団体ごとの決め方

老人会の個人情報をどう扱うか|集めてよいものと、置き場所の決め方

2026年9月20日 ・ Tsudoo編集部

老人会の名簿には、氏名と住所のほかに、持病、かかりつけ医、家族の携帯番号が並んでいることがあります。行事で倒れた人が出たときに困らないよう、良かれと思って書き足された欄です。ただしこの3つは、個人情報保護法のうえで扱いが分かれるものが混じっています。この記事では、老人会が何を集めてよいのか、集めた情報を誰まで渡してよいのか、どこに置くのか、そして会員が退会したり亡くなったりしたときに何をするのかを、順番に整理します。

老人会が預かる情報は、他の集まりより一段重い

まず、老人会という団体の輪郭を確認します。全国老人クラブ連合会は、クラブの成り立ちをこう説明しています。

入会を希望する高齢者で、概ね60歳以上の方を対象としています。日常的に声をかけ合い、歩いて集まることのできる小地域の範囲で組織しています。クラブの規模は、おおむね30名から100名を標準としています。 出典: zenrouren.com

同会がまとめた全国集計では、令和5年度末で77,596クラブ、会員数3,766,915人です。1クラブあたりに直すと平均48人ほどで、役員は数人という規模になります。

この規模と、集めている中身が問題になります。町内会の名簿は世帯単位で、氏名と住所と電話番号があれば足りることが多い。部活の名簿は保護者の連絡先が中心です。ところが老人会の名簿は、会員本人の健康状態に踏み込みます。日帰りバス旅行に行くから持病を書いてもらう。グラウンドゴルフの大会があるから服用中の薬を聞く。一人暮らしの会員が多いから、離れて住む子の携帯番号を預かる。

この3つはいずれも、法律のうえでは氏名や住所と同じ扱いにはなりません。持病は本人の同意なしに集めてはいけない情報に当たり、家族の携帯番号は本人以外の個人情報です。集めること自体が悪いのではなく、集めるときの手順が別に決まっている、というのがここでの要点です。手順を踏まずに集めた情報は、あとから使いたい場面で使えなくなります。急病人が出たときに家族へ連絡したいのに、その番号を何のために預かったかを説明できない、という事態が実際に起きます。

会員数が50人に満たない小さなクラブでも、扱いは変わりません。個人情報保護法は取り扱う人数の下限を設けていないため、名簿を作っている時点で対象です。「うちは小さいから」という言い訳は成り立たない、と考えておくのが安全です。

名簿に持病を書いた瞬間、扱いが変わる

個人情報保護委員会が自治会や同窓会などの団体向けに出しているハンドブックは、扱いに配慮が要る情報の範囲をこう定めています。

要配慮個人情報とは、個人情報のうち、不当な差別、偏見その他の不利益が生じないように取扱いに配慮を要する情報として、個人情報保護法・政令・規則に定められた情報です。人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実等のほか、身体障害、知的障害、精神障害等の障害があること等が該当します。 出典: ppc.go.jp

老人会の名簿でここに当たるのは、病歴、服薬、障害の有無、要介護の認定、透析や酸素の使用といった欄です。同じハンドブックは、これらを集めるときの条件も書いています。

要配慮個人情報を聞き取ったり、名簿に載せる場合は、なんのためにその情報が必要で、どのように利用するのか検討し、利用目的を特定してください。その上で、要配慮個人情報を取得する場合は、本人の同意を得る必要があります。 出典: ppc.go.jp

ここで救いになるのが、同意の取り方です。ハンドブックは、書面または口頭で本人から直接聞き取った場合、本人が自分でその情報を出したこと自体をもって同意があったと解される、と書いています。つまり、入会申込書に「持病」の欄を作り、その欄の使いみちを紙の上に書いておいて、会員本人に自分の手で記入してもらう。この形なら、別に同意書を回す必要はありません。

