老人会の緊急連絡で最初にぶつかる壁は、夜です。会員の多くは早く休み、夜8時を過ぎると電話の呼び出し音に気づかない家が増えます。補聴器を外している、固定電話が居間にあって寝室まで音が届かない、そもそも夜の電話は悪い知らせだと感じて出るのをためらう。若い世代の団体の緊急連絡網を写しても、老人会では夜のうちに届きません。
この記事では、老人会で緊急連絡が必要になる場面を4つに分け、それぞれを夜間と休日にどう届けるかを整理します。すべてを夜のうちに届けようとするのではなく、夜に届けるべきものと、翌朝に回してよいものを分けることが、老人会の緊急連絡を回す出発点になります。
老人会の緊急連絡網は、この数年で長くなっている
全国老人クラブ連合会が公表している一覧を見ると、全国の老人クラブは、令和2年3月末日現在で92,836クラブ、会員4,988,999人でした。令和7年3月末日現在では73,881クラブ、会員3,504,816人です。5年でクラブの数は18,955減りました。
クラブが減っても、会員が住む地域が狭くなるわけではありません。隣の地区のクラブが担い手不足で活動をやめ、残った会員がこちらのクラブに合流する。いくつかの単位クラブが1つにまとまる。そうした動きの結果、1つの会がカバーする範囲は広がり、緊急連絡を回す相手の家は遠くなり、連絡網は長くなっています。
連絡網が長くなると、次のようなことが起きます。
・会長が全員に1人で電話をかけきれない ・途中の1人が不在だと、その先の会員に連絡が届かない ・合流してきた会員の電話番号や、電話に出やすい時間帯を、役員が把握していない ・連絡を回し終えたかどうかを、会長が確かめられない
この記事で扱う組み方は、こうした長い連絡網を前提にしています。会員が20人ほどで、会長が全員の顔と家を知っている小さな会なら、ここまで仕組みを作る必要はありません。自分の会の規模に合わせて、必要な部分だけを取り入れてください。
老人会の緊急連絡は、4つに分けて扱う
老人会で「急いで知らせなければならない」とされるものは、性質の違う4つに分かれます。これを1つの連絡網で同じように回そうとすると、どれかが必ずうまくいきません。
1つ目は、行事の当日の中止や変更です。雨でグラウンドゴルフの大会を中止する、猛暑で清掃奉仕を取りやめる、会場の都合で例会の場所が変わる、といった知らせです。朝のうちに届けばよく、多くは前日の夕方か当日の早朝に回します。
2つ目は、旅行や遠出の行事の最中に起きる緊急事態です。参加者の体調が急に悪くなった、立ち寄り先ではぐれた、バスが渋滞で帰りが大幅に遅れる、といったことです。連絡する相手は会員全員ではなく、参加者の家族と、留守を預かる役員です。
3つ目は、会員の訃報です。通夜や葬儀の日程は数日のうちに決まり、夜に知らせが入ることも多くあります。ただし、夜のうちに全員に回すべきかどうかは、家族の意向によって変わります。
4つ目は、気象の警報や避難情報に関わる知らせです。台風や大雨で、行事の中止にとどまらず、会員に身の安全を考えてもらう必要がある場面です。
この4つは、急ぐ度合いも、知らせる相手も、夜に回すかどうかも違います。連絡網の紙に、この4つの種類ごとに「誰から誰へ、夜も回すか」を1行ずつ書いておくと、実際に知らせが入ったときに担い手が迷いません。
夜に回すものと、翌朝に回すものを分ける
老人会の緊急連絡で、担い手の負担を最も軽くするのは、夜に回すものを絞ることです。夜9時に電話を受けた会員は、何事かと驚きます。心臓に持病のある会員や、ひとり暮らしの会員にとって、夜の電話はそれだけで大きな負担です。
夜のうちに回すかどうかの目安は、「朝まで待つと、会員が困ることになるか」です。
夜のうちに回すもの。
