく、玄関先まで訪ねるとき、担い手が困らないように約束ごとを決めておきます。

・可能な限り2人で訪ねる。1人で異変を見つけたときに、連絡役と付き添い役を分けられる ・家の中には上がらない。玄関先で声をかけ、応答がなければ外から様子を見る ・外から見る点を決めておく。郵便受けに新聞や郵便物がたまっていないか、夜なのに灯りがついていない、昼なのに雨戸が閉まったまま、洗濯物が何日も干したまま、など ・鍵は預からない。預かってしまうと、なくしたときや、中で何かあったときの責任を担い手が負うことになる ・訪ねた結果は、無事であっても、会えなかっただけであっても、決めた相手に報告する

鍵について補足します。ひとり暮らしの会員から「何かあったら使って」と合鍵を預けられる役員は少なくありません。善意から出たことですが、会として預かる形にすると、担い手が交代するたびに鍵の行き先が分からなくなります。預けたい会員には、家族や近くの親族、あるいは地域の見守りの制度を案内するほうが、長く見て安全です。

確認した結果を、どこに1行残すか

安否確認で最も失われやすいのは、確認した結果です。電話で元気な声を聞いた、訪ねたら留守だった、家族から入院したと聞いた。こうした情報は、確認した担い手の頭の中にだけ残り、他の担い手には伝わりません。

結果が共有されないと、次のようなことが起きます。

・同じ会員に、別の担い手が同じ日に電話をかける ・入院を知らない担い手が、何日も電話をかけ続ける ・担い手が交代したとき、どの会員が見守りの対象で、どんな事情があるのかが引き継がれない

残す内容は、1件につき1行で足ります。日付、会員の名前、誰が確認したか、結果(元気、不在、入院、家族に連絡済みなど)の4つです。持病や家庭の事情といった細かい中身まで書く必要はありません。むしろ書かないほうが、記録を複数の担い手で共有しやすくなります。

置き場所は、担い手の全員が見られる1か所にします。紙のノートを会長の家に置いておく形は、他の担い手が見られないので向きません。電話で会長に報告して会長が書き込む形にするか、担い手の間で共有できる連絡の場に書き込む形にするか、どちらかです。

亡くなっていた、入院していたと分かったあと

安否確認を続けていると、いずれ、会員が入院していた、施設に入った、亡くなっていたと分かる場面に出会います。そのあとの連絡も、決めておかないと混乱します。

・家族から知らされた内容を、会の中でどこまで伝えるかは、家族に確かめてから決める。入院の事実を広く知られたくない家庭もある ・亡くなった場合、会員への知らせ方、弔問や供花の扱い、会費の扱いを、会則や慣例に照らして会長が判断する ・見守りの対象から外すのか、退院後に再開するのかを記録に残す ・発見した担い手の気持ちの負担に配慮する。自宅で倒れている会員を見つけた担い手が、その後しばらく訪問を怖がることは珍しくない

最後の点は、老人会の担い手が同世代であるだけに重くなります。役員会の場で、発見した人を責めず、よく気づいたと伝える時間をとるだけでも、その後も担い手を続けてもらいやすくなります。

担い手が足りないときは、見守りの頻度から削る

老人会では、見守りの担い手が年々減っていきます。班長を引き受けられる人がいない地区が出てきたとき、無理に全地区を同じ頻度で回そうとすると、残った担い手が倒れます。

削る順番を決めておくと、担い手が減っても仕組みそのものは残せます。まず削るのは、平時の見守りの頻度です。週1回を月2回に、月2回を月1回に落とします。次に、見守りの対象の範囲を絞ります。ひとり暮らしで、例会にも来られていない会員を優先し、夫婦で暮らしていて例会に来られている会員は、例会での顔合わせを見守りの代わりにします。

最後まで削らないのは、厳しい日の声かけと、返事が来ないときの順番表です。この2つは、命に関わる場面で動くためのものだからです。頻度を落としても、順番表だけは担い手の全員が持っている状態を保ちます。

担い手の不足を老人会の中だけで埋めようとしないことも大切です。地区の民生委員、自治会の班長、近所に住む会員の家族など、見守りに関わる人は会の外にもいます。誰がどの会員を気にかけているかを平時に1度すり合わせておくだけで、老人会が抱える範囲は小さくなります。