逆に危ないのは、本人以外から聞いて書き足す形です。「あの人は最近、心臓を悪くしているらしい」という話を役員会で聞いて、名簿の余白に鉛筆で書き込む。この書き込みは本人の同意なしに取得した要配慮個人情報になります。しかも本人は書かれていることを知りません。

実務としては、次の3つを分けて考えると整理できます。第1に、行事の当日だけ必要な健康の情報は、名簿ではなく行事ごとの参加申込書で集めて、行事が終わったら処分する。第2に、恒常的に持っておく必要があるのは、緊急時に救急隊へ伝える最小限だけにする。第3に、要介護度や病名そのものは、老人会が持たなくても支障がないことが多いので、持たない側に倒す。持たなければ守る必要もありません。

家族の連絡先は、本人以外の情報を預かるということ

一人暮らしの会員が増えるほど、「何かあったときの連絡先」を預かる必要が出てきます。老人会の名簿に、息子や娘の氏名と携帯番号が並んでいるのはこのためです。

ここで見落とされがちなのが、その番号は会員本人の情報ではなく、家族の情報だという点です。本人から聞き取る場合と、本人以外の情報を第三者から聞く場合とでは、手続きが変わります。ハンドブックは、家族の情報を聞き取る場合について、利用目的をあらかじめ公表しておくか、取得後すみやかに本人へ通知することを求めています。

老人会の現実的な進め方は、次の順になります。まず、会則か個人情報の取扱いを書いた1枚の紙に、「会員に急病や事故があったときに連絡するため、会員が指定した家族等の氏名と連絡先を預かる」という一文を入れる。次に、その紙を入会時に会員へ渡し、掲示板か会報にも載せて、いつでも見られる状態にしておく。最後に、会員本人から、家族に伝えたうえで書いてもらう。「息子さんに、この会に番号を預けることを伝えておいてください」と一言添えるだけで、後の揉め事はほとんど消えます。

預かる数は1人につき1件に絞るのが現実的です。長男、長女、姪、近所の知人と4件並べた名簿を作ると、いざというときに誰から掛けるかで迷い、しかも4件すべてが古くなります。1件に絞り、そのかわり毎年必ず確認する。この形のほうが、実際に届きます。

更新の機会も決めておきます。年度初めの会費集めのときに、名簿の該当行を印刷して本人に渡し、「変わっていなければ何もしなくてよい、変わっていれば直して返してほしい」とする方法が、いちばん手間が少なく回ります。変更の申し出がなかった行は、そのまま据え置きです。

民生委員から聞いた話を、名簿に書き足さない

老人会の役員と民生委員は、現場でよく重なります。同じ地区で高齢者を見ている以上、当然のことです。ただし、情報のやりとりについては明確な線が引かれています。ハンドブックにはこう書かれています。

民生委員が自治会等の会員でもある場合等において、民生委員として活動するなかで得た個人情報を、自治会等の活動のために提供することは、個人情報保護法上の従事者の義務違反となるほか(法 67 条)、民生委員法上の守秘義務違反となる可能性がありますので、ご注意ください。 出典: ppc.go.jp

民生委員は非常勤の特別職の地方公務員として扱われます。民生委員として訪問して知ったことを、老人会の名簿づくりや声かけのために持ち出すと、渡した側が義務違反に問われる可能性がある、というのがこの記述の意味です。老人会の側から「あの家、最近どうですか」と尋ねること自体が、相手を難しい立場に置きます。

現場で困るのは、役員と民生委員が同一人物である場合です。小さな地区では珍しくありません。この場合、その人は2つの立場を頭の中で分けて動く必要があります。老人会の役員として、会員本人から直接聞いたことは老人会の名簿に書いてよい。民生委員として訪問して知ったことは、老人会の名簿には書かない。名簿に書き足す前に「これはどちらの立場で知ったか」を思い出す、という一手間です。

逆方向、つまり老人会から民生委員へ情報を渡す場合も、本人の同意がないなら止まります。「会員が3か月来ていないので様子を見てほしい」と伝えること自体は、本人の生命や身体の保護に必要で同意を得るのが難しい場面なら通ることがありますが、名簿ごと渡すのは別の話です。渡すのは、そのとき必要な1人分の氏名と住所までにとどめます。