・翌朝早くに集合する行事の中止。朝6時台にバスに乗る旅行の中止など、朝の連絡では間に合わないもの ・旅行の帰りが大幅に遅れるときの、参加者の家族への連絡 ・台風や大雨で、夜のうちに備えや避難を考えてもらう必要がある知らせ
翌朝に回してよいもの。
・午前10時以降に始まる行事の中止や変更 ・会員の訃報。通夜の日程が翌日の夕方以降であれば、朝の連絡で間に合う ・行事の日程の変更で、当日ではないもの
翌朝に回すと決めたものは、「朝7時から8時の間に回す」のように時間を決めておきます。早すぎる時間の電話も、夜の電話と同じように会員を驚かせるからです。一方で、老人会の会員は朝が早い人が多いので、7時台であれば多くの家で電話に出てもらえます。
電話の連絡網は、会長から一直線に並べない
老人会の緊急連絡の中心は、いまも電話です。ここで気をつけたいのが、連絡網の形です。会長から1人目、1人目から2人目、と一直線に並べる形は、老人会では途中で止まりやすくなります。電話に出ない会員が1人いるだけで、その先の全員に連絡が届かなくなるからです。
老人会で回りやすいのは、枝分かれの形です。
・会長は、地区ごとの班長にだけ電話をかける。班長が4人なら、会長がかける電話は4本 ・班長は、自分の地区の会員に電話をかける。1人の班長が受け持つのは8人から10人ほどに抑える ・班長は、電話に出なかった会員を飛ばして次の会員にかけ、最後に、出なかった会員にもう一度かける ・自分の地区を回し終えたら、班長は会長に「何人に届いた、何人に届かなかった」を折り返す
最後の折り返しが、老人会の連絡網では欠かせません。一直線の連絡網では、最後の会員から会長に戻る電話で終わりを確かめますが、この電話はほとんどの会で守られていません。枝分かれの形にして、班長ごとに会長へ折り返すと、どの地区で連絡が止まっているかが会長に見えるようになります。
班長が受け持つ人数を10人ほどに抑えるのは、担い手の体力を考えてのことです。電話を1本かけ、用件を伝え、聞き返されてもう一度説明する。高齢の会員相手には、1本の電話に数分かかります。20人を受け持つと、それだけで1時間を超えます。
1本の電話で伝える内容を、紙に書いておく
緊急の電話は、担い手が慌てているうえに、受ける会員も耳が遠かったり、突然のことで聞き取れなかったりします。伝える内容を毎回その場で考えていると、担い手によって言うことが変わり、「中止と聞いた」「延期と聞いた」という行き違いが起きます。
伝える内容は、4つの種類ごとに、紙に書いた文を読み上げる形にしておきます。
行事の中止の場合の一例です。
「老人会の〇〇です。明日のグラウンドゴルフ大会は、雨のため中止になりました。次の日程は、来月の例会でお知らせします。」
伝えるときの約束ごとも決めておきます。
・最初に、名前と「老人会の」と所属を言う。詐欺の電話への警戒から、名乗らない電話はすぐ切られることがある ・結論を先に言う。「中止です」を最初に言い、理由はそのあとに短く ・ゆっくり、はっきり、2回繰り返す。とくに日付と時刻は、「14日、火曜日」のように曜日も添える ・相手が聞き取れたかを確かめる。「明日は中止、で大丈夫ですか」と最後に一言 ・留守番電話になったら、同じ文を吹き込み、「このお電話はお返しいただかなくて大丈夫です」と添える
最後の一言は、老人会でとくに効きます。留守番電話を聞いた会員が、折り返さなければと思って会長の家に電話をかけ、会長の家の電話が夜遅くまで鳴り続ける、ということを防げます。
電話に出にくい会員には、別の届け方を先に決めておく
どれだけ連絡網を工夫しても、電話では届きにくい会員がいます。耳が遠く、補聴器を外すと呼び出し音に気づかない会員。知らない番号からの電話には出ないと決めている会員。日中は畑に出ていて、家の電話の近くにいない会員。こうした会員を、毎回「電話に出なかった人」として扱っていると、緊急の知らせはいつまでも届きません。