連絡の道具を、安否確認の観点で見比べる

安否確認のための道具を新しく入れる会もありますが、老人会では、平時に使っていないものは、確認のときにも使えません。まず見るべきは、担い手が普段の連絡に何を使っているかです。

担い手の多くが家族との連絡でLINEを使っているなら、担い手だけのグループで結果を共有する形が自然です。ただし、過去の記録を探しにくい、グループに入っていない会員の情報が混ざる、といった性質があります。詳しくはLINEグループとの比較にまとめてあります。地域の団体で使われることの多いBANDは、掲示板の形で記録が残る点が異なります。その違いはBANDとの比較で確かめられます。

担い手の中に、スマートフォンを持っていない人がいる場合は、道具を1つに統一しようとしないことです。電話で会長や記録係に報告し、記録係が1か所に書き込む形なら、担い手の全員が道具を使える必要はありません。

見比べるときに、老人会の安否確認で外せない点は次の3つです。

・確認の結果を、担い手の全員が同じ場所で見られるか ・担い手が交代したとき、過去の記録ごと次の人に渡せるか ・会員の家族の連絡先のような重い情報を、見られる人を絞って置けるか

返事が来ない人の順番表が、老人会の安否確認を決める

ここまで見てきたように、老人会の安否確認で差がつくのは、呼びかけの文面や道具の選び方ではありません。返事が来なかったときに、誰が、何時間後に、何をするかという順番表を持っているかどうかです。

地域で相談を受ける場でよく聞くのは、「電話に出なかったので心配したが、どうしてよいか分からず、結局そのままにした」という話です。順番表があれば、この「そのまま」は起きません。2回目の電話、翌日の訪問、家族への連絡、専門職への相談と、次の一手が決まっているからです。

地区の中で安否確認の仕組みがどう組まれているかは、自治会の側の運用を見ると参考になります。見守りの対象が重なる会員への連絡の分担を考えるときは、町内会での使われかたを合わせて見ておくと、老人会が担う範囲を切り分けやすくなります。趣味の集まりに近い形で運営している老人会なら、出欠の記録を安否の手がかりにする流れが、サークルでの使われかたと重なります。道具の使い方で迷う点は、よくある質問にまとめてあります。

順番表は、1枚の紙で足ります。年度の初めの役員会で、今年の担い手の名前を書き込み、担い手全員の電話の横に貼っておく。それだけで、返事が来ない会員を前にして立ち止まる時間が短くなります。

Q1. 老人会の安否確認で、電話に出ない会員がいたらすぐ家まで行くべきですか?

平時の見守りであれば、まず時間帯を変えてその日のうちにもう1回電話をかけ、それでも出なければ翌日に同じ地区の会員が訪ねる順番で十分です。返事が来ない理由の多くは、耳が遠い、知らない番号に出ない、外出や入院などです。猛暑や大雪の日だけは間隔を縮め、その日のうちに訪ねるようにします。

Q2. 会員の家族の連絡先は、会員名簿に載せて配ってもよいですか?

家族の連絡先は会員本人ではなく第三者の情報なので、名簿とは別の紙に書き、会長と地区の班長など連絡する可能性がある2人から3人に絞って持つ会が多くあります。聞くときに「返事がなくて心配なときだけ連絡します」と使い道を伝えておくと、会員も家族も安心して教えてくれます。

Q3. ひとり暮らしの会員から合鍵を預かってほしいと頼まれました。預かってよいですか?

会として鍵を預かる形は避けたほうが安全です。担い手が交代するたびに鍵の行き先が分からなくなり、中で何かあったときの責任も担い手が負うことになるからです。預けたい会員には、家族や近くの親族、地域の見守りの制度などを案内し、老人会は異変に気づいてつなぐ役に徹するのが長続きします。

Q4. 災害のときも、老人会が全会員の安否を確かめる必要がありますか?

災害時の安否確認は、自治会や自主防災組織、市区町村の仕組みと重なるため、老人会だけで抱える必要はありません。会員同士の電話で互いの無事を確かめ、結果を自治会などの担当に伝える範囲で十分です。担い手も高齢なので、自分と家族の安全を確保してから、電話でできる範囲で動くと決めておきます。

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