市から名簿をもらう場合と、市へ名簿を出す場合

老人会は行政と近い距離にあります。老人福祉法は、地方公共団体が老人クラブに適当な援助をするよう努めなければならないと定めており、実際に多くの市区町村が補助金を出しています。この関係のなかで、名簿が2つの方向に動きます。

行政から老人会へ渡される場合の代表は、敬老行事の対象者名簿や、災害時の避難行動要支援者名簿です。ハンドブックは、市町村などは行政機関等であって個人情報取扱事業者ではないため、そこから提供を受けるときに第三者提供の確認や記録の作成は要らない、と説明しています。ただし、渡す側が利用の目的や取扱者の範囲を限定するよう求めてきた場合は、それに従う必要があるとも書かれています。つまり、「この名簿は敬老会の案内にだけ使ってください、役員以外に見せないでください」と言われたら、その通りに運用する義務が生じます。もらった名簿を会員勧誘に流用する、という使い方はここで止まります。

老人会から行政へ出す場合の代表は、補助金の申請と実績報告です。会員数や会員名簿の提出を求められることがあります。これを想定していない会は、申請の直前になって「会員に無断で名簿を出してよいのか」で止まります。防ぎ方は簡単で、入会申込書と会則に、利用目的として「市区町村への補助金申請および報告のために提出すること」を最初から書いておくことです。あとから同意を取り直すより、はるかに手間が少なくて済みます。

もう1つ、上部団体への提出があります。市区町村の老人クラブ連合会に会員数や役員名簿を出す場面です。役員の氏名と連絡先は、その役職を引き受けた時点で外に出ることが前提になるため、就任のときに口頭で確認しておけば足ります。一般会員の名簿まで上に出す必要があるのかは、一度確かめる価値があります。集計した人数だけで済むなら、名簿は出さないほうが安全です。

何のために集めるかを、申込書の1行目に書く

ここまでの話は、突き詰めると1つの作業に集約されます。集める前に、何に使うかを決めて紙に書くことです。ハンドブックが並べている手順も、集める前、集めるとき、保管しているとき、渡すときの4段階で、最初が利用目的の特定です。

老人会の入会申込書に書く利用目的は、実際には次の5つで足ります。第1に、会報や行事案内など会からの連絡を届けるため。第2に、会費と参加費の管理のため。第3に、急病や事故があったときに家族や救急隊へ伝えるため。第4に、市区町村への補助金申請と報告のため。第5に、上部団体への役員報告のため。この5つを書いておけば、日常の運営で困る場面はほぼなくなります。

書き方は難しくする必要がありません。申込書の下部に枠を作り、「お預かりした情報は、次の目的にのみ使用します」と書いて5行を並べ、その下に「役員以外には見せません」「退会から1年で処分します」の2行を足す。これだけです。

注意したいのは、書いた目的を超えて使わないことです。よくあるのは、会の名簿を使って地区の別の行事の案内を配る、あるいは知り合いの店の割引券を同封する、という運用です。会からの連絡という目的からは外れます。同じハンドブックには、強盗や特殊詐欺、違法な取り立てや不当な勧誘に使うおそれがある相手に名簿を渡してはいけない、という記載もあります。高齢者名簿は狙われる対象そのものであるという前提で扱うのが安全です。

集めないと決めるものを、先に決める

守る手間を減らす最短の道は、持たないことです。老人会の名簿で「何となく載っている」欄には、次のようなものがあります。

・生年月日の全桁 ・本籍地 ・世帯構成 ・要介護度と病名 ・写真つきの会員証データ ・年金の受給状況

このうち生年月日は、慎重に考える価値があります。米寿や白寿の祝いを出す会では、生年が要ります。しかし月日まで必要かというと、多くの会では要りません。生年と、祝いの対象になる年だけを持てば足ります。同じように、年齢が60歳以上であることを確かめる目的なら、生年だけで判定できます。