電話に出にくい会員については、平時のうちに、電話以外の届け方を1つ決めておきます。
・同居している家族の携帯電話に連絡する。家族には、老人会から急ぎの連絡が入ることがあると伝えておいてもらう ・同じ地区で、家の近い会員が玄関先まで伝えに行く。行事の当日中止のように、朝のうちに届けばよい知らせに向く ・担い手の携帯電話の番号を、会員の電話帳に登録してもらう。登録してある番号からの電話なら出る、という会員は多い ・画面で連絡を受け取れる家族がいる場合は、家族に画面で送る
どの届け方にするかは、会員本人と相談して決めます。家族に連絡されることを嫌がる会員もいれば、近所の会員に家まで来てもらうのは気が引けるという会員もいます。本人が納得した方法でなければ、続きません。
決めた届け方は、連絡網の紙の、その会員の名前の横に短く書いておきます。「電話に出にくい。長男の携帯へ」「朝は隣の〇〇さんが伝える」のように書いてあれば、班長が代わっても同じように届けられます。
連絡網の紙は、電話の横に貼れる1枚にする
緊急の知らせが入ったとき、担い手が最初に探すのは連絡網の紙です。この紙が引き出しの奥の封筒に入っていたり、何枚にも分かれていたりすると、探しているうちに時間が過ぎます。
老人会の連絡網の紙は、担い手の家の電話の横に貼っておける1枚にまとめます。書く項目は次の通りです。
・一番上に、起点になる人の順番(会長、副会長、3人目)と電話番号 ・その下に、4つの種類ごとに「夜も回すか、翌朝に回すか」 ・地区ごとの班長の名前と電話番号 ・自分が受け持つ会員の名前、電話番号、電話に出やすい時間帯、電話以外の届け方 ・読み上げる文の例(行事の中止、訃報) ・紙を作った日付
字は大きく、行と行の間を広くとります。慌てたときに老眼鏡を探さなくても読める大きさが目安です。担い手が受け持つ会員の分だけを載せ、会員全員の番号を載せないようにすると、1枚に収まり、紙をなくしたときに広がる情報も小さくなります。
担い手が交代したときは、古い紙を回収し、新しい紙を渡します。古い紙が電話の横に貼られたまま残っていると、交代した元の担い手の家に、緊急の知らせが入り続けることがあります。
会長が不在の休日に、誰が連絡の起点になるか
緊急連絡の起点は、多くの会で会長です。ところが、会長が家族の法事で遠方に出かけている、入院している、休日で子どもの家に泊まっている、といった日に限って、緊急の知らせが入ることがあります。
起点になる人は、必ず2人以上決めておきます。
・会長が不在のときは副会長が起点になる。副会長も不在なら、決めておいた3人目が起点になる ・起点の順番を、連絡網の紙の一番上に書く ・会長は、泊まりがけで家を空けるときに、副会長に一言伝える。「〇日から〇日まで留守にします」 ・外部から緊急の知らせを受ける窓口が会長の固定電話になっている場合は、留守の間の知らせを誰が受けるかも決めておく
老人会では、会長と副会長が夫婦ぐるみの付き合いで、同じ日に同じ行事に出かけていることもあります。3人目は、会長や副会長と行動をともにすることの少ない会員に頼んでおくと、全員が同時に不在になる事態を避けられます。
休日は、担い手の家族も家にいることが多い日です。担い手が高齢で、夜の電話や急な連絡に不安がある場合、家族に「老人会から緊急の連絡が入ることがある」と伝えておいてもらうと、担い手が慌てたときに家族が手伝えます。
旅行の最中の緊急事態は、会員全員への連絡とは別に組む
老人会の行事で、緊急連絡が最も差し迫った形で必要になるのは、日帰り旅行や一泊旅行の最中です。参加者は70代から80代が中心で、旅行の途中で体調を崩す人が出ることは珍しくありません。
旅行の緊急連絡は、会員全員に回す連絡網とは別の仕組みで組みます。連絡する相手が、会員全員ではなく、参加者の家族と、留守を預かる役員だからです。
旅行の前に用意しておくもの。