要介護度と病名は、老人会が持つ必然性が薄い代表格です。行事の付き添いを検討するために知りたい、という動機は理解できますが、その目的なら「階段の上り下りに介助が要るか」「長時間の歩行が難しいか」といった、行事の運営に直結する形の質問に置き換えられます。診断名を持たずに、必要な配慮だけを持つ。この置き換えができるかどうかを、欄ごとに検討してみてください。

写真は別の理由で注意が要ります。鮮明な顔画像は、それ単独で個人情報に当たるとハンドブックに明記されています。会員証に写真を入れる運用は、扱う情報を一段重くします。会員数50人規模の会で顔と名前が全員一致しているなら、写真つきの会員証は要らない、という判断も十分に成り立ちます。

会員に名簿を配るかどうか

会員名簿を全員に配る会と、役員だけが持つ会に分かれます。どちらが正しいという話ではなく、配るなら手順が要る、というだけです。

配ることは、法律のうえでは第三者提供に当たります。会員本人にとって、他の会員は第三者です。したがって、あらかじめ本人の同意を取る必要があります。入会申込書に「会員名簿として会員に配布することがあります」と書き、配布に同意するかどうかを選べる欄を作るのが素直な形です。同意しない会員の行は、配布用の名簿から外します。

配ると決めた場合、載せる項目を減らします。実際に会員同士が必要とするのは、氏名と、連絡が取れる番号だけです。住所は地区名までで足りることが多く、家族の連絡先と健康の情報は載せません。配布用と、役員が持つ管理用の2種類を作ることになります。

配ったあとの管理はできません。ここは割り切りが要ります。紙で配れば、その紙は各家庭に残り、片づけのときに古紙に混ざり、家族が引き継ぎます。回収を前提にした運用は、まず成立しません。だからこそ、配る名簿には減らした項目しか載せない。この一点で決まります。

配らないと決めた会では、代わりに「この人に聞けば分かる」という窓口を作ります。班長や地区の世話役の連絡先だけを配り、個別の連絡はそこを通す形です。連絡の手間は増えますが、名簿が家庭に散らばりません。

紙の名簿が、役員の家に残り続ける

老人会でいちばん多い漏えいは、悪意のあるものではありません。役員を辞めた人の家に、名簿が残り続けることです。

会長を4年務めた人の家には、4年分の名簿と、行事ごとの参加者一覧と、会費の受領記録が積み重なっています。本人は返すつもりでいても、次の会長への引き継ぎでは会計の話に時間を取られ、書類の束は「そのうち」になります。そして本人が入院したり、施設に入ったり、亡くなったりする。家族は中身を確認せず、他の書類と一緒に処分するか、あるいは処分できずに家に置き続けます。

この構造は、役員が高齢であるほど強く出ます。老人会の役員は会員のなかから選ばれるので、当然、年齢が高い。町内会やPTAの役員交代とは、切実さの度合いが違います。

対処は3つあります。第1に、名簿を印刷する部数を決めて、通し番号を振る。第2に、役員の任期が終わった時点で、返却か処分かをその場で選んでもらい、処分するなら目の前でシュレッダーにかける。第3に、そもそも各役員に紙を持たせず、必要なときに1か所を見に行く形にする。3番目がいちばん確実ですが、会員の年齢層を考えると、紙をゼロにできる会は多くありません。現実には、第1と第2を確実にやることになります。

行事のたびに作る参加者一覧も同じです。バス旅行の座席表、健康診断の受付簿、グラウンドゴルフの組み合わせ表。これらは行事が終われば役目を終えます。行事の会計報告を出した時点で処分する、と決めておけば、溜まりません。

退会したとき、入院したとき、亡くなったとき

老人会は、会員の状況が動く団体です。年に何人かは退会し、入院し、施設に入り、亡くなります。名簿の更新頻度が他の団体より高い、ということです。

退会の場合は、いつ消すかを決めます。年度の途中で退会した会員の情報を、その日のうちに消すと会計が合わなくなります。会費の精算と、会計監査が終わるまでは残す必要があるためです。現実的なのは、「退会の翌年度の総会が終わったら処分する」という決め方です。1年分の会計が締まってから消す形になり、監査でも困りません。この期間を入会申込書に書いておけば、会員も納得しやすくなります。