・参加者ごとの、家族の緊急連絡先。電話に出やすい家族を1人、出なかったときの2人目を1人 ・参加者が持っている、持病やかかりつけ医の情報を書いた紙やお薬手帳を、本人が持参しているかの確認 ・引率する役員の携帯電話の番号を、参加者全員と、留守を預かる役員に伝えておく ・留守を預かる役員を1人決めておく。旅行に参加せず、地元で連絡を受ける役
緊急連絡先は、旅行の申込書と一緒に集め、引率の役員が持ち歩きます。持病の情報まで書いた紙を役員が預かるかどうかは、会によって扱いが分かれます。本人が自分で持っているお薬手帳を持参してもらう形にすれば、役員が重い情報を預からずに済みます。
旅行が終わったら、集めた緊急連絡先の紙は、決めた役員が処分します。次の旅行のために取っておくと、情報が古くなり、いざというときに違う家族にかけてしまうことがあります。旅行ごとに集め直すのが、手間はかかりますが確実です。
旅行の帰りが遅れるときは、家族への連絡を先にする
旅行の最中の緊急事態で、最も起きやすいのは、渋滞や天候による帰りの遅れです。命に関わる事態ではありませんが、老人会ではこれが大きな騒ぎになることがあります。
帰りの時刻を過ぎても参加者が戻らないと、家で待つ家族が心配し、会長の家や、他の参加者の家に電話をかけ始めます。ひとり暮らしの参加者であれば、近所の人が心配することもあります。遅れそのものより、情報がないことが騒ぎを大きくします。
帰りが30分以上遅れそうだと分かった時点で、次の順番で連絡します。
・引率の役員が、留守を預かる役員に電話し、遅れの見込みの時刻を伝える ・留守を預かる役員が、参加者の家族のうち、事前に「帰りを迎えに行く」と言っていた家族に連絡する ・バスの到着場所で迎えを待っている家族には、引率の役員が参加者の携帯電話から直接連絡してもらう形でもよい
遅れの見込みの時刻は、少し余裕をもって伝えます。「7時着の予定が、8時ごろになりそうです」と伝えて7時半に着けば安心されますが、「7時半ごろ」と伝えて8時になると、もう一度連絡が必要になります。
訃報は緊急だが、夜に全員へ回すものではない
老人会の緊急連絡の中で、他の団体より明らかに頻度が高いのが、会員の訃報です。訃報は急ぐ知らせですが、行事の中止とは扱いがまったく違います。
まず、訃報を会員に知らせるかどうか、どこまで知らせるかは、家族の意向で決まります。近年は、家族や近い親族だけで葬儀を行う家庭も多く、「葬儀が終わるまでは知らせないでほしい」「会員には、葬儀が終わってから知らせてほしい」と言われることがあります。家族の意向を確かめる前に、連絡網で回してしまうと、取り返しがつきません。
訃報の連絡の流れの一例です。
・家族から会長に知らせが入る。会長は、会員に知らせてよいか、通夜や葬儀の日程を知らせてよいか、供花や弔問を受けるかを、家族に確かめる ・知らせてよいと分かったら、会長が班長に伝え、班長が地区の会員に回す ・日程を知らせる場合は、日時と場所、家族の意向(香典や供花を辞退する、など)を正確に伝える ・夜に知らせが入った場合でも、通夜が翌日の夕方以降であれば、翌朝に回す
伝える文面は、行事の中止よりもさらに慎重に決めておきます。亡くなった理由や、最期の様子など、家族から聞いた細かい話は伝えません。伝えるのは、家族が知らせてよいと言った範囲だけです。
会費の扱い、会からの弔慰金や供花の手配は、会則や慣例に照らして会長が判断します。これは緊急連絡の流れとは分けて、落ち着いてから役員会で確かめれば足ります。
気象の警報は、行事の中止より先に身の安全を伝える
台風や大雨の知らせを受けたとき、老人会の緊急連絡は、行事を中止するかどうかの連絡にとどまりません。会員の多くは、避難に時間がかかる立場にあるからです。全国老人クラブ連合会は、気象の警報の変更について、次のように会員に呼びかけています。
これまでの「大雨警報」が、「レベル3大雨警報」と、レベルの数字と一緒に情報が伝えられます。レベル3の情報が発表された場合には、避難に時間を要する高齢者等は危険な場所から避難してください。 出典: 全国老人クラブ連合会
老人会の会員の多くは、ここで言う「避難に時間を要する高齢者等」にあたります。気象の警報に関わる緊急連絡では、この点を踏まえて、伝える順番を決めておきます。
・行事の中止の知らせを伝える前に、「警報が出ています。危険な場所にお住まいの方は、早めに避難を考えてください」と、身の安全の話を先にする ・老人会として、どこに避難せよと指示することはしない。避難の判断は、市区町村の避難情報と、本人や家族の判断に委ねる ・ひとり暮らしで、足腰が弱っている会員には、家族や近所の人と連絡がとれているかを一言聞く ・避難の手伝いが必要そうな会員がいたら、自治会や自主防災組織、民生委員など、地域で避難の支援を担う人に伝える
老人会の担い手自身も、避難に時間がかかる立場にあることを忘れないようにします。担い手が会員への電話に時間をとられ、自分の避難が遅れることは避けなければなりません。気象の警報に関わる連絡は、担い手が自宅で安全を確保したうえで、電話でできる範囲で行う、と平時に決めておきます。
緊急連絡に載せないもの
緊急連絡の仕組みができると、何でも緊急連絡で回したくなります。老人会では、次のようなものは緊急連絡に載せないと決めておくと、本当に急ぐ知らせが届きやすくなります。
・会員の入院や病状の知らせ。本人や家族が知らせてよいと言った場合でも、急いで回すものではない ・地域で起きた出来事の噂。「〇〇さんの家に救急車が来ていた」のような、確かめていない話 ・行事の参加の呼びかけや、会費の納入の催促 ・上部団体からの通知で、日程に余裕のあるもの
地域で詐欺の電話が続いているという注意喚起は、判断が分かれます。警察や市区町村から具体的な注意の呼びかけが出ている場合は、翌朝の連絡や、次の例会で伝える形で十分なことが多くあります。夜に回すと、かえって会員を不安にさせます。
緊急連絡に載せないものが多いほど、緊急連絡の電話がかかってきたときに、会員は「本当に大事な知らせだ」と受け止めてくれます。老人会の緊急連絡網は、使う回数を減らすことで、届く力を保つものです。
年に1回、連絡網を回して確かめる
緊急連絡網は、実際に使うまで、止まる場所が分かりません。老人会では、電話番号が変わった、班長が入院している、合流してきた会員が名簿に載っていない、といったことが、1年の間に必ず起きます。
年に1回、日時を決めて、連絡網を実際に回してみます。
・日時は、例会の前の週の昼間など、会員が驚かない時間帯を選び、事前に「〇日に連絡網の確認の電話をします」と伝えておく ・伝える内容は、「連絡網の確認です。次の例会は〇日です」のように、実際に役立つ短い知らせにする ・班長は、会長に「何人に届いたか、届かなかった人は誰か、電話番号が変わっていた人はいたか」を折り返す ・届かなかった会員には、例会の場で電話番号や、電話に出やすい時間帯を確かめ直す
確かめた結果をもとに、連絡網の紙を作り直し、担い手全員に配り直します。紙の日付を書き入れておくと、古い紙を持っている担い手がいても気づけます。
確かめの時期は、台風や大雨の多い季節の前に置くと、その年に実際に使う場面に間に合います。梅雨の前の例会の前の週に回すと決めておけば、毎年の予定に組み込みやすくなります。
確かめで分かったことのうち、班長が回しきるのにかかった時間も控えておきます。1つの地区で1時間以上かかっているなら、その班長の受け持ちが多すぎるか、電話に出にくい会員が集まっているかのどちらかです。受け持ちを分け直すか、電話以外の届け方を増やすかを、次の役員会で決めます。
連絡の道具を、緊急連絡の観点で見比べる