入院や施設入所の場合は、退会とは違います。籍は残したまま、会報の送り先だけが変わる。この変更を誰が把握し、どこに書くかを決めていない会が多く、会報が空き家に届き続けるという事態になります。送り先の変更は、家族から連絡が来ることが多いので、受ける窓口を1人に決めておきます。

亡くなった場合、個人情報保護法が対象とするのは生存する個人に関する情報なので、故人の情報そのものは法律上の個人情報ではなくなります。ただし、故人の家族の連絡先は生きている人の情報として残ります。そして、実務上は法律より遺族の気持ちのほうが大きな問題になります。名簿から名前が消えるまでの期間、会報が届き続ける期間、香典や供花の記録の残り方。ここは決まりごとより、遺族に一度確認する運用のほうが穏やかに収まります。

行事の写真と、会報に載せる氏名

老人会は写真を撮る機会が多い団体です。バス旅行、敬老会、グラウンドゴルフ大会、餅つき。撮った写真は会報に載り、地区の掲示板に貼られ、市の広報に提供されることもあります。

前提として、鮮明な顔画像は単独で個人情報に当たります。したがって、撮ることと、載せることは分けて考える必要があります。撮るのは記録として構いません。問題は、どこまで出すかです。

出す範囲は、次の3段階で考えると整理できます。第1段階は、会員だけが見る会報や、会の内部での回覧。第2段階は、地区の掲示板や町内会の回覧板など、会員以外も見る範囲。第3段階は、市の広報紙や自治体のホームページなど、誰でも見られる範囲。段階が上がるほど、事前の確認が要ります。

現実的な運用としては、入会時に「会の記録として写真を撮り、会報や会の内部で使うことがある」ことへの同意を取り、それを超える範囲、つまり第2段階と第3段階に出すときは、その都度その場で確認する形です。バス旅行の集合写真を市の広報に出す話が来たら、写っている人に声をかける。50人規模の会なら、これは十分に可能な手間です。

氏名の添え方も決めておきます。集合写真に全員の氏名を並べると、顔と名前が結びついた一覧が外に出ます。会報の中なら支障は小さいですが、外に出す写真では氏名を省くか、代表者だけにする。この線引きを、会報を作る担当者の頭の中ではなく、紙に書いておくことが大事です。担当者は交代するからです。

会費の記録と、名簿を同じ紙にしない

小さな会でよく見るのが、会員名簿の右端に会費の納入欄が付いている表です。1枚で済むので便利ですが、この形には弱点があります。

第1に、見せる相手が違います。名簿は会員に配ることがあり、会費の記録は会計と監査が見るものです。1枚にまとまっていると、配るときに納入状況まで一緒に出ます。誰が払っていないかが会員全員に見える表を配ることになり、これは避けるべき事態です。

第2に、更新の周期が違います。名簿は住所や連絡先が変わったときに直します。会費の記録は毎年ゼロに戻ります。周期の違うものを1枚にすると、古い年の納入欄が残ったまま新しい住所が上書きされ、どの時点の情報なのかが分からなくなります。

第3に、保存する期間が違います。会計の記録は監査と決算のために数年分を残すのが通例です。名簿は最新の1つがあれば足ります。同じ紙にしていると、過去の名簿を会計書類として残し続けることになり、古い個人情報が減りません。

分ける方法は単純です。会員に通し番号を振り、名簿は番号と氏名と連絡先、会費台帳は番号と金額と日付にする。突き合わせは番号で行います。番号を振っておけば、会計担当が会員の住所を知る必要すらなくなります。担当を分けるという意味でも、この形は効きます。

置き場所を決めるときに見る点

ここまでの話は、すべて「どこに置くか」に返ってきます。利用目的を決めても、同意を取っても、置き場所が役員の家の紙束であれば、退任のたびに散らばります。

置き場所を選ぶときに見る点は、老人会の場合、次の4つに絞られます。

第1に、役員が代わったときに、前の役員の手元から情報が消えるかどうか。紙は消えません。共有のクラウドの表計算に置いても、ダウンロードされた分は消えません。役員の入れ替えで見える範囲が変わる仕組みかどうかが、最初の関門です。

第2に、会員が新しいIDとパスワードを覚えずに使えるかどうか。老人会でここを外すと、そもそも誰も入りません。会員の側は見るだけ、役員の側だけが管理する、という非対称な形が現実的です。

第3に、外から検索できないこと。会の連絡や写真が、検索でたどり着ける場所にあるかどうかは、名簿と同じくらい重要です。メンバー以外は見られないという条件を満たしているかを、まず確かめます。この点は使っている道具によって大きく違い、公開範囲の設計はサービスごとに考え方が分かれます。いま多くの会が使っている連絡手段との違いは、LINEグループとの比較LINEオープンチャットとの比較で、招待の仕組みと参加者の見え方の観点から整理しています。誰でも入れる形と、招いた人だけが入る形では、名簿の扱いがそもそも変わります。

第4に、退会した人を外す操作が、役員1人でできること。ここが煩雑だと、辞めた人が残り続けます。実際に、退会者が連絡先のグループに残ったままになっている会は多く、これは名簿の削除漏れと同じ意味を持ちます。掲示板型の道具では退会処理の考え方が異なるため、BANDとの比較Facebookグループとの比較で、メンバーの出入りの扱いを整理しています。

地区の会での実際の使われ方は、町内会での使われかたに置いた画面例が近い形です。役員が管理し、会員は見るだけという運用が、老人会でもそのまま当てはまります。導入の可否を役員会で検討する段階で出やすい疑問は、よくある質問にまとめています。

最後に1つ。個人情報の扱いで迷ったとき、判断を役員会の多数決で決めないでください。法律の解釈が絡む場面では、個人情報保護委員会が相談の窓口を持っています。制度の全体像は個人情報保護委員会のサイトで確認でき、自治会や同窓会のような団体向けの手引きも公開されています。会で判断がつかない事案が出たら、そこに問い合わせるのが最短です。名簿の作り方に正解が1つあるわけではなく、会の規模と会員の顔ぶれによって、持つべき情報の量は変わります。変わらないのは、集める前に決めておくという順番だけです。

Q1. 老人会の名簿に、会員の持病を書いてもよいですか?

書けますが、条件があります。病歴は要配慮個人情報に当たるため、本人の同意が必要です。入会申込書に欄を作り、その欄を何に使うかを紙に書いたうえで、会員本人に自分で記入してもらう形なら、記入したこと自体が同意と解されます。他の会員から聞いた話を役員が書き足すのは、同意のない取得になるため避けてください。

Q2. 民生委員から高齢者の情報を教えてもらってよいですか?

避けてください。民生委員は非常勤の特別職の地方公務員に当たり、民生委員として知った情報を老人会の活動のために渡すと、渡した側が守秘義務違反に問われる可能性があります。役員と民生委員が同一人物の場合も同じで、どちらの立場で知ったことかを分けて扱う必要があります。

Q3. 補助金の申請で市に会員名簿を出すよう言われました。会員の同意は要りますか?

入会申込書と会則に「市区町村への補助金申請および報告のために提出することがある」と利用目的として書いてあれば、その範囲で提出できます。書いていない場合は、申請の前に会員へ知らせて同意を取り直すことになります。次年度から困らないよう、申込書に1行足しておくのが確実です。

Q4. 退会した会員の情報は、いつ消せばよいですか?

その日のうちに消すと会計が合わなくなるため、会費の精算と会計監査が終わってからにします。実務では「退会した年度の翌年度の総会が終わったら処分する」と決める会が多く、この形なら監査でも困りません。決めた期間は入会申込書に書いておくと、会員にも説明しやすくなります。

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