老人会の緊急連絡を、電話だけでなく画面でも届けたいと考える会もあります。60代の新しい会員が多い会や、担い手の多くがスマートフォンを使っている会では、担い手の間の連絡を画面に移すだけでも、会長の電話の本数は減ります。
担い手の多くが家族との連絡でLINEを使っているなら、班長と会長の間の折り返しを、担い手だけのグループで行う形が考えられます。ただし、通知の設定によっては夜に気づかれず、会話の流れに緊急の知らせが埋もれることもあります。詳しくはLINEグループとの比較にまとめてあります。通知の細かな設定ができる道具として、Discordとの比較も判断の材料になりますが、老人会の担い手が操作に慣れているかどうかを先に考える必要があります。
老人会の緊急連絡で、道具を見比べるときに外せない点は次の3つです。
・電話でしか受け取れない会員への連絡を、画面の連絡と並べて回せるか ・誰に届いて、誰に届いていないかを、起点の担い手が確かめられるか ・会長が不在のときに、副会長や3人目が同じように発信できるか
老人会の緊急連絡は、夜に回さないものを決めることで回り出す
ここまで見てきたように、老人会の緊急連絡を夜間と休日に届かせる鍵は、連絡網を速くすることではありません。夜に回すものを絞り、翌朝に回すものの時間を決め、会長が不在のときの起点を2人目、3人目まで決めておくことです。
地域で相談を受ける場では、「夜に電話を回したら、会員を驚かせてしまい、かえって苦情が出た」という話を聞くことがあります。4つの種類ごとに、夜に回すかどうかを1行ずつ紙に書いておくだけで、担い手はその場で迷わずに済みます。
地区の中で、緊急の知らせが自治会や自主防災組織からどう流れているかを知っておくと、老人会が重ねて連絡する必要のない部分が見えてきます。その流れは町内会での使われかたで確かめられます。行事の当日中止のような連絡を、参加者に確実に届ける組み立ては、サークルでの使われかたと重なります。道具の使い方で迷う点は、よくある質問にまとめてあります。
次の役員会では、連絡網の紙の一番上に、起点になる人の名前を3人分と、4つの種類ごとの「夜も回すか」を書き入れてみてください。その1枚が、夜に知らせが入ったときの担い手の支えになります。
Q1. 老人会の緊急連絡は、夜何時まで電話してよいですか?
一律の決まりはありませんが、夜に回すのは、翌朝早くに集合する行事の中止や、旅行の帰りの大幅な遅れ、台風や大雨で備えが必要な知らせに絞る会が多くあります。午前10時以降に始まる行事の中止や訃報は、翌朝7時から8時の間に回すと決めておくと、会員を夜の電話で驚かせずに済みます。
Q2. 電話の連絡網が途中で止まってしまいます。どうすればよいですか?
会長から一直線に並べる形をやめ、会長が地区ごとの班長にかけ、班長が地区の会員にかける枝分かれの形にします。班長は出なかった会員を飛ばして先に進み、最後にもう一度かけ直し、回し終えたら会長に届いた人数と届かなかった人を折り返します。班長1人の受け持ちは10人ほどに抑えます。
Q3. 会員が亡くなったと夜に知らせが入りました。すぐに連絡網で回すべきですか?
先に家族に、会員に知らせてよいか、日程を伝えてよいか、供花や弔問を受けるかを確かめます。家族だけで葬儀を行い、終わるまで知らせないでほしいと言われることもあるからです。通夜が翌日の夕方以降であれば、夜のうちに回さず翌朝に回しても間に合います。伝えるのは家族が認めた範囲だけにします。
Q4. 日帰り旅行の緊急連絡先は、どう集めて、いつ処分すればよいですか?
旅行の申込書と一緒に、電話に出やすい家族の連絡先を2人分集め、引率の役員が持ち歩きます。持病の情報は役員が預からず、本人にお薬手帳を持参してもらう形にすると負担が軽くなります。旅行が終わったら決めた役員が処分し、次の旅行ではあらためて集め直すと、古い連絡先にかけてしまう事態を防げます